18.「エピローグ」
天界から荒野へと戻ってきた後。
虚空に開いた〝穴〟は、自然と塞がり、消えた。
女神が言っていた〝最高神〟とやらが修復したのかもしれない。
※―※―※
レイティたち倒れていた三人を担いで一瞬で家に戻ると、俺は限界を迎えて、倒れた。
「きゃああああッ! 坊ちゃま!? 奥さまも!」
「私が応急手当をする! ティピィは旦那さまに知らせるのだ!」
「わ、分かりました!」
ティピィとラトバスが素早く対応する。
その後、俺たちは、父親御用達のハイポーションによって、一命を取り留めた。
なお、女神が倒されたことで、レイティたちに掛けられていた呪いは全て解けた。
※―※―※
数ヶ月後。
街で一番大きな教会にて。
「待たせちゃったな」
「いいえ。二回も出来て、嬉しいです」
純白のウェディングドレスを着たレイティと白のタキシードを着用した俺は、二回目の結婚式を挙げた。
今回は、前回よりも大規模なもので、他の貴族や大商人たちも招いている。
「第二夫人でも良いっすから、自分とも結婚して欲しいっす! そしたら食いっぱぐれないし、勇者引退後も悠々自適に暮らせるっすから!」
「わ、私はそんなの嫌ですわ! 私を一番に想って頂かないと! ……で、でも……あの方は、第二夫人でもちゃんと大事にしてくれそうですわよね……って、何言ってますの私!? やっぱり私が一番じゃなきゃ嫌ですわ!」
リリレ、ロロシィス、そして俺の父、ティピィ、ラトバス、更には私兵団団員百名も揃って参列している。
式は滞りなく進んで。
「んっ……」
レイティの唇に、俺のそれが重なる。
「「「「「わああああ!」」」」」
歓声と拍手が、俺たちを祝福してくれた。
※―※―※
帰宅した後。
「これからもスピードを窮めるのですか?」
レイティに聞かれた俺は、「そうだな」と、考える。
「光の速度で走るのは好きだから、これからも走り続ける……けど、これでもう世界最速は達成した。それに、むやみに光の速度を超えると、タイムリープしちゃうからな。これ以上速度を上げるのは、もう無しだ」
俺は、レイティに微笑みかけた。
「これからは、少しゆっくり生きても良いかもな。俺たちの子どもと一緒にゆっくりかけっこをしたり、さ」
「それは、とっても素敵ですね」
レイティも、柔らかい笑みを返す。
「あとは、子どもの抱き方を、お前から教わりたい」
「くすっ。何だか変な感じです。完璧なスピッドさまが、私から教わりたいだなんて」
「俺は完璧なんかじゃないさ。それに、レイティは、俺が持っていないものをたくさん持ってる。教わることはそれこそ山のようにある」
「もう! スピッドさまったら、またそんなことを言って!」
「だから本気だってば」
「ふふっ。知っています」
悪戯っぽく笑うレイティが、ふと目を伏せると、頬を紅潮させながら、上目遣いで呟いた。
「あの、スピッドさま……その、今日生まれて初めてしたばかりで言うのもどうかと思うのですが、もし良ければ、もう一度……」
「勿論。何度でも」
「んっ……」
二つの影が重なった。
―完―
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