《茶道覇伝 サドウ・オブ・ザ・ティー》.
前書き
――静けさは、戦いのはじまりだった
「茶道」と聞いて、何を思い浮かべますか?
静かに一礼し、湯を注ぎ、茶筅を回す。
そう、それは一見――穏やかで、ゆるやかな所作の芸術。
……ですが。
本作は、そんなイメージを
思いっきり粉砕して始まります。
戦うのです。
お茶で。全力で。
点てたお茶が空を裂き、
泡が魂を揺らし、
一滴が人の心を貫く世界。
ここでは、「いただきます」が合図。
一服の中に、全ての想いと技が込められ、
勝者と敗者を分ける。
笑えるけど、熱くて。
バカバカしいけど、なぜか泣ける。
そんな物語を目指しました。
この物語は、ひとりの少女――
御茶乃水水子が、己の信じる茶を点て続けることで、
仲間と出会い、強敵と戦い、
やがて“本当の一服”の意味にたどり着くまでの、
とびきりおかしくて、ちょっぴり切ない青春の記録です。
もし、読み終えたときに
あなたが「一服」したくなったなら――
それこそが、この作品が伝えたかったすべてです。
それでは、茶室へようこそ。
どうぞごゆっくり――勝負は一杯から。
プロローグ ~茶の湯に咲く野望~
時は令和の現代。
だが、静かに見える日本の裏側では、かつてない“熱き戦い”が巻き起こっていた。
それは――
茶道バトル。
もはや単なる作法や趣味の域を超え、己が誇りと魂、そして金と名誉を懸けた一撃必殺の美学。
札を切るより速く、剣を振るうより鋭く、
抹茶一滴に込められた想いが勝敗を決する、静かなる激戦の世界。
北海道・札幌市。
S高校茶道部――そこにひとりの若き天才がいた。
名を――
御茶乃水水子
静かに微笑みながら、敵を屈服させるその所作は、まさに“抹茶の鬼神”。
これは、
一獲千金を夢見る茶人たちの――
青春と野望の物語である。
第一話:その名は御茶乃水水子!札幌茶魂旋風!
札幌S高校、放課後。
茶室の障子が勢いよく開かれた。
「主将!道場破りがきましたっス!!」
叫んだのは茶道部一年・宇治原まっ茶。
頭には湯呑みの絵が描かれたバンダナ。テンション高めの抹茶オタクである。
「ほう……また来たか。今日で今週5人目ね」
御茶乃水水子は袴を着崩しつつ、茶筅を回す手を止めずに応じた。
部員たちは慣れた様子で障子を左右に開け、客人を迎え入れる。
現れたのは――
「フフ……やっと出てきたな、御茶乃水水子。俺の名は――」
\どん/
「煎茶 陣! 九州・博多が誇る“爆裂湯温調整流”の継承者だ!」
背景にどこからともなく飛ぶ“湯気”と“茶柱”。
御茶乃水水子、茶碗を置くと立ち上がった。
「煎茶流ね……悪くない湯加減だったら、の話だけど」
「なにぃっ!?」
二人の間に、審判役の「お茶の水ジャッジメント」こと風間茶判が現れ、静かに札を掲げる。
「――はじめ!」
※茶道バトルルール※
・お互いに一杯の抹茶を立てる。
・先に“お茶の水”を放った者が先行攻撃。
・審判の“顔色”により勝敗が決まる。
「くっ……行くぞ!これが俺の“熱湯烈波”!」
煎茶 陣は気合と共に、完璧な温度調整による一撃を放つ!
そのお茶の湯が、空間をねじ曲げるように飛んだ!
が――
「甘いわね。あなたの茶は――冷めている」
御茶乃水水子の手元から放たれた茶の雫が、空中で陣の一撃を蒸発させ、
そのまま一閃。
\ズバァン/
「がはっ……ま、抹茶が……胃袋に染み込むぅ……!!」
\K・O/
審判・風間茶判、青ざめながら無言で“勝ち”の札を掲げた。
「これが……S高校茶道部の実力……か……」
陣は崩れ落ち、勝利の茶柱が静かに立った――
エンド・オブ・第1話
次回予告:
第2話「関西最強・裏千家の暴れ茶人、襲来!」
「名乗るわ……私の名は“京坂 茶々”。あなたの一服、いただきにきたわ」
第2話:関西最強・裏千家の暴れ茶人、襲来!
札幌S高校――。
放課後の茶室に、緊張が走っていた。
「なんか……今日の空気、違いますよね……」
宇治原まっ茶が小声で言った。彼の茶筅も今日は妙に震えている。
「……来るわね」
御茶乃水水子はすでに正座し、静かに茶器の前に身構えていた。
\ギィィ……/
障子が静かに開く。
その姿は――
黒の袴に、金糸の縁取り。片手に茶扇、もう片手に虎柄の茶入れ。
一歩踏み出すごとに、畳が音を上げる気がする。
「名乗るわ……私の名は――京坂 茶々(きょうさか・ちゃちゃ)。
裏千家・直系、そして関西茶道連盟ランキング3位。
『悪癖の茶姫』なんて呼ばれてるけど……あなたの一服、いただきにきたわ」
茶室の空気がピキッと凍る。
御茶乃水水子は視線を上げ、薄く微笑んだ。
「ようこそ、北の果てへ。
私の茶室で、あなたの“作法”が通用するか、確かめてみる?」
「ふふっ、上等」
[茶道バトル開始!]
審判・風間茶判が現れる。
「第一服、開始。先行――京坂 茶々!」
茶々の動きは異様だった。
「“乱れ点前・花月裂き”!」
手元を乱すように見せながら、超高速で茶筅を回す!
その湯の動きはまるで花吹雪。
一滴、御茶乃水水子の眉間をかすめる――!
「ちっ……見切ったと思ったのに。これは……“関西風かくし味”!」
茶々の攻撃はフェイントと見せかけて、次の瞬間に真の一撃を放つスタイル!
動きが読めない!
「……でもね、茶々さん。私はずっと、札幌の風を読んで生きてきたの」
御茶乃水水子、静かに立ち上がる。
「“北風一点流・雪華泡点”――!」
茶筅が雪のように舞い、抹茶がしずくとなって飛ぶ。
それは一見、無防備な反撃に見えた――が、
「!? なに……この香り……っ」
京坂茶々の動きが一瞬止まった、その時!
\ピシャァアッ!/
御茶乃水水子の茶が、茶々の茶碗に逆流するように叩き込まれる!
「これは……“逆流茶打ち”!? 北の流儀か……っ!」
\K・O/
茶々、正座したまま気絶。
審判・風間茶判が苦悶の表情で、御茶乃水水子の勝ち札を掲げる。
「顔色……すごくいいです……おかわり、したいくらい……」
茶室・後日談
茶々はフラフラと立ち上がり、御茶乃水水子を見つめる。
「ふふ……面白い女……また戦いましょ、御茶乃水水子」
「喜んで。……次は、抹茶アイスでも賭ける?」
「いい趣味してるわね……!」
こうして、京坂茶々は御茶乃水水子の最大の“茶友”となった。
次回予告!
第3話:「急須の革命児!横浜から来た転校生、アールグレイ一星!」
英国仕込みの紅茶流茶道とは!?立ちはだかる国際派の“淹れ人”が水子に挑む!
〇閑話休題
《茶道覇伝 サドウ・オブ・ザ・ティー》 キャラクター名鑑
■ 御茶乃水 水子
所属:札幌S高校茶道部・主将
流派:北風一点流
二つ名:抹茶の鬼神/北の鉄茶巫女
クールで美しい、札幌S高校の誇る天才茶道少女。
かつて全国大会で大人たちを蹴散らした伝説を持つ。
茶道を極める理由は「ある師匠との約束」のためらしいが……?
得意技:雪華泡点、逆流茶打ち
■ 宇治原 まっ茶
所属:S高校茶道部・1年生
流派:無流派(我流)
二つ名:暴走茶ヲタ/カフェインボーイ
水子を尊敬してやまない新入部員。ハイテンションで茶オタク。
知識はあるが実技は壊滅的。だが、たまに“奇跡の一杯”を出す。
自称「茶道界のポケ◯ンマスター」。
■ 煎茶 陣
所属:博多・私立緑嶺学園茶道部
流派:爆裂湯温調整流
二つ名:湯温の破壊者/爆熱茶豪
九州代表。湯加減と温度制御に命をかける熱血茶人。
怒ると茶筅が湯気で爆発する。精神論多めだが、根は素直。
水子に敗北後、「湯の心」を見つめ直す旅に出た(多分すぐ戻る)。
得意技:熱湯烈波、沸点超え
■ 京坂 茶々(きょうさか・ちゃちゃ)
所属:関西・裏千家私立女学館高等部 茶道特進科
流派:裏千家・舞茶式
二つ名:悪癖の茶姫/関西の舞う蛇
関西で“茶の姫”と恐れられる才媛。作法の破壊と美の両立を得意とする。
フェイントや流れるような所作で相手の隙を突くのが得意。
負けた相手を“気に入る”習性がある。ツンデレ気質。
得意技:乱れ点前・花月裂き、逆点茶舞
■ 風間 茶判
役職:公式茶道バトル認定審判/通称“お茶の水ジャッジメント”
流派:審判一筋四十年・ノー流派
二つ名:顔色で世界を裁く男
全日本茶道バトル連盟(J.T.B.L.)認定の超ベテラン審判員。
判定はすべて“顔色”によるリアクション方式。実は元プロ茶人。
謎に包まれた過去がある。趣味は小皿収集。
■ アールグレイ 一星 ※次回登場予定
所属:Y・インターナショナル・スクール横浜校
流派:英国紅茶道・グレイティア流
二つ名:紅茶の革命児/煎じの騎士
英国王室の血を引くという噂すらある、異端の茶人。
日本茶に挑むために来日した“紅き紳士”。
礼儀正しく爽やかだが、時折ドS。好きな言葉は「君、冷めてるね?」
得意技:ミルク・イン・ショック、アール・テンペスト
■ 茶武 天流斎 ※伝説の人物
所属:かつて全国を制覇した“無所属”の茶人
流派:天衣無縫流・幻茶奥義
二つ名:伝説の一服/影の茶王
御茶乃水水子の師匠とも噂される謎の茶人。
世を捨て、今は山奥で「一服一銭」屋を営んでいるとか。
彼の“真の茶”を味わった者は、皆なぜか泣き出すという……。
〇気を取り直して第三話行ってみよう!
第三話:紅茶の貴公子!アールグレイ一星、煎じて勝負!
札幌S高校――
いつもの茶室に、違和感があった。
空気が……香るのだ。ふわりと、柑橘系の……。
「……なんか、部室がレモンっぽい……」
宇治原まっ茶が鼻をすすった。
「来るわね……紅茶系……」
御茶乃水水子の目が細められる。
障子が開く音もせず、気づけば“彼”は、そこにいた。
カツーン、カツーン……と紅茶色のローファーで静かに歩き出し、
「失礼、道がティーれてましたか?」
\ドヤァ/
「……え? ……あ、ギャグです……?」
■登場!アールグレイ 一星
英国式紅茶道・グレイティア流
二つ名:紅茶の革命児/煎じの騎士
紅茶色のブレザーに、白手袋。腰には銀のティースプーン。
その男は、完璧な一礼と共に名乗った。
「拝啓、御茶乃水水子様。貴女の茶、どれほどの“淹れ愛”か確かめに参りました」
\ザワァッ/
宇治原まっ茶「いま、“淹れ愛”って言いましたよ!? えっ!? ギャグ!?」
御茶乃水水子「まったく……遠くからようこそ。紅茶の香り、漂ってるけど、ここは緑茶の国よ?」
「わかっております。ですが、紅茶にも“煎じる魂”がある。
本日は“レディ・グレイ”で、お相手いたします」
【茶道バトル開始!】
審判・風間茶判(※本日ティーシャツ姿)は両者を見やる。
「よかろう……本日の顔色判定は、胃腸のしびれ具合で決する」
■先行:アールグレイ 一星
「――“ミルク・イン・ショック”!!」
彼は一瞬でティーカップを出し、ミルクを注ぐと同時に紅茶を“上から”投入!
その流れはまるで、瀑布!
空中で交わったミルクと紅茶がスパイラルとなり、香りの波を放つ!
\ズギャァアアッ!/
まっ茶「鼻がっ……鼻が紅茶で洗われるぅ!」
御茶乃水水子は無言で目を閉じる。
静かに、湯を注ぎ、抹茶を点て始めた――
「“抹消一線・霧点落花”」
一筋の湯気が、空間に線を描いた。
次の瞬間、
アールグレイの紅茶が――凍る。
「な、なにっ!? 茶が……冷えてやがる……!?!?」
水子「北海道ナメると、茶柱も立たないわよ」
\バッシャァァァン/
御茶乃水水子の一撃は、ミルクを突き破り、彼のティーカップを正面から撃ち抜いた――!
\K・O!!/
風間茶判「顔色……グリーンです。勝者、水子!」
アールグレイはうっすら微笑みながら、静かにティースプーンを差し出した。
「完敗です……まるで、“お茶目な天女”のような一杯……」
御茶乃水水子「ふふ……あなた、意外とチャーミングね」
宇治原まっ茶「やめてください、ギャグより寒いッスよそのやり取り!!」
【後日・部室】
アールグレイ一星は、紅茶部の設立を目指して茶道部に居候を始める。
「今後とも、どうぞヨロティーくお願いします」
「……うん、紅茶だけに?」
「ええ、“茶番”ですから」
\部室全員:うまいこと言った風にするなーーーっ!!!/
次回予告!
第4話:「茶柱の民・中部の野武士、怒りの茶立て!」
“沸かしすぎ注意報”が鳴り響く!茶室が戦場と化す!
第四話:激突!茶柱の民・中部の野武士、怒りの茶立て!
その日――
札幌S高校茶道部の茶室に、黒い湯気が立ちこめた。
「……誰か、すごい焙煎してます……?ていうか、焦げてますよねこれ」
宇治原まっ茶が鼻をおさえる。
「違う。これは……火の茶柱流よ」
御茶乃水水子の声が低くなる。
彼女の表情が曇るのは珍しい。
ガラリ!
襖を蹴破って入ってきたのは――
全身野良着に身を包んだ、野性味あふれる茶人!
「おらぁっ! 北の女、勝負せんかい!
この“桶狭間 おこし(おけはざま・おこし)”、
中部代表として叩きに来たでな!」
\ドドン/
背中には火炎柄の茶筅袋と、なぜか曲がった茶杓。
御茶乃水水子「……中部、来たわね」
桶狭間おこし「ルールは聞いとる。“お茶で一撃”。
でもよぉ……こちとら火の民!沸点超えたら茶も燃える!」
宇治原まっ茶「物理的に茶を燃やすのやめてぇええ!!」
【茶道バトル開始!】
審判・風間茶判、本日は防火服姿で登場。
「本日の審査基準は、飲む前に湯気で鼻が抜けるかどうかで決する!」
■先行:桶狭間 おこし!
「“沸騰烈風・槍茶式”!」
水のかわりに“温泉水”を使い、沸点を上げた茶湯が噴き上がる!
一気に高速茶筅を叩きつけて“蒸気の槍”を生み出す!
\ゴオオォォォッ!!/
アールグレイ一星「まさに――熱湯戦士……!」
■後攻:御茶乃水水子
「……じゃあ、こちらは“氷点下流・霜華一滴”で」
ふわりと舞う雪のような所作。
水子の手元から放たれた抹茶は、蒸気を吸って冷気に変わる!
桶狭間「なっ……!?」
\キィィィン……ッ/
温度差により、空中で茶柱が結晶化。
その結晶が――おこしの額に、ピトッ。
「……ほ、ほんのり冷たい……」
\K・O!/
風間茶判「顔色……真っ赤から、ピンクになりました。
勝者、水子!」
【戦後茶話】
戦いの後――
桶狭間おこしは頬を染めながら、言った。
「……おぬしの茶……
やけに、こう……ふわっとしててな……
あ、いや、冷たいのに……な、なんか……あったかいんだわ」
御茶乃水水子「ふふ……お褒めにあずかり光栄よ」
おこし「うっ……や、やっぱオラ、負けたの悔しいけど……
その、またお茶、立ててくれんか?」
水子は少し笑ってから、おこしの手を取った。
「じゃあ、次は一緒に立てましょう?」
\(百合の風)/
\(宇治原まっ茶:ぐぬぬ)/
アールグレイ「ハッピーエンティーング……ですな」
次回予告!
第5話「闇茶道界からの刺客!“黒曜の茶忍”現る!」
茶筅が回るとき、影が差す……!謎の忍者茶人が水子の前に現れる!
第五話:黒曜の茶忍、夜叉之丞あらわる!
札幌市内某所――
闇夜に忍び寄る黒い影がひとつ。
「……茶道の“影”を司る者――それが、我ら“裏茶流”よ……」
その者の名は――
夜叉之丞
通称、“黒曜の茶忍”。
闇に生き、闇に点てる“闇茶道界”の刺客である。
彼の任務はひとつ――
「御茶乃水水子……貴様を、闇茶道会に引きずり込むこと」
翌日・S高校茶道部
「主将ぉぉぉ!! 部室の前に煙玉が転がってるっス!!」
宇治原まっ茶が悲鳴を上げたその時!
\ボフッ/
黒煙があがり、天井から吊られて登場する忍者ひとり!
「御茶乃水水子……今宵、貴様を、闇の一服へと誘う……!」
「……えーと、君、どこから来たの?」
「……闇より来たりし、影の一門、“裏茶流”……!」
アールグレイ一星(←ティーカップ片手)
「またずいぶんとクセの強い方が……。というか、天井の梁にどうやって――」
【茶道バトル開始!】
風間茶判、今回は黒い羽織で登場(気合入りすぎ)
「今宵の判定は、“味よりも気配”。
五感で感じた者の勝ちだ」
宇治原まっ茶「もはや茶道じゃない……!」
■先行:夜叉之丞!
「“闇点の舞・朧泡斬”!」
彼の所作は視認できないほど速い。
茶筅が影となり、茶碗から煙のような湯気が立ちのぼる。
その瞬間、空気が変わった――影が茶室を覆う!
アールグレイ「気配が……消える!? いや、吸われるのか!?」
■後攻:御茶乃水水子
「ふふ……茶室を暗くしたら、味も闇落ちするって知らないの?」
「なに?」
「“逆光点前・月影泡閃”!」
月明かりを模したような静かな動きで、抹茶が金色のように輝く――!
そして一閃。
\パァン……!/
夜叉之丞の影が、月の光にさらされるように消えた。
「……俺の影が……明るい……!」
\K・O!!/
風間茶判、泣きながら「明るい未来を感じた」と発言。
【戦後茶話】
夜叉之丞は、敗北し、すっと立ち上がった。
「御茶乃水水子……お前の茶には……静けさの中に熱がある……。
まるで、昼と夜をひとつにしたような……」
「褒めすぎよ。……でも、ありがとう」
そこへ、すぅっと近づいてくる影。
それは、宇治原まっ茶。
だが、その横をぬけ――
夜叉之丞が、後ろに立っていたアールグレイ一星に向き合った。
「君……紅茶の騎士とか言ってたな。
その立ち姿、ずっと見ていた……茶筅の持ち方、俺と似てる……」
「……え? あ、そ、そう……ですか……?」
「お前と俺……いい茶が点てられそうだ。
いつか、影と光で、二人で一服しよう。」
\\(ふいに走る、謎のときめき)//
アールグレイ「……うん、た、楽しみにしてるよ……夜叉くん」
\宇治原まっ茶:え、なんか、オレの立ち位置……!?/
次回予告!
第6話「お嬢様校の襲来!“金茶財閥・無糖ひかり”のティーゼンバトル!」
財力は茶力か!?金で淹れるバトルがいま、始まる!
〇閑話休題(おいまたかよ・・・汗・・)
《サドウ・オブ・ザ・ティー》
~キャラクター別・必殺技名集(淹れすぎ注意)~
■御茶乃水 水子
流派:北風一点流
属性:静×冷/茶筅の舞姫
雪華泡点
→ 静かに泡立つ白い抹茶の泡が相手の精神を凍らせる美技。
「心まで、冷やしてあげる」
逆流茶打ち(ぎゃくりゅうちゃうち)
→ 先攻の一撃を“逆茶流”として打ち返すカウンター技。
「茶にも、流れがあるのよ」
霜華一滴
→ 一滴の抹茶が凍気をまとう精密打ち。美しすぎて心臓に悪い。
「これが私の、一滴入魂」
■宇治原 まっ茶
流派:我流(勢い流)
属性:熱×ドジ/茶道界のムードメイカー
泡だてMAX!まっ茶ーンブレイカー!
→ フル回転の茶筅で空間ごと泡立てる。ほぼ事故。
「泡よ、空を裂けぇえええ!!」
ティースプーン☆ノーミルククラッシュ!
→ なぜかティースプーンで茶器を撃ち抜く。精神攻撃寄り。
「甘くない人生に、一匙の刺激を!」
遅れてごめ茶ショット
→ 遅刻しながら放つ奇跡の一杯。なぜか意外と強い。
■煎茶 陣
流派:爆裂湯温調整流
属性:熱×熱/沸点男子
熱湯烈波
→ 湯温99.9℃の究極一撃。審判が火傷することも。
「茶は温度だッッ!」
湯沸かしスパイラル・煎魂!
→ 渦巻く蒸気で相手の視界を封じつつ、熱風で攻める。
「熱いのが、好きだろ?」
沸点超え(ふってんごえ)
→ 文字通り、すべての許容量を超えた“超熱湯”。
「お前の限界、溶かしてやる!」
■京坂 茶々(きょうさか・ちゃちゃ)
流派:裏千家・舞茶式
属性:美×毒/関西の茶姫
乱れ点前・花月裂き(かげつざき)
→ 華やかな手捌きで相手の視線を混乱させる華麗フェイント攻撃。
「見とれてると、刺すわよ?」
逆点茶舞
→ 相手のリズムを崩しつつ優雅に点てる反撃技。
「乱すの、得意なの」
二段泡立て・祇園仕立て
→ ダブル点前で泡を二重に仕上げ、相手の脳を混乱させる。
「表は甘く、裏はドS。どうかしら?」
■アールグレイ 一星
流派:英国紅茶道・グレイティア流
属性:優×紅/英国式騎士道点前
ミルク・イン・ショック
→ ミルク後注ぎの流派で衝撃的な香りの波を放つ。
「ミルクは後から。衝撃は先に」
アール・テンペスト(茶嵐)
→ 茶葉を竜巻状に舞わせて相手を包む、優雅な暴力。
「紅く、甘く、そして嵐のように」
カモミール・トリップ
→ 相手をうっとりさせて無力化する謎の精神技。BL場面でよく発動。
「君の瞳に、レモンをひと絞り」
■桶狭間 おこし(おけはざま・おこし)
流派:火の茶柱流(中部)
属性:剛×豪快/東海道の茶牛娘
沸騰烈風・槍茶式
→ 超高温で突き立てる一撃茶。畳が焦げる。
「燃やせ!茶筅ごと、魂まで!」
湯気爆裂・徳川茶爆弾
→ 湯気で視界を潰し、豪快に爆発させる。
「勝利はワシの桶の中じゃ!」
名古屋点前・味噌泡仕立て(非公認)
→ 一度だけ発動した幻の技。抹茶に味噌を混ぜた結果、審判が吐いた。
■夜叉之丞
流派:裏茶流・影点式
属性:影×静/闇に生きる茶忍者
闇点の舞・朧泡斬
→ 目に見えぬ高速点前で影の泡を放つ一撃。
「静寂の裏に、俺がいる」
隠泡術・霧香封陣
→ 湯気を封じて相手の嗅覚と味覚を麻痺させる技。
「香りは……隠すほど深まる」
夜影融合・ダークティーパクト
→ 気になる相手と“連携茶技”を発動できる危険な技。
※現在、アールグレイとの発動を“検討中”
第六話:金ピカ!茶道界の財閥令嬢・無糖ひかり登場!
その日、札幌S高校の茶室が……光っていた。
しかもまぶしいくらいに。
\キラァァァァァアアアアアッ!!!/
「ぐわっ!? な、なんですか!? 太陽!? 反射光!?」
宇治原まっ茶が目を押さえる。
「違うわ……これは金箔の反射」
御茶乃水水子が、日傘で目を遮る。
そこに――
\ボォンッ!!/(金煙)
「お待たせアルファ波♡ お金と茶の香りをまといし、
お嬢様系茶人、爆誕でございますわァ~~~!!!」
※台詞と共に、金色の回転イスで登場。
■無糖 ひかり(むとう・ひかり)
所属:金茶財閥直属・G・レディ学園 茶道部部長
流派:金箔乱舞流
二つ名:光の茶爆姫
属性:派手×成金×圧倒的な声量
「この私、無糖ひかりサマのゴールド・ティー、味わっていただきますわよォォッ!!」
宇治原まっ茶「……なんでその口調で、そんな目が真剣なんですか!?」
アールグレイ一星「ていうか、そもそも抹茶に金箔って……いや、美味いけど……なんか違う……!」
【茶道バトル開始!】
審判・風間茶判、本日は金のアイマスクと手袋で登場。
「本日の判定基準は……**“キラキラの度合いと静寂のコントラスト”**にて行う!」
宇治原まっ茶「もう、基準が毎回フワッフワなんスよ!」
■先行:無糖ひかり!
「いくザマス!! “百万茶箔・閃光乱舞”!!!」
点前中に金粉をバラ撒き、湯の反射で視覚を攻撃!
そして茶碗が回転しながら宙に浮く!?
「私の一服は、財力で殴るッッッ!!!」
\パァアァァァァアアアアアアアン!!!/
(謎の花火演出がついてくる)
アールグレイ「今、花火ついたよね!? 茶碗から火薬の匂いしてるよね!?」
■後攻:御茶乃水水子
「なるほど……でもね、“光”だけじゃ、お茶は淹れられないわ」
「な、何ですってぇ!?」
水子、目を閉じて静かに湯を注ぐ。
その音は、まるで……雨のように、優しい。
「“銀月点前・静寂泡泉”――」
光の洪水に、静かな月の泡が浮かび上がる。
その一滴が、金箔の流れを静める――
\……ぽちゃん/
金箔、全部沈む。
\K・O!!/
風間茶判(※目から一筋の涙)「金では……心は点てられない……」
【戦後茶話】
無糖ひかり、茶碗を抱えて号泣。
「……くやちぃ……ひかりのゴールドスプラッシュが……泡に負けたァァァ……」
御茶乃水水子「……ひかりさん、あなたのお茶、騒がしいけど優しかったわよ」
「うぅ……そ、そんなこと言われたら……惚れてまうやろぉぉぉぉぉ!!!」
\\抱きつき//
宇治原まっ茶「うわ!水子先輩に抱きついた!? いやいやいや、百合!百合!? …っていうか俺のポジションどこ!?」
ひかり(涙目で満面の笑み)
「まっ茶さん……あなたには、貧乏の良さがあるザマス♡」
\\全方向にツッコミが飛び交う茶室だった//
次回予告!
第7話「襲来!茶道界のアイドル!?“ティー・プリズム五重奏”と地獄のライブ点前!」
踊って点てて光って歌う!?茶室がまさかのステージに!
第七話:茶室、光る!ティー・プリズム五重奏、ライブ点前襲来!
札幌S高校 茶道部室――。
宇治原まっ茶が、白目をむきながら叫んだ。
「主将ぉぉぉ!! 茶室がっ……茶室がっ……ステージになってますぅぅぅ!!」
そこには、スポットライト、ミラーボール、
そしてなぜか床からせり上がる昇降ステージ。
「“わたしたちの一服で、世界をキラめかせるっ!”」
「“心に淹れる、五つのきらめき☆”」
\ティー・プリズム、参上!/
■ティー・プリズム五重奏
茶道×アイドルを掲げた全国五大茶流合同のプロジェクトユニット。
通称「ティープリ」。
それぞれが異なる流派を持つ、超個性派の五人組!
メンバー紹介(※一人一人がポーズをキメながら自己紹介)
甘露寺 あまね(かんろじ・あまね)
流派:甘露流 軽点前
担当カラー:水色/属性:あざとカワイイ担当
「みんな~♡ お茶に“ちゅ”ってしたことあるぅ? 私はあるぅ~♡」
→ ふんわり甘い抹茶で、敵の意識をふわふわにする催眠技を持つ。
一煎寺 紅葉
流派:火風点前術式流
担当カラー:赤/属性:ツン烈火担当
「茶筅は拳より速く振るのよ! ……あんた、見てなさい!」
→ 炎のように熱い湯気と香りで攻め立てるガチバトル系。
泡沫院 るる(うたかたいん・るる)
流派:幻想茶道・泡幻流
担当カラー:黄色/属性:謎っ娘担当
「茶碗の中には……宇宙があるの……見えた?」
→ 泡を自在に操る幻惑系。ステージ演出は謎の浮遊感で人気。
抹野 みどり(まつの・みどり)
流派:草茶派・有機点前
担当カラー:緑/属性:ナチュラル担当
「お湯は、風と語らいながら、ゆっくり注ぐもの……」
→ “オーガニック茶爆弾”で全ての茶室を自然に変える使い手。
蓮華寺 よぞら(れんげじ・よぞら)
流派:夜点流・無声作法
担当カラー:紫/属性:クール無口担当(ファン人気No.1)
(ほとんど喋らない)
→ まばたきしてる間に点て終わっているという幻の手捌き。
【ライブ点前バトル開始!】
ステージ中央、マイクが茶筅に変わり、
スピーカーから湯が沸く音が重低音で響く。
審判・風間茶判、
なぜかサイリウムを両手に登場。
「本日の判定は――“推せるかどうか”で決する!!”」
宇治原まっ茶「なんスかその基準!?」
■先行:ティープリ五重奏、ライブ点前開始!
\Tea☆Liveスタートッ!!/
甘露の香り
爆熱点前
泡沫が飛び
葉っぱが舞い
沈黙の泡が夜を包む――
そのすべてがリズムに乗って同時進行!!
「歌って点てる!踊って泡立てる!魅せて一服!」
\観客(なぜか50人くらい来てる):フゥゥゥゥッ!!!!!/
■後攻:御茶乃水水子
水子、ゆっくりと正座。
「……数が多ければ、勝てると思ってるの?」
舞台のライトが一つ、水子だけを照らす。
「これは私の、静かなるソロライブよ」
\“銀月泡泉・一人前奏”/
抹茶を点てる音だけが響き、
まるで音楽のように“美しい沈黙”が茶室を包む。
\……ピトン。/
その一滴が、舞台全体を沈黙させた――
\K・O!!/
風間茶判「……静けさに……推した……(泣)」
【戦後ティータイム】
ティープリ、敗北。
甘露寺あまね「すいこちゃ~~ん♡ 今度コラボしよ? あたし、ギャル茶点前もできるよ♡」
よぞら「(紅葉を見て)……次は、2on2でやろう」
紅葉「なっ!? わ、わたしと!? 勝手に決めないでよッ!」
\百合味、微増中/
宇治原まっ茶「なんか毎回、俺のポジション遠ざかってません!?」
次回予告!
第8話:「謎の男“茶無双”!無所属・全勝の男、現る!!」
勝敗すら意味をなさない――伝説の無冠王、茶の“原点”が立ちはだかる!
第八話:伝説の無所属!茶無双、お茶の起源をぶち壊す!
その日、札幌S高校 茶道部室に突如響く――
\ゴォォォオォォオオオォン……/(※なぜかお寺の鐘の音)
「お、お経!? え!? なんか始まった!?」
宇治原まっ茶が泡立て棒を落とした。
「違う……これは、あの男が来た証拠よ」
御茶乃水水子の顔が、微かに青ざめる。
そして現れたのは――
■茶無双
所属:無所属(本人曰く“宇宙所属”)
二つ名:お茶界の破壊王/無冠の煎じ者
年齢:不明(見た目は高校生、精神年齢は3000年)
特徴:茶碗ではなく、中華鍋で茶を点てる。そもそも点ててない。
「……フッ……茶とはな、作法ではなく、魂の沸騰よ……!」
その瞬間、彼は中華鍋にお湯を注ぎ、火炎放射のような勢いで煎じ始めた!!
\ドオオオオォォォオオオン!!/
(背景爆発)
「バトルに“勝敗”? そんなものは無意味!
問いたいのはただ一つ――お前は、お茶を愛しているか!?」
宇治原まっ茶「なんか宗教始まった!?誰か警察呼んで!!」
【茶道……なのか!?バトル開始!】
審判・風間茶判、今日はなぜかトランポリンに乗って登場。
「本日の審査基準は……うん、もう気分でいこう」
■先行:茶無双
「“天地開泡・大釜冥界陣”!!!」
彼の茶器は中華鍋。
そこに煎茶、ほうじ茶、ウーロン茶、ジャスミン、ミルクティー、紅茶、なんか炭酸っぽい何か――全部入れて混沌の一服を完成させた!
「これぞ――カオス・オブ・ザ・ティー!!!」
\\ズボォォォオオオオン!!!//
(なぜか畳がひとつ浮く)
甘露寺あまね「味の概念が爆発したぁぁっ!!」
■後攻:御茶乃水水子
だが――水子は笑っていた。
「やっぱり……あなた、来ると思ってたわ」
彼女は、静かにひとつの急須を取り出す。
「これは、師匠からもらった唯一の茶器。
茶無双……あなたの“カオス”には、一点の美で応える!」
\“一点泡点・茶眼流星閃”!!/
その一服は、
カオスの中心をスッ……と貫く、美しい緑。
茶無双の鍋の中で――
\「ピチャ……」/
静かに茶葉が沈んだ。
「……ぬぅっ……この茶……俺の煮出し地獄を……救いやがった……!」
\K・O!!/
風間茶判「勝者、御茶乃水水子ーーー!!!」
【戦後・混沌のティータイム】
茶無双は、崩れ落ちながら笑った。
「フッ……完敗だ……まさか、ここまで澄んだ一服があるとはな……
その茶――俺の腹で煮込ませてくれ」
「勝手に腹茶するのやめて!!」
(宇治原まっ茶、全力ツッコミ)
アールグレイ一星「……少しだけ、彼に憧れました。人生の煮出し具合というか……」
夜叉之丞「お前……もしかして“沸点”近いのか……?」
\BL成分、再沸騰/
次回予告!
第9話「真・全国大会開幕!初戦の相手は、常に時代劇口調の“茶侍”!?その名は…抹茶斎 時雨丸!」
戦国風点前が時代を超えて、現代に斬り込むッ!!
第九話:侍、見参!抹茶斎時雨丸と最後の一服
──全国茶道高校選手権、開幕。
札幌S高校は見事ブロック代表として出場。
開会式もそこそこに、初戦の相手が決まる。
対戦票にはこう書かれていた――
「抹茶斎 時雨丸」
所属:浪人高校 茶道部
流派:茶侍流・時雨一刀点前
二つ名:茶の道に生き、茶の道で死す男
試合会場・野点風ステージ
風に揺れる柳の下、
ひとりの武士が、黙って座っていた。
着流し袴に脇差(茶筅入り)、背には茶箱。
彼こそ、茶道界の一匹狼――
抹茶斎 時雨丸
「……茶とは、命を削って点てるもの。
一服にて命を懸ける覚悟――貴殿にあるか?」
御茶乃水水子、いつものように静かに応じた。
「私の茶は、命を守るための一服よ」
【全国大会初戦・開戦!】
審判・風間茶判、本日は江戸風ちょんまげヅラで登場。
「本日の判定基準は……“茶室に残る余韻”。
一服の残香が、心に残った方が勝ちである!」
宇治原まっ茶「えっ……今日、マジなやつじゃん……」
■先行:抹茶斎 時雨丸
「──“無我一泡・点前抜刀”──」
彼は、わずか数秒で茶筅を抜き、
空中で一閃。
その手さばきに、音がない。
抹茶が、風に舞う。
目を閉じている観客たちの鼻腔に、わずかな香りが残った――
■後攻:御茶乃水水子
彼女もまた、口を閉ざしたまま、茶器を取り出す。
ひとつ、深く息を吸う。
そして。
「“北風一点流・雪静泡点”」
まるで雪のように、静かに落ちる点前。
音も香りも、全てが控えめ。
だがその一杯には――確かな温かさが宿っていた。
\……ふわっ/
風が舞い、花びらが二人のあいだを通り抜ける。
審判、判定。
風間茶判、静かに札を上げた。
「勝者……御茶乃水水子」
\ザワ……/
だが、その瞬間、抹茶斎はふっと笑った。
「ふっ……負け申したか。
されど……良き勝負でござった」
そう言って立ち上がり、歩きかけた時――
彼の背から、一本の茶筅が落ちた。
水子が拾って、そっと差し出す。
「……これ、あなたの“命”なんでしょ?」
時雨丸、数秒の沈黙ののち、微笑んだ。
「否――今や、その命は……そなたに預けた」
【戦後・静かな別れ】
試合終了後、水子はひとり、ステージに残る。
そこには、時雨丸が残していった折り紙の茶碗があった。
「……命を懸ける一服もある。
でも私は、やっぱり誰かを救う一服を点てたい」
アールグレイ一星がそっと近づく。
「あなたの茶は、いつも誰かの心に効いている。
それだけは、確かだよ」
まっ茶「いい話風になってますけど、次の相手ヤバいらしいッスよ!? “高校生ヤクザ点前”って!」
全員「なにそれ!?」
次回予告!
第10話:「お茶でシメる!?裏番長・茶羅門 龍牙と抗争点前!」
茶室が喧嘩場に!?仁義と茶器が飛び交う次回、お楽しみに!
第十話:番長、爆誕!茶羅門龍牙と“茶バコ三人衆”!!
──全国大会・2回戦。
S高校茶道部の前に、ついに現れた最大の異端――
■茶羅門 龍牙
所属:修羅怒羅高校 茶道部(表向き存在しない)
流派:極道点前流・“シメ茶道”
二つ名:茶道界の裏番長/湯加減で人を黙らせる男
特技:お茶でシメる。ついでに髪型もリーゼント。
龍牙(リーゼントから湯気を出しながら登場)
「おう……聞こえてっぞ、S高校。
“抹茶界のヒーロー気取り”だってなァ?」
まっ茶「主将ぉぉぉ!! 怖いのきましたぁああ!!!!!」
風間茶判「本日、怖すぎて審判欠席です(録音済)」
だがその背後に現れる――
\ドン!ドドン!ドドドン!/
「見参!! われら……」
\\茶バコ三人衆!!//
茶バコ三人衆 プロフィール
茶地 路茶
→ 緑茶葉を常にポケットに詰め込む男。
特技:「道に落ちてる湯気を拾う」
急須 順
→ 急須の形を模した自作ヘルメットを常に着用。
特技:「頭突きで茶器を粉砕(バトル非推奨)」
濃茶田 クレオ(こいちゃだ・くれお)
→ 謎のハーフ。口癖は「オチャ、コイチャ……クレオチャ!」
特技:「抹茶カクテルの調合(違法すれすれ)」
まっ茶「いやもう全員ツッコミどころしかないッスよ!?頭のおかしい一族!?!?」
御茶乃水水子「ここまでくると、もはや清々しいわね……」
【バトル開始!!茶室、ヤンキー風化!!】
ルールはなし! 審判はAIの**“チャット煎判”**が代行!
《本日の判定は……シメられたくないお茶はどちらか、で決する》
まっ茶「AIもぶっ壊れてんぞ!」
■先行:茶羅門 龍牙
「喰らえや……“鉄火点前・黒茶烈牙破”!!」
熱湯の沸騰とともに、リーゼントから放たれる謎の香り!
その一撃が床を焦がすほどの熱波!!
\ブシュウウウウ!!/(畳1枚消滅)
■中入り:茶バコ三人衆の奇襲演出!
・路茶「ウオオッ!道端茶葉乱舞っ!!」
・急須 順「俺の急須は爆発すんだよ!!」
・クレオ「クレオチャ……スパーキン!!」
\\ドカンバカンガシャアアアアアン!!//
(何が起きたかよくわからないが爆発した)
■後攻:御茶乃水水子
水子、すっ……と正座。
「うるさいわね。これが“正統”の静けさよ」
\“沈泡閃影・一椀静滅”!!/
茶筅が一閃。
その一杯は、空気を一瞬で鎮め、
爆発の余韻さえ打ち消す“真の無音”。
「――これが、私の“シメ”よ」
\K・O!!/
茶羅門 龍牙「……ま、参った……
その一服……完ッ全に、オレの“沸点”越えたわ……」
【戦後ギャグまとめ】
・路茶 → 改心し、野草茶を始める。
・急須 順 → ヘルメット没収。今はティーカップ被ってる。
・クレオ → なぜかCDデビュー。「俺の濃いの、飲んでみる?」
まっ茶「それ絶対アウトなセリフだぁぁぁぁぁ!!!!」
次回予告!
第11話:「無音の嵐!茶忍再び!?風魔夜叉之丞の“二重点前”が炸裂!!」
闇が、再び静かに動き出す――!そして、まさかの“温泉回”…!?
第十一話:温泉にて、再戦の時!夜叉之丞、二重点前の涙
──大会2回戦終了後、S高校茶道部は癒やしのひとときを求めて、
大会主催者が用意した「お・も・て・な・し」スポットへ。
まっ茶「ついたぁぁぁあああ!!温泉旅館んんんッッ!!!」
一星「湯加減……いいですね」
茶々「温泉、似合わない人間いないわね」
ひかり「金箔入り風呂がないのは遺憾ザマスけど……♡」
水子「……じゃあ、とりあえず、風呂、行こっか」
女子風呂 vs 男子風呂:カットインで切り替え連発!
・女子風呂:
水子&茶々&ひかり&よぞら
→ なんだかんだで女子トークが炸裂(百合味1%抽出)
・男子風呂:
まっ茶&アールグレイ一星
→ まっ茶のヒゲ泡遊び vs 一星の優雅すぎる入浴(ほぼ紅茶風呂)
だがその時、
男子風呂の天井が“ぬるく”開いた。
\すっ/
「失礼する――忍び風呂、参上」
■風魔 夜叉之丞
流派:裏茶流・影点式
特殊技能:無音移動、泡影点前、風呂の中でも全力茶人
備考:前回敗北後、修行のため各地の茶室を巡礼。今回はなぜか風呂場で再登場。
「ここで再戦申し込むの、場違いって自覚はある。でも……ここしかない」
水子(バスタオル姿で登場)
「……湯気が、意外と静かなのね」
夜叉之丞「風呂というものは、影のように心をほどく……だから、ここでしかできない点前がある」
【忍・湯煙点前!風呂バトル開始!】
審判役:宿の女将・茶神 湯(風間茶判の姉)
「今宵の勝負……心の芯まで温めた者の勝ちとする!!」
■先行:夜叉之丞
「“泡隠れ・蒸気千忍斬”!!」
湯気とともに、茶筅が現れたり消えたり!
バスタブの水面を利用した特殊反射点前!
相手の視界を攪乱し、心まで迷わせる忍術的茶道!
■後攻:御茶乃水水子
水子は静かに浴槽のフチに茶碗を置いた。
「湯気に隠れるなら、私は――泡の温度で語るわ」
\“静泡一点・湯心閃閃”/
その一杯は、湯気に溶け、
ふわりと夜叉之丞の頬を撫でるように香った。
「……これは……懐かしい……」
ちょっぴり泣ける回想:夜叉之丞の過去
彼が茶を始めた理由――
それは幼い頃、病床の祖母に点ててくれた一服が、
唯一、彼の心を温めた記憶だった。
「……あのときの香りと、同じなんだ……君の茶……」
一星「夜叉……涙、こぼれてるよ」
夜叉之丞「……これは、湯気だ」
\K・O!/
茶神 湯「心まで温まった……完湯です」
【戦後・混浴友情】
夜叉之丞は、バスタオル一枚で正座。
「また君に……一服点てたい」
水子「ふふ、いいわよ。今度は、ちゃんと服着て、ね」
一星「……少しだけ、嫉妬したかも」
まっ茶「この風呂場、感情と湯気が混ざりすぎっス!!」
次回予告!
第12話:「恐怖!お茶の“残り湯”から生まれた最凶モンスター“チャ・ゴーレム”現る!?」
お茶の呪いか?宿の裏庭で発生した巨大生物と、風呂上がりの茶人たちが大激突!!
第十二話:恐怖の茶残り湯!茶ゴーレム襲来ッ!!
──その夜。
全国大会会場が提供する「温泉旅館・茶の湯の里」では、
前代未聞の事件が発生していた。
【事の発端】
深夜0時――
旅館スタッフが、露天風呂に残された一杯の「飲みかけの抹茶湯」を見つけた。
\ボコ……ボコ……/
緑に染まった湯が、突然、泡立ち始めた。
そして数秒後――
\ドゴォォォォォォォン!!!/
浴槽から巨大な手が飛び出した!!!
■茶ゴーレム(正式名:抹茶魔湯暴君・チャ・ゴーレム)
成分:飲み残し+怒り+カフェインの塊
弱点:高級茶葉、心の安らぎ
特技:茶筅回転パンチ、湯気砲、ふやかしスライムアタック
鳴き声:「チャ~~~……」
まっ茶「うわあああああ!!!風呂から抹茶モンスター出たあああああ!!!」
水子「なんで!?なんで風呂からボス級が出てくるのよッ!?」
風間茶判(緊急派遣)「これは……伝説に語り継がれる“お茶の残り湯災厄”……!」
【緊急バトル!VSチャ・ゴーレム】
全キャラ、強制参戦!!
舞台は露天風呂ステージ! 湯気濃度MAX!
第一陣:茶バコ三人衆!
・路茶 → 茶葉を投げて挑むが、ふやけて吸収される
・急須 順 → ヘルメットごと飲まれる
・クレオ → カクテル投げるも「チャ~~~(不味ッ)」と返される
\全員K・O!/
第二陣:ティープリ五重奏!
・るるの泡技も通じず、
・よぞらの無言点前すらスルーされ、
・甘露寺あまねが最後に叫ぶ!
「ぜんぶ、私の飲み残しだったあああああ!!」
\会場:ギャァァァァアアア!!/
最終陣:水子&夜叉之丞&アールグレイ一星!
水子「今度こそ、わたしの茶で――心を鎮める!」
\“静泡滅閃・一椀終章”/
透明に近い、限界まで薄めた**“茶の鎮魂歌”**
夜叉之丞「“影縫点前・無泡静心”!”」
一星「“アール・ピュアブレンド”……この紅茶、優しさ100%だ」
\トリプル茶連撃!!!/
巨大なチャ・ゴーレムが……
ふるふる……っと揺れ、
「チャ……チャ……(あったかい……)」
\シュゥゥゥゥゥゥ……/
とても切ない音を立てて、消えていった――。
【エピローグ:明け方の湯けむり】
旅館に朝日が差し込む頃――
茶室では、水子と夜叉之丞が静かに一服を分かち合っていた。
夜叉之丞「……人の心が茶に宿るなら……あのゴーレムにも、きっと……」
水子「……そうね。怒ってたのは、“忘れられたこと”かもしれない」
まっ茶(布団にくるまりながら)「あったかい話してるぅ~……感動でお湯が目から……」
アールグレイ(ぽつりと)「……水子さん、あなたの茶は……誰より、優しい」
\ドキ……/
(ちょっぴりだけ、胸が波立つ音)
次回予告!
第13話:「決戦直前!ライバル大集結!“バリカタ点前”の福岡代表・博多 煎士郎がやってきた!」
熱くて濃くて、バリバリな新キャラ爆誕! そして、水子の“茶に込めた秘密”も明かされる!?
〇閑話休題・・・もう勝手にしてくれ・・・。
全国の茶人に癒しとカフェイン中毒をもたらす!?
ちょっぴり切なくて、意外と愛されキャラなモンスター、
チャ・ゴーレムくん ぬいぐるみ設定
製品名:
ほかほか湯気もふもふぬいぐるみ・チャ・ゴーレムくん(なかよし抹茶ver.)
基本スペック:
項目内容
全高約25cm(耳含む※湯気耳)
重量約320g(もちもち低反発素材)
手触りモフモフ&しっとり(謎に抹茶感アリ)
カラー抹茶グリーン+茶柱イエロー
特殊機能背中を押すと「チャァ〜…」と鳴く
湯気演出ゆるふわ綿で再現(蒸気は出ません)
推奨年齢3歳以上(お茶は含まれておりません)
チャ・ゴーレムくんの個性設定
性格:さびしがりや。人の「飲み残し茶」から生まれたが、悪意はない。
「忘れられるのが、一番つらい」と本人は語らないが目が語ってる。
好物:ぬるめの白湯。たまにミルクティーも好むが「裏切り者」と言われる。
弱点:温かいハグと、ちゃんと最後まで飲んでもらうこと。
飲み残されると大泣きして蒸気量が2倍になる。
夢:「人間に最後の一滴まで愛される茶になりたい(切実)」
限定アクセサリー(別売):
「湯呑みキャップ」:頭に乗せるとご満悦(湯気がハート形になる)
「こぼれ涙ティッシュセット」:泣いたときに拭いてあげられる
「風呂桶型バッグ」:一緒に温泉に連れていける仕様。超人気。
付属のミニ設定冊子『チャ・ゴーレムのぼっち日記』より抜粋:
『きょうは また のみのこされた。
でも、さいごの ひとくちが きっとぼくを すくってくれるって、そう しんじてる。』
泣くなゴーレムくん……!でもちょっと笑える。
想定販売キャッチコピー:
「そのお茶、残さず愛して。」
癒しとモフに包まれた、あなたの小さな“もったいない”ヒーロー!
気を取り直して第13話行ってみよう!
第十三話:博多より来たる!バリカタ点前・煎士郎の男気一服!!
──全国高校茶道選手権・第3回戦──
札幌S高校茶道部の前に立ちはだかるのは、九州代表!
\バァァン!!/
「バリよぉお〜〜〜〜!! 茶筅は芯が通っとらんといかんばい!!」
■博多 煎士郎
所属:筑前男茶学園 茶道部 主将
流派:剛点前流・博多式バリカタ点前
二つ名:茶道界の濃口男児/アツ湯魂魄漢
好きなもの:明太子と気合い
嫌いなもの:ぬるま湯、遠回しな表現、煎茶なのに冷静なやつ
まっ茶「なんかヤバい奴キターーーッ!! 湯気までドスが効いてる!!」
茶羅門龍牙(観客席から)「……あいつはマジで熱湯で育っとる」
試合前コメント(なぜかマイク付き)
煎士郎「こっちは九州男児代表やけん!
お嬢様系でも忍者でもアイドルでも!お茶で全部ぶっ飛ばすばい!!」
水子「その意気込みはいいけど……バリバリすぎて聞こえない時ある」
【全国大会・第三試合、開戦!】
審判・風間茶判(今日は法被で登場)
「本日の審査基準は……“気合い注入量(物理)”!
一服飲んだ時の“喝”が強い方の勝ち!」
一星「もうそれ、茶道じゃなくて格闘技では……?」
■先行:博多 煎士郎!
「行くばいっ!!」
\“熱魂轟打・バリカタ一滴拳”!!/
茶筅で湯を打ち出す拳法スタイル!!
茶碗が震え、湯気が火を吹く! 湯温は驚異の98℃!!
「アツくてナンボばいッ!!!」
観客「うおおおおお!! ハッスルゥゥゥ!!!」
■後攻:御茶乃水水子
彼女は静かに一歩前に出て、
湯気の中に、たった一滴、冷水を垂らした。
\“霧点降心・風涼一服”/
熱を包み込むような冷たい気配と、
ほんのり甘い香りが観客席へと広がっていく――
「熱いだけじゃ、心は淹れられないわ」
\ドシュウウウウッ……/(会場、感涙の湯気)
審判・風間茶判「どちらも“湯気”の極致ッ!!
だが、より深く沁みたのは……御茶乃水水子!!!」
\K・O!/
【戦後・男泣き】
煎士郎、豪快に泣く。
「うおおおおおん!! 悔しかばってん!!!
お前の一服、心の奥底まで沁みてきたばい……!!」
水子「あなたの茶も、体の芯まで温まったわ」
煎士郎「まじかぁあああ!! 湯飲み交わそうや、今度は同じ方向で!!」
一星「……少し焼けるね」
夜叉之丞「……今、俺が“湯気”で隠してやろうか」
\まっ茶:お前ら風呂と湯気で恋愛するのやめろぉぉぉ!!/
次回予告!
第14話:「茶界のダークホース!?関西からやってきた“千茶黒 ほむら”の闇茶オーラとは!」
笑顔の裏に、隠されたドス黒き茶碗……水子の心に揺らぎが!?
第十四話:闇の茶人、千茶黒ほむら。静寂の笑顔に潜むもの
──全国大会・準決勝直前。
札幌S高校 茶道部の面々は、不思議な緊張感の中にいた。
ひかり「ねぇ……なんか、空気が重くないザマス?」
まっ茶「さっきから、湯気に色がついてる気がするっス……!」
風間茶判(極めて真顔)
「これは……**“闇点前”特有の気圧だ」
「相手は、おそらく――」
その時、会場の障子が音もなく開いた。
「やっほー。……こんにちは。あんまり話したくなかったけど……来ちゃった」
■千茶黒 ほむら(ちちゃぐろ・ほむら)
所属:関西・私立“月見高”茶道部
流派:裏千家派・幽影点前
二つ名:静笑の闇茶人/甘き毒泡のほむらちゃん
口癖:「ねぇ、だれも、ほんとにお茶の味、わかってないんでしょ……?」
彼女の笑顔は柔らかい。
でも、そこに宿るのは温かさではなく、静かなる絶望だった。
一星「……この人、危険だ。紅茶でも感じたことのない、味のない香りがする」
夜叉之丞「……茶の影を、心にまで差し込める奴……まさに“裏の極み”」
水子は、一歩も動かず、ほむらを見つめた。
「……あなたの点前、味わわせてもらうわ」
ほむら「……いいよ。私ね、ずっと誰かに飲んでほしかったんだ、ほんとの、私のお茶」
【全国大会・準決勝・開戦!】
審判・風間茶判(今回は無言で見守るスタイル)
会場は静まり返り、
観客たちは呼吸すら控えている。
■先行:千茶黒ほむら
「“微笑一滴・空泡斬”」
彼女の茶碗は、音がしない。
茶筅が泡を立てても、それは無音の涙のように表面に浮かぶだけ。
そして放たれた一滴は――
観客の目には見えない。
でも、みんなが、泣いた。
■後攻:御茶乃水水子
震える手で、茶筅を握り直す。
(こんな……“無”のような一服……私の……)
だが、一星が声をかける。
「水子さん。
あなたの茶は、いつだって……“誰かのそば”にある」
夜叉之丞「心が沈んでも……お前の一服があれば、俺は戻れる」
まっ茶「主将!……主将の一服に、俺、助けられてきたっスよ!」
水子の手が、震えを止めた。
「ありがとう。
じゃあ……私の“今”を、一滴、点てる」
\“一泡一歩・歩点茶華”/
静かな茶。
でも、確かにそこに“歩み寄る温度”がある。
\……すぅ……/(風が吹き抜ける)
風間茶判「勝者――御茶乃水水子」
【試合後:笑うほむら】
ほむらは、涙も見せずに微笑んだ。
「そっか……負けたんだ……
でも、なんか……今は、少し“味”があるかも」
水子「……また、飲ませて。あなたの、一服を」
ほむら「……うん。また、ね」
彼女は、影のように、すっと去っていった。
その背中は、最初より少しだけ、軽く見えた。
【エピローグ:大会控室】
大会スタッフの声が響く。
「次が……決勝です。
相手は……全勝無敗の“無所属茶人”。
その名は――茶無双」
水子「……ついに来たわね」
まっ茶「主将、決着つけるっスか……茶の、すべてに!!」
風間茶判(思わず手を合わせる)
「この一服が、伝説になる」
次回予告!
最終話・前編:「茶覇の頂へ!御茶乃水水子vs茶無双――伝説の点前が、今、始まる!!」
命を、想いを、そして未来を点てる一服へ――!
茶バトル、最終章、開幕!!
最終話:茶覇の頂へ!
――「点てる理由」を知った日
【第一章:開戦、静かなる最終戦】
──全国高校茶道選手権・決勝戦会場。
会場全体が、言葉では言い表せぬ緊張感に包まれていた。
観客席、審判席、仲間たち……
皆が息をのむ中、ゆっくりと現れたのは――
■茶無双
無所属。流派不明。
過去数年、公式大会に出場していながら一度も所属を持たず、すべての流派に勝利。
二つ名:茶のはじまりにして、終わり。
「ついに……たどり着いたな、御茶乃水水子」
水子は黙ってうなずいた。
「この一服で、お前の“理由”を見せてみろ。
オレは――その全部を、飲み干してやる」
審判:風間茶判(本日は正装)
「本試合、判定基準は……もはや不要ッ!
この一服が“人の心を動かしたかどうか”のみ!
魂の審判を務めるのは、ここに集う“全員”だ!!」
\拍手と静寂が交錯する/
【第二章:激突、二つの点前】
■先行:茶無双
彼の動きは……最初から終わりのようだった。
茶筅は一切回さず、湯を静かに注ぎ、茶碗を握る。
だが、そこに込められたものは――
「流派も形式も捨てた。
オレの茶は、“誰にも教わらなかった”味だ」
\“始源泡流・無手泡点”/
香りも、泡も、形もない。
ただ――重い。
それを見て、水子は震えた。
(これが……全てを否定してきた茶……?)
■後攻:御茶乃水水子
だが、彼女は笑った。
静かに、穏やかに、そして――強く。
「私の茶は、“誰かから受け継いだもの”よ」
「教わった。
伝えられた。
一緒に点てた。
悔し泣きも、笑いも、愛しさも、
全部、お茶と一緒だった」
「だから私の茶は――“ひとりじゃない”」
\“継泡点前・一椀千想”/
その一服には、仲間たちとの記憶、想い、未来が全部込められていた。
【第三章:フィナーレ・その一滴に、すべてを】
茶碗が置かれる音すら――心を震わせた。
観客席にいるすべての者が、静かに涙を流した。
甘露寺あまね「ふえぇ……なんか、お茶が心に来たぁぁぁ……」
まっ茶「やばい……俺、鼻から抹茶出そう……」
茶無双は、沈黙のまま、水子の一服をすべて飲み干す。
そして――
はじめて、笑った。
「……お前の茶……あったかかった。
誰かのために点てられた“最強”だった」
彼は、茶筅を静かに置いた。
「完敗だ、御茶乃水水子。
お前が、“茶覇”だ」
【最終章:その後と、これから】
優勝を果たしたS高校茶道部。
大会後、部室でひとつの話題が持ち上がる。
夜叉之丞「水子、お前、これからどうする?」
水子「……まだ考えてない。でも、ひとつだけ決めてる」
一星「なにを?」
水子は、微笑んだ。
「これからも、誰かのために茶を点て続ける。
笑ってほしい人が、まだ、たくさんいるから」
エンディング
──春。新しい部員が茶室の扉を開く。
「こんにちはー! 茶道部、見学したいんですけど!」
まっ茶「おっしゃ! 新人きた! さぁ、一杯点ててやってくださいよ、主将!」
水子「……ふふ、わかったわ。
じゃあ――ようこそ。あなたの“一服目”、点てるわね。」
カラン、と茶碗が鳴る。
そこからまた、新しい物語が、始まっていく。
【完】
《サドウ・オブ・ザ・ティー》
――その一服に、命を込めて・・・脳三級(いいえ結構です。ノーサンキュー)・・・受けてない・・・ま、いっ茶ね。おしまい。
あとがき
――たかがお茶。されど一服。
まずは、ここまで読んでくださったすべての方へ。
ありがとうございます。
この物語は、「茶道でバトルしたら面白くない?」という
なんともふざけた(でも本気な)アイデアから生まれました。
でも、気づけば――
ギャグだけじゃ終わらず、
汗も涙も、友情も、ちょっとした恋も混ざって、
とても不思議な「茶の世界」が出来上がっていました。
茶筅が刀のように唸り、
湯気が会話になり、
一杯のお茶が、誰かの人生を変えてしまう。
おかしいけど、
少し羨ましくもあって、
どこか本当に、こんな“茶道部”があったらいいなって、
思えるようになりました。
主人公の御茶乃水水子が点てたお茶は、
決して特別な魔法ではありません。
けれどそこには、
「誰かのために立てる」という覚悟とやさしさが込められていました。
私たちの毎日も、
たった一杯の飲み物でちょっと楽しくなること、ありますよね。
この物語が、あなたの“日常の一服”を
ほんの少しだけでも面白くしたなら――
それこそが、何よりの「勝利」です。
最後までお付き合い、誠にありがとうございました。
それでは、またどこかの茶室でお会いしましょう。
──作者より、深く一礼。