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膨張領域(インフレ・ゾーン)、生徒会室

「最近ちょっとお忘れじゃなくて?」


高峰さんが急に聞いてくる。


「何が?」

「何がじゃないですわ。精霊王の件に決まってます」

「忘れては・・・ない」

「だったらいいんですけど最近超能力がどうとかばかり気を取られているようでしたので」


忘れてた・・・超能力協会の事に気を取られて精霊王とかすっかり忘れてた・・・あぶない。


「っでなんでお前がこんなところにいるんだよ」

亜里坂が文句を言っている相手は悪魔王、真田丸だ。

なんでいるんだよっていう疑問は俺も同感ではある。


「亜里坂、そんな冷たいこと言うなよ同じ悪魔じゃないか」

「同じじゃねぇよ。同じじゃない悪魔だ。一緒にするな」


同じじゃない悪魔ってなんだよ・・・とは思うが真田丸と一緒のカテゴリーに入りたくない気持ちはわかる。


「本当になんで悪魔のくせにここにいるのかしら?」


水無月さんが真田丸に銃を向ける。


「水無月さん!!ここは生徒会室、神聖な生徒会室ですわよ。銃をしまいなさい生徒会室内は非武装地帯ですわ。一切の争いは禁止です。やるなら外でやってくださるかしら?」


高峰さんの生徒会室を守っていく気持ちが相変わらず強い。


「あれ?テーブルの上にケーキが置いてあるんだけど高峰さん知ってる?」

「知りませんわよ?水無月さんが置いたんじゃなくて?」

「知らないわよ。亜里坂さん知ってる?」

「知るわけない」

「まさか真田丸が気を使った?」

「そんなわけない。僕が気を使われることはあっても僕が気を使うことなんかあるわけがない」

「渡瀬君・・・は絶対にそんなに気が利くタイプじゃないし」

「そうだけど敢えて言わなくてよくない?」

「よくわかんないけど食べちゃえば良いんじゃない?」

「本郷さん誰のか分からないケーキは食べないよ」

「徹は真面目だなぁ」

「毒とか入ってたらいやじゃん」

「僕も嫌だねぇ。じゃあほら丁度いいところに毒見役がいるじゃない?」

「毒見役?」


本郷さんが指さす方向には真田丸がいた。

「まてまて僕は胃腸が弱いんだ変なもの食べたらすぐにお腹を壊してしまうよ」

「だからぁ良いんじゃない。胃腸の弱い真田丸が食べても大丈夫ならみんなが食べても大丈夫・・・でしょ?」

「僕を犠牲にしないでよ。そもそも生徒会室のメンバーとは無関係だし」

「本当に?本当に無関係でいいの?」


なんだか本郷さん真田丸に対してはちょっと高圧的で怖い。


「あれ?こんなとこにケーキあるじゃん。もらうぜ」


相模原が遠慮なく堂々とケーキを食べ始めた。

おいおい生徒会室に急にケーキが置いてあったら普通警戒するだろ・・。


「うまいぞこれ!お前らも食えよ」


自分のものでもないケーキをよく堂々と進められるものだ。


「じゃあ・・・わたしも」


えっ香春さんいくの?以外・・・。

こういうの一番警戒するかと思ったのに・・・。


「おいしい・・・渡瀬君も食べたらいい」

「大丈夫か・・・」

「おいしいよ・・・」

「えっ香春さんが美味しいって言うなら私も食べるわ」


水無月さんもがっつり食べ始めた。

そっと左に視線をずらすと・・・。


「美味しいですわよ。渡瀬君もお食べになったら?」


高峰さんまで食べ始めてる。


もうみんな食べ始めてるし俺も・・・なんて思って見てると亜里坂さんと本郷さんだけがケーキに手を付けていない。


「本郷さんと亜里坂さんは食べないの?」

「僕はいらない」

「私もパス・・・かな・・・なんかこのケーキは」


亜里坂さんの挙動が若干不振だが・・・まあいいや俺も食おう。

食べ始めて気が付いたんだが真田丸がいつの間にかいなくなっていた・・・が大して興味がないので気にせずケーキを食べることにした。


そしてケーキを食べている。

食べ続けている。

なくならない。

食べても食べてもなくならないずっと幸せな状態だ。

甘いものを食べる至福のひと時が永遠に続いている。

もうずっとこのまま終わらなければいいのに・・・。


・・・あれ?終わらない?・・・そもそもそんなにケーキあったっけ?


おかしい・・・なにかおかしい・・・なんでケーキがなくならない・・・でもまあ良いか・・・幸せだし・・・。


「おしいなぁ・・・あとちょっとで自力で帰ってこれたのにねぇ」


本郷さんが僕の目の前にいる・・・。

両手で俺のほほを挟む?ようにしてきた。


「どうしようかなぁこのままキスしちゃおうか?」


キス・・・水無月さんが見てる・・・ダメだよ。


「大丈夫水無月はケーキに夢中・・・」


本郷さんお顔が近づく・・・。


「まあでもやめとくよ・・・今は」


本郷さんはグイっと俺の顔を横に向けた。


「徹・・・よーく見てごらん・・・習った通り目に集中」

「でもケーキ・・・」

「ケーキの事はいったん忘れて・・・よーく見て」


・・・なんかいる?


何かうすらぼんやり影っぽいものが・・・。


「ほらぁもっとよく見て」


・・・人・・・パンとかケーキとか作ってる人が数人・・・ベイカー?


「なんで生徒会長室にベイカー?」


「ははははっやっと見えたね。ベイカーだよベイカー」

「すごくケーキ作り続けてるけど・・・あれ何?こんなところでケーキとか作っててちょっと怖いんだけど」

「そうだねぇ怖いねぇだって悪魔だもん」

「悪魔!!!」

「そうだよぉ亜里坂以外、徹も含めて誰も気づかないんだもん。びっくりしたよぉ。完全に悪魔の術中だよね」


「どういう悪魔だよ。美味しいケーキ食わす悪魔って」

「スイーツの悪魔・・・徹気付いてないのぉ?自分の体見てごらんよ」

「からだ・・・?」


!!!!!!


・・・太ってる確実に太ってる制服ぱんぱんになって腹とかちょっと見えてるし。


「どうなってんの?」


「そういう悪魔だからねぇ」


気が付けば水無月さん、高峰さん、香春さん、相模原・・・はどうでも良いんだが・・・全員太ってる確実に太って大きくなっている。


「このままみんな太って膨らんで死ぬねぇ」

「止めてよ本郷さん!」

「もうここまで来ちゃうとスイーツの悪魔を殺すしか助かる方法ないんだよね。僕悪魔とか殺したくないし」

「ついこの間 ”殺しちゃうよ” なんて怖い発言してたじゃん」

「それは徹の命を狙ったからでしょぉ今徹無事だし無駄な殺しは僕は好きじゃないなぁ」


本郷さんの思考回路は理解不能だ。


「じゃあスイーツの悪魔はどうやったら倒せるの?」

「おっ徹やる気出た?いいねぇじゃあ僕倒し方教えてあげるよ」




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