「ギスギス生徒会、精霊王への道」
ギスギスのどんよりいや〜な雰囲気だ。
なぜこんな空気になるのに生徒会室に集まるのか甚だ疑問である。
「おいおい雰囲気悪いな?やっぱり渡瀬がバトルロイヤルしてハッキリさせるしかないんじゃないか?男らしく戦って精霊王になってこいよ!」
「もう戦う相手もいないんだが?」
「ああっそれ良いわね。もう精霊王になっちゃいなよ」
「水無月さん・・・なぜそうなる」
「精霊王になったら・・・」
「なったら?敷居またがせてもらえるの?」
「付き合うわ私精霊王の彼氏になるわ」
「ええっ?」
衝撃が大きすぎて言葉が出ないぞ。
俺が水無月さんの彼氏・・・。
「あなたのような人が精霊王の彼氏だなんて笑ってしまいますわね」
「なによ!十分資格はあると思うわ!そもそも精霊王を住まわせてるんですから!」
「住んでると言うか犬小屋に放り込まれてるけど」
「それを言うな!あと少しでひとつ屋根の下に昇格する予定だったのに」
「ひとつ屋根の下なんて小さな事言わないで精霊王になって付き合いましょう」
「はい!!がんばります」
「でもよ。そもそもお前精霊にもなってなくない?」
「精霊でないなら精霊王にはなれない・・・」
「渡瀬君歯を食いしばってお腹に力を入れて!!そして精霊になるのよ!!」
「そんなんで精霊になれるの?」
「わからない」
「わからないことをやらせないでよ」
「そう・・・あなた精霊王になるの?だったら王になる前に・・・」
高峰さんのカマが襲い掛かってくる。
「待て待てそもそも、なりたい!! からと言ってなれるものじゃないよね?王?ね?」
「そういえばそうでしたわ。所詮は水無月さんなどという下等脳を持った輩のたわごとでしたわ」
「はあ?下等脳ってなによ?高峰さんごときに下等扱いされる覚えはないわ」
「あるわよ。私は常に学年トップの成績・・・水無月さんあなたは何位?そもそも順位があるのかしら?」
「ぐっ・・・」
ぐうの音も出ないようだが・・・。
「成績なんて関係ないわよ!!精霊に成績なんて関係ないわ」
成績は良いに越したことはないと思うぞ・・・。
「あの・・・そもそも生徒会室で暴れたりするのは・・・まして殺し合いなんて・・・」
「関係ないわ生徒会室は生徒会長のものすなわち私のもの・・・暴れるのも殺すのも私の自由ですわ」
「いや・・・生徒会室は学校のものだと思うが」
「ここで殺るきね上等だわ!」
2人が完全に戦闘モードに入る。
「この争い意味がない・・・」
香春さんが2人の間に入る。
「うるさいからやめて・・・」
「止めるなよやらせとけよ精霊同士争わせとけば良いんだよ」
「悪魔・・・お前も黙れ・・・」
「なんだと!昨日今日この部屋に来始めた部外者のくせに偉そうに!」
「あなたの方が部外者・・・精霊じゃ無いのだから・・・」
「なんだと!前回の戦いの続きやんのか?」
「前回・・・戦いになってない・・・私が一方的にあなたを殺しかけただけ・・・」
「じゃあ今回は私がお前を殺しかけてやるよ」
香春さんが戦闘モードに入り、生徒会室に強風が吹き荒れる。
会長室はぐちゃぐちゃだ。
亜里坂さんのビジュアルが悪魔へと変貌していく・・・あくまでイメージ画像だが・・・。
荒れていく荒れていくギスギスのどんよりがギスギスの嵐になっていく。
まずいぞまずいぞどうにかしなくちゃ。
「相模原どっちか止めろよ」
「あ?無理だろ?むしろ予期せぬバトル発生で興奮だな!俺はワクワクしてきたぞ」
「戦わないやつがワクワクするなよ」
しかしこのままでは収拾がつかない・・・こうなったら勇気を出して・・・。
「みんなで遊びにいかないか?遊園地にでも!」
静まった・・・生徒会室の空気が急激に冷え空気が固まった。
少なくとも俺にはそう感じられる。
発言・・・間違ったか?
「良いわね遊園地!」
「行ってあげてもよくってよ」
「俺は好きだぞ!」
「どうした急に楽しいこと言い出したな」
「遊園地・・・悪くない・・・」
間違ってはいなかったようだ。
そして週末
思わずとっさに遊園地などと言ってしまったが・・・まずいぞ。
よく考えたら俺は絶叫もお化け屋敷も苦手だったぞ。
「まずはあれ乗ろうぜ!ハイパー轟高速回転コースター!!」
「相模原・・・いきなりか?慣らし運転的な・・・」
「あっ良いね私もそれ乗りたい」
「なかなか素敵そうなコースターですわね」
「なんかもう名前聞いただけで楽しくなってくるな」
「私も・・・乗る」
全員一致・・・ここでも味方はいないのか。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
こっ怖かった・・・びっくりするぐらい怖かった・・・。
「面白かったー!」
「最高ですわね」
「もっと速くてもいい・・・」
「次あれ行こうぜ!!ん?どうした?渡瀬?」
「なっなんでもない・・・」
ここでコースターにビビってると思われたら負けだ。
し・か・し・・・怖いものは怖いぃぃぃぃぃ!!
「よしっ次はちょっと落ち着いてあれにしようぜ」
落ちつく?落ちつく?ちょっと助かるぞナイス案だ相模原!
お化け屋敷・・・・全然ナイスじゃ無いぞ相模原!
「渡瀬君・・・まさか怖いの?」
「そっそんなわけ・・無いよ・・」
「そうよね精霊王になるんだもんね」
そうだ水無月さんの前でかっこ悪いところは見せられない。
見せられないんだ。
あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
怖かった・・・なぜみんなあんなにニコニコなの?
何か欠落してるんだろうか・・・?
そしてあっという間に時間が過ぎた。
気がつけば先日のギスギス感はすっかりなくなっていた。
「水無月さんあちらのコースターにも乗りませんか?」
「乗ります!」
とりあえず、ひと安心だ。
そして俺も楽しかった。
こんな日が続けばいいのに・・・。
翌日
「お前らの学校は荒れてんのか?進学校って聞いてたんだが・・・生徒会室ぐちゃぐちゃだぞ」
確かに先日の騒動でひっちゃかになった生徒会室は片付けることを完全に放棄したままだ。
そんなことよりも今俺の目の前で生徒会室の惨状にあきれ返っている人物が俺の父親であることにびっくりしている。
「なんでここにいる?」
「なんでかって?今日はお前の父親としてではない超能力協会の人間として来た」
「来るなよ家で話せよ」
「お前家にいないだろ敷居またげないんだから」
「すぐそこなんだから犬小屋に来いよ」
「俺は犬が苦手だ。だからお前の家にはいけない」
「渡瀬君のお父さん、正確には犬の家で渡瀬君の家ではないわよ」
「確かに・・・水無月さんの言うことはもっともだな」
「誰の家かの話はもう良いから、何の用だよ?」
「お前超能力協会の会長神野平蔵が死んだのは知ってるよな」
「知らん。死んだのも知らないし、そもそもその人も知らない」
「お前超能力協会の会員だよな?会報来てたろ?」
「来ないだろ犬小屋に郵便受け無いし」
「なんか不憫だな」
「誰のせいだよ早く家買えよ」
「まあいいや、お前次期会長候補になってるぞ」
「えっ?なんで?家の件スルーするなよ」
「俺が推薦しといた」
「なんで?」
「俺がなりたくないから」
「俺だってなりたくないぞクソ親父」
「渡瀬君会長になるの?素敵ね超能力の協会っていうには胡散臭いけど」
「水無月さんステイタスに弱すぎないか?そして超能力が胡散臭いなら精霊も十分胡散臭いと思うが」
「なんですって渡瀬君今精霊を批判したのかしら?この高峰玲奈の存在を否定したのかしら?」
「高峰さんカマしまわない?」
「精霊が存在してるって事体でわからせてあげるわ・・・」
「よっし俺は精霊として高峰の味方につくぜ」
「香春さん・・・相模原・・・相模原お前の男として俺の味方でもよくないか?」
「男である前に精霊だ!」
そうなんだ・・・まずい味方がいないっていうかこの間仲直りしたばっかりなのに・・・もーいろいろ!!
「父さん助けろよ超能力ランキング世界1位だろ!」
「えっ渡瀬君のお父さん世界1位なの?超能力は胡散臭いけど渡瀬君!なろうよ!超能力協会会長!精霊王にして会長そして世界1位の息子・・・最高よ!私は渡瀬君の見方をするわ」
「俺はやらねぇぞ!高校生同士の喧嘩は高校生同士でやってくれ」
「おまえがまいた火種だろ!消化していけよ!」
「父親の不始末は息子が片付ける。そういうものだろ!じゃあ俺は帰るぞ」
「超能力対精霊・・・面白いね私は渡瀬につくよ」
「亜里坂さん・・・悪魔・・・懲りないわね私の風でぐちゃぐちゃにしてあげるわ」
「なんだとやれるもんならやってみろ」
あぁまた治まりのつかない戦いが始まったー!!