「深夜の校舎と最強の生霊」
ボンバー掛川が生徒会室に住み着いて1週間が過ぎた。
今のところ大きな問題にはなってはいない。
学校なんてところはわりといい加減なものだ。
強いて言えば夜中にシャワー室や家庭科室に幽霊が出ると噂になっているぐらいだろうか、大した問題ではない。
「大問題ですわよ。問題以外の何ものでもないわ。完全に掛川さんの件がうわさになっているじゃありませんか。大問題ですわよ」
「私?そんなわけないわよ。そんな夜中に学校の中うろついたりしないわよ。夜中の学校なんて怖いし」
「えっじゃあシャワーとかどうしてるっていうんですの?」
「昼間堂々と使ってるわよ。シャワーも浴びるし明るいうちに家庭科室でご飯を作ったりもするわ。場合によっては家庭科の授業に混ざって一緒に作っているわよ」
「なんで問題にならないんだよ」
「さあ渡瀬君の存在が問題にならないような学校だからじゃない?」
「そんなことない。俺は善良な一般的な高校生だ」
「渡瀬君が善良かどうかなんてどうでも良いですわ。問題はそこじゃありませんわ」
「そうだな。昼間っから不審者がうろついていることに疑問を持たない学校の体制がもんだいだよ」
「私は不審者じゃないわよちゃんと学校のルールを守って生活しているわよ」
「ここに住んでる時点でルールを守ってないと思うが・・・」
「だからそんなことはどうでも良いんですわよ。本物よ!本物の幽霊がいるって事ですわよ!!」
「そうなるのかな・・・?」
「そうよそうに決まっていますわ。渡瀬君何とかしてくださる?」
「えっ高峰さんが自分で何とかしたらいいじゃんお化け屋敷とかも楽しそうに笑ってたしそういうの平気なほうでしょ?」
「平気じゃありませんわ。お化け屋敷と本物を一緒にしないでくださるかしら」
「そうねここば渡瀬君が何とかするしかないわね」
「ボンバーお前は幽霊とか平気だろ確実に」
「ごめん・・・苦手・・・今日からすっごく不安だからすぐに解決して!今日解決して!何とかして!でないとあなたの家に泊りに行くわよ」
「俺の家・・・は俺の家ではない犬の家・・・」
「なんの家かはどうでも良いからなんとかしてちょうだい」
こうして俺は幽霊退治をすることになった。
「高峰さんはもちろん来てくれるんだよね」
「私は行きませんわ」
「なんで? ある意味高峰さんの為に幽霊探しをやるような」
「怖いからですわ」
「俺1人?さすがにそれは・・・」
「香春さんとか・・・どう?」
「私はいかない・・・夜は・・・寝る」
「亜里坂さんどう?」
「幽霊とかは好きじゃないからな」
「悪魔なのに・・・」
「幽霊と悪魔は別のもんだよ」
「あっ僕は行くよ楽しそうじゃん?徹も一緒だしねぇ」
「さすが本郷さん助かる」
「じゃあ私も行くわよ。あなたたち2人が学校で変な事しないように監視するわ」
「水無月ぃ僕たち変な事しないよぉ。ちょっとくっついて歩くだけだよぉ」
「それが変な事よ!!」
「肝試しか?楽しそうだな俺は行くからな」
「相模原・・・楽しくはないと思うぞ」
「あっそうそうあなたたちだけじゃ幽霊に対して不安でしょうから助っ人呼んでおきます」
「助っ人?高峰さんの知り合い?」
「そうですわ私のクラスメイトに除霊が出来る人がいるので今日の夜呼んでおきますわ」
こうして厳選?されたメンバーで幽霊の正体を見つける為に夜の校舎にやってきた。
「おいおいなんか妖怪っぽい男がいるぞ。あいつが幽霊の正体じゃないのか?」
「相模原、失礼なことを言うな。あれは高峰さんの紹介でやってきた除霊できる先輩だ」
「田中霊蔵デス、霊の事なら僕におまかせすぐに解決デス」
「なんか霊感商法のキャッチコピーみたいだな」
「除霊?胡散臭いな?そもそも幽霊なんて本当にいるのかよ」
「精霊が幽霊否定すんなよ。似たようなもんだろ」
「全然違うわ」
俺には違いは判らん。
精霊やら悪魔やら得体のしれないものという意味ではカテゴリー的には一緒だ。
「イマスね・・・確実にイマス。しかもかなり強い霊」
「マジで?もう感じるの?」
「ええ感じマス」
「えぇ?幽霊?危ないから僕とくっついて歩こうよ徹」
「本郷さんまだ何も出てないんだけどくっつく必要なくない」
「えー水無月もくっついておこうよ危ないよぉ」
「くっつかないわよ。くっついても幽霊には何も効果がないわよ」
「たしかに・・・」
「って言うか俺は何も感じねぇぞ」
「相模原霊感とかあんの?」
「ねぇな。心霊スポットでぐっすり眠れるタイプだ」
「じゃあおまえの感じないは意味がないな」
校舎内に入る。
夜の校舎は暗くて不気味だ。
まずは生徒会室へ移動する。
「ここからは何も感じまセン」
「ここにいるのは掛川だけだからな」
「きっ来たのね・・・いるの?いるの?霊はいるの?」
「怯えすぎじゃない?ボンバー昨日まで普通にここで生活してたよね」
「無理よー知らなければ普通に生活できるけど知っちゃったのよ。無理よ怖すぎよ。渡瀬君早く何とかしてよ」
「生徒会室には何もいないらしいよ」
「本当に?本当に?ねぇ本当に?保証できる?」
「いや知らんけど・・・除霊が出来る田中霊蔵がそう言ってるよ」
「あなたが?本当に?本当にここにはいないの?」
「この部屋にはイマセン、むしろ霊がこの部屋を避けている感じがシマス」
「ほんとに?ほんとに?ここは何かに守られてるの?守られているの?」
「守られているというか霊が拒否してる感じがシマス」
「なんでもいいわ安全なのよね安全ならいいわ。後はあなたたちで何とかしておいてね」
生徒会室を追い出された。
別にこの部屋はボンバーのものではないんだが・・・。
「次はどこ行くんだよ」
「ここから近いのは家庭科室だな」
「噂になってる夜中に調理する幽霊が出るって・・・」
「水無月そんなに怯えなくても大丈夫だよ。幽霊が出ても徹が何とかしてくれるって」
「本郷さん俺も霊感とか無いほうなんだけど」
「えー徹は感じないのぉ?不感症?僕が感じさせてあげようか?」
「感じさせなくていいわよ」
「えーじゃあ水無月が感じてみる?」
「感じてみないわよ」
「しっなにかイマス」
「田中さん何が?」
「生霊デス強烈な意思を持った生霊がイマス、僕に任せてください祓いマス」
「くそっつまみ食いがバレたか!!」
「・・・ニゲマシタ」
「なにか今変な捨て台詞聞こえたけど・・・」
「なんだ今のは?どこに行きやがったんだ?」
「今の?今の霊なの?」
「霊デス・・・が気配が消えマシタ」
「逃げたのか?」
「なんだか霊のくせに卑怯だな」
「霊だから・・・卑怯なのかもしれなが・・・」
「じゃあ次行こうよ。シャワー室にも出たっていうしさ、霊本当にいたねぇ。僕楽しくなってきたよ」
「本郷さん楽しくなってきたの意味がわからないよ。霊がいたんだから恐怖であって楽しくはないよ」
「えぇー楽しいよぉだって霊が出たらこうやって徹に抱きつけるよぉ」
「今は霊がいないんだから抱きつく必要ないわよね」
「練習だよぉ水無月も練習しといたらぁ?また霊が出たときの為にさぁ」
「しないわよ」
水泳部のシャワー室へ移動した。
「いる!!さっきの奴だ!!今度は逃がさない!サイコハンド!」
そもそも霊が超能力でつかめるのかどうかわからんが・・・。
ガシッ!!
なんかつかめた気がする。
「さあ観念しろ!悪霊め!!」
「あーおまら何すんだよ人が学校生活を楽しんでるのに祓うんじゃねぇよ」
「つっ強すぎます祓えマセン」
「霊の事ならおまかせじゃねぇのかよ」
「あれ?・・・父さん?」
「あっ渡瀬のお父様、ランキング1位のお父様じゃないですか?」
「父さん死んでないよな」
「当たり前だ!俺を殺すな」
「霊?」
「生霊デス・・・」
「なんで?」
「なんでって決まってるだろ俺は学校が大好きだったんだ。毎日楽しくて今でもすぐに学生に戻りたいんだ。その強い思いでこうやって生霊として学校に来てるんだ」
「なんで夜中なんだよ学生生活なら昼間だろ」
「昼間も来てるぞ。ただ周りが明るくて誰も気が付いてくれないだけで俺は毎日朝も盤も学校に来てるぞ」
「仕事は?」
「してない。毎日学校に行ってるからな」
「成仏しろ今すぐ成仏しろ!」
「生きてるんだから成仏は無理だろ」
「田中さんこいつを成仏してくれ」
「無理デス思念が強すぎデス」
「遊びたいだけの霊だぞ」
「その遊びたいという確固たる意志が強烈デス」
「さすが1位のお父様ね霊になっても強いわ」
「水無月さんそこ絶賛している場合じゃないよ」
「なんだよ除霊役に立たねぇじゃねぇか。こいつ何しに来たんだよ」
「そんなひどいことを言うとあなたを除霊シマスヨ」
「俺は霊じゃねぇよ」
「ダメだ霊を同行するのは無理だ。だったら本体だ!本体を攻撃するしかない」
俺たちは父さんがいる水無月さんの家に向かった。