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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「泰山のリボルダービー」に関する取材記録

作者: MAGA

これは――あるテレビ番組に纏わる都市伝説に関する取材記録である

下記は、1971 年1⽉から 1991 年4⽉まで放送されたクイズ番組である「泰⼭(たいせん)のリボルダービー」の録画テープの内容を書き起こしたものである。


録画媒体がγ(ガンマ)規格ビデオテープであり、テープ、再⽣機器共に保存状況が悪いため画像はノイズにより(ほとん)ど確認できない状態であった。

⾳声については⽐較的良好な箇所もあるが、修復ソフトで処理してもなお聴き取りづらい箇所が多数存在する。


依頼者の曾祖⽗が出演しているとのことで、画像及び⾳声共にノイズのため判別は難しいものの、可能な限り依頼に応えるため下記を作成したものである。


(ブルーバック)


⼤橋泰⼭(おおはしたいせん):泰⼭の、リボルダービー!


(ファンファーレ)


⼤橋泰⼭:さあ始まりました毎週恒例のリボルダービー、司会は私、⼤橋泰⼭です。


津⽥(つだ)エヴァ:アシスタントの津⽥エヴァです。今週も■■■って参りましょう!


⼤橋泰⼭:随分(ずいぶん)と■い⽇が続いておりますが、視聴者の皆様体調など崩されておりませんでしょうか?今⽇はそんな■■■にぴったりの灼熱■を増量してお送りしますリボルダービー、 まずは回答者のご紹介です。


津⽥エヴァ:まずはこの⽅、(ことむけ)幸司(こうじ)さん。


平:どうもこんばんわー。


(拍⼿)


津⽥エヴァ:そして今週もパーフェクトなりますでしょうか刑部(おさかべ)荊⼦(けいこ)さん。


刑部:こんばんわー、今⽇も■■が■までがんばりまーす!


(拍⼿)


津⽥エヴァ:続いて、珍回答でおなじみの塚森(つかもり)教授です。


(拍⼿)


塚森:こんばんは。いやちょっとー、珍回答しようと思ってるわけじゃないんですよ。


(観客の笑い声)


津⽥エヴァ:そして⼀般参加者のご紹介です。まずは■がやく(おそらく瀬⽥⾕区(せたがやく))在住のフクマさん。


フクマ:どうも■■(⾳声不明)、■する様を⾒■■■■■楽しみ■■■(⾳声不明)


津⽥エヴァ:つづきまして■■区在住のオジロ(もじろ?)さん。


オジロ:■■■がですね、■■(⾳声不明)どの道に⼊るか■■(⾳声不明)


津⽥エヴァ:最後は■■区からお越しいただきましたサガラ(さはら?)さんでーす。


サガラ:(⾳声不明・かろうじて「ちくしょう」と聞こえる箇所があるのみ)


⼤橋泰⼭:さあ以上の参加者3名による⽩熱の勝負が■■られるリボルダービー、 今夜■■■を抜きながらご覧下さい!どうぞチャンネルは■■■で!


(ファンファーレ)


アナウンス:この番組は、ミツカサセイ■ショ(三傘製薬所?)の提供でお送りします。


この後、CM部分については画像・⾳声とも判別不可能であった。

なお⼤橋泰⼭⽒は番組終了後も芸能活動を続けたようだが、その後⼊院したとの情報があり2002 年に死去している。

死因については詳細不明だが、⼀説には⾃死ではないかとの噂も根強い。

アシスタント役の津⽥エヴァ⽒については番組終了と共に芸能界を引退した模様で、その後の活動記録は⼀切残っていない。


(CMあけのジングル)

⼤橋泰⼭:それではさっそく参りましょう、エヴァちゃん、1問⽬をよろしく!


津⽥エヴァ:はい、第1問⽬は恒例の3択問題です。■■■のうち、最後まで■■(⾳声不明)するのはどの■■■■■か?正解を予想してフリップにお書きください!


⼤⼭泰⼭:いきなり難しいねえ、これ3⼈とも■■■(⾳声不明)でしょ?■■らないと思いますけどねえ。ねえ、平さん。


平:うーんそうですねえ、■■ですからねぇ、速度は(たも)つ必要があるんですよね?


塚森:どうせあれでしょう、速度を落とすと■■■から■■(⾳声不明・ねずみ?と聞こえる)■■われるんでしょう?


刑部:あ、でも■■とも■■以上(⾳声不明)■■してるんですねぇ、これはその時の■■■■いいですか?


⼤橋泰⼭:そりゃそうですよ、じゃなきゃ■■■になら■■すか、(⾳声不明)当時みたいに、景気よくどーんと■■■(⾳声不明)してもらわない■■■ !


塚森:この⼿の問題は平さんが強いんですよねえ、なんせご⾃⾝も■■(⾳声不明)からねえ、やっぱり■■ないと■■■(⾳声不明・りゅういん?と聞こえる)?


平:ちょちょ、塚森さぁん、勘弁してくださいよぉ、せっかく■■■なんですからね!


(観客の笑い声)


⼤橋泰⼭:それだ■■■(⾳声不明・あきた?と聞こえる)ってことでしょうね、いいことだと思いますよ。さあそれでは参加者の皆様、予想をどうぞ!


参加者である三名が何かを喋っているが、内容は聞き取れない。紹介順で考えるとフクマ、オジロ、サガラの順で話していると思われる。サガラ⽒と思われる⼈物が話す時に特にノイズがひどくなる。かろうじて「そくどうろ(⾼速道路?)」、「しけん(私⾒?)」と思われる単語が聞き取れるが、詳細は不明。


⼤橋泰⼭:それでは倍率ドン!おぉ!やはり塚森教授が⾼倍率ですねぇ!


塚森:まいったなあ、私は■■■でしょ?あんまり■■■(⾳声不明)からねぇ。


⼤橋泰⼭:では参加者の⽅の予想も決まったところで、正解VTR⾏っちゃいましょう! エヴァちゃん、VTRよろしくぅ!


津⽥エヴァ:はーい、では正解VTRでーす!■■■から映像が■■まーす!


平:これは■■■なぁ!特に■■■(⾳声不明・サガラ?)⾒逃せないですね!


⼤橋泰⼭:では■■■(⾳声不明・「○○ショ」と聞こえる)の準備も■■■で、さっそく■■■!リボルダービー、いよいよスタートでーす!!


ここまではおそらくスタジオと思われる場所の映像であるが、別の場所にカメラが切り替わったようである。ノイズのせいで明瞭(はっきり)とは判らないが、それまでの⻘基調の画⾯から⾚基調の画⾯に変わったように⾒える。どことなく⽕災現場を想起させる画⾯だが、詳細は判別不能。 ⼈の叫び声のように聞こえるノイズが続く。⼗数秒後、何かがぶつかる⾳のような、⼤きな⾳が聞き取れる。映像のノイズはこの部分もひどく、修復ソフトを使⽤してもモザイクがかかったようにしか⾒えない。


(観客の笑い声)


⼤橋泰⼭:(笑い声)こーれは■■ろいですねえ!え、ジグソーパズルかな?(笑い声)


平:組み上げるのが大変そうですねえ(笑い声)


(発⾔者不明):⾒て、ほら⾒て!まだ■■■てますよぉ!こりゃ傑作ですよ!


⼤橋泰⼭:さすがに皆さん興奮の⾊を隠せませんねー!そして正解者は、さすがの平さんですよぉ、今回もばっちり的中ですねえ!


平:まあねえ、これは外せないでしょ、なんせ何度も■■■ねえ。あ、これ■■すか?


津⽥エヴァ:やだもう平さんたらぁ!⾃動■■■■?


塚森:そうだよ、■■■から、望むと望まない■■■(⾳声不明)


⼤橋泰⼭:望んでるわけないでしょうよぉ!


(観客の笑い声)


⼤橋泰⼭:細切れですからねー、まあ、そうじゃないと意味がないんですけどね。


(観客の笑い声)


津⽥エヴァ:細切れですからねー、まあ、そうじゃないと意味がないんですけどね。


(観客の笑い声)


この後、全ての回答者・参加者がコメントしているが聞き取り不能であった。しかし、ノイズの抑揚から推察すると、全員が「細切れですからねー、まあ、そうじゃないと意味がないんですけどね」と発⾔しているように思える。全員が同じコメントを⾔っているのに、スタッフ達は⽌めなかったのだろうか?


⼤橋泰⼭:それじゃ、じゃんじゃん⾏っちゃおう、エヴァちゃん、2問⽬よろしくぅ!


津⽥エヴァ:はい、2 問⽬は拷■■■■■でーす!


⼤橋泰⼭:これも⼈気あるからなぁ、特に■■■■が■■■■■(⾳声不明:途中、フクマさんと⾔っている?)でしょ?


平:私はね、もう(かお)⾒れば判りますよ。あ、こいつは脱落するな、ってね。


刑部:ええー?脱落ですかぁ?脱落と⾔うより、むしろリセットじゃないですかぁ(笑い声)


(観客の笑い声)


塚森:まあそうだけどさ、結局終わらないわけじゃん。■■■道に⾏くって、決まったようなもんでしょうよ。


⼤橋泰⼭:出ました塚森教授のネタバレです(笑い声)


平:ちょっともう、塚森さん⾶ばしすぎですよぉ、■■■(⾳声不明・楽しみという言葉?)が■■■■■〜!僕も⼿伝っちゃおうかな(笑い声)


(観客の笑い声)


⼤橋泰⼭:それでは回答者の倍率も出たところで、回答VTR⾏っちゃいましょう!


津⽥エヴァ:はーい!次はトウカツ(統括?)■■■■■からの■■■!


⼤橋泰⼭:では■■■(⾳声不明)の準備も■■■で、さっそく■■■!リボルダービー、第2 問でーす!!


再び別の場所にカメラが切り替わったようである。画⾯全体が暗く、ノイズもあって殆ど確認できない。スロー再⽣中、1コマだけ調理場のようなものが映るが、何を調理しているかは不明(⼤量の⾎液のようなものが⾒える)。1 問目同様、⼈の叫び声のように聞こえるノイズが続く。数秒後、ノイズに混じってベルのような音が聞こえる。以降、続けざまに(数秒おきに)ベルの⾳が聞こえる。画⾯が完全に暗転した後、調理した⾷材と思われるもの(?)を床に落とすような、⽔⾳混じりの雑⾳が聞こえる。


(観客の笑い声)


⼤橋泰⼭:(笑い声)こ、これは(笑い声)⾒ました■■■■?


発⾔者不明:もう 2 秒かそこらで■■■■してましたからね、短すぎるだろと(笑い声)


刑部:ほんと⾺⿅ですよねえ、早めに脱落したら、余計縄⽬(なわめ)をつけられるんでしょ?


塚森:刑部さん違いますって(笑い声)!そっちはコクジョウ(国城?)じゃないですかぁ!


(観客の笑い声)


⼤橋泰⼭:■■■さんも笑いすぎてコメントできないみたいですが(笑い声)え、スタッフさんアレは何処(どこ)で処理するんですか?


平:え、その場で■■■■?


発⾔者不明・おそらく参加者の内の誰か?:しで■■■■してもらえないでしょうかね?


(観客の笑い声)


⼤橋泰⼭:(笑い声が 10 秒以上続く)さ、最⾼ですねえ■■■!それ採⽤しましょう!ええとそれじゃスタッフさん、搬送お願いできますか?そうそう、シンクチュウ(進⾏中?)多めでお願いしますね!


刑部:これは⾯⽩いですねえ(笑い声)⽬覚めたらすぐ、ってことでしょ?


塚森:何を喰わされてるか、最初は絶対判らないですよこいつら(笑い声)


(観客の笑い声)


⼤橋泰⼭:まあ、■■■■員をやっちゃってるわけですしぃ?まだ(ぬる)いほうでしょ。


津⽥エヴァ:温いのがいいんじゃない、その⽅が余計⻑引くんだからさ。こいつら全員、■■■■でもいいだろがよ。


平:だよなあ、弱⽕でじっくりでいいよ。()ぐに、つうか楽に■■■ねる訳ねえだろがよ。


(観客の笑い声・ボイスチェンジャーを使ったように歪んでいる)


⼤橋泰⼭:さぁてと、どうせもうどの道に⾏くかハ決マってるんだし、全然リボルじゃないけど、やっちゃいましょうかねえ、⾯倒くさいんでキョウカン(共感?)で良いような気もするけどよぉ。


津⽥エヴァ:いやぁ、それは駄⽬しょうさすがに。釣り合いガ取れないですからねー 。


刑部:ちゃちゃっと済ませましょうよ、どうせ■■■■しょ?壊れやしねえよ。


⼤橋泰⼭:そうだねえ。ええと次は――オジロさんか。


塚森:これ、普通にやっても、⾯⽩くないよなあ。


津⽥エヴァ:あ、これいいですね、テツヤカンジキ■■ウイホウ出てますよ。


平:えぇ?何処の■■■?■■ショかな?


⼤橋泰⼭:あ、これはラッキーですねぇ!ここにまとめて送ってみましょうか!


発⾔者不明:誰に■■■■■?


塚森:いやいや⼤丈夫ですよ(笑い声)もう⼟砂降りなんですから(笑い声)


刑部:そうそう、逆にね、どれが最後まで動■■■■で、■■■■うか?


平:(笑い声)ご、(ごみ)みたいになりますよ(笑い声)


刑部:もともと塵ですから、問題無いでしょ(笑い声)で、また■■■チュウで!


(観客の笑い声・⼈数が増えている?)


⼤橋泰⼭:よし、じゃあ第 3 問はそれで⾏っちゃおう!リボルダービー、最後の問題です。 倍率ドン!さらに倍!


塚森:うへえ、私30倍なの。


発⾔者不明・オジロ⽒?:■■■■に全部でお願いします 。


⼤橋泰⼭:おおっとここで⼤逆転狙いですか!さすが■■■■■■す!


刑部:まあ、■■■れてますからねえ、当たレバ塵どもを■■■!


平:何⾔ってんですかもぅ!出来レースみたいなもんでしょ!


津⽥エヴァ:■■になるマデ降りますからねえ。


(観客の笑い)


発⾔者不明:■■になるマデ降りますからねえ。


津⽥エヴァ:■■になるマデ降りますからねえ。 回答者の倍率も出たところで、回答VTR⾏っちゃいましょう!


⼤橋泰⼭:■■になるマデ降りますからねえ。回答VTR、どーんと⾏っちゃいましょーう!


何故か同じフレーズが繰り返されている。その後カメラの場所が変わったようだが、明度が低く判別不能。画像の明度を調節してみたが、何故か全く明るくならない。何かが激しく降ってきている?瀬⼾物が割れるような⾳と、叫び声のようなノイズが⼗数秒間続くが、その間粘着質な⾳がずっと聞こえる。気分が悪い。


⼤橋泰⼭:(笑い声)


(観客の笑い声・回答者達も笑ってるのか、だんだんと甲⾼いノイズにしか聞こえなくなる)


発⾔者不明:■■■が、バラバ■■■!(笑い声)


発⾔者不明:まだ■■■■の?すげえ!(笑い声)


このままシデイ■■■■■■■■?最⾼の■■■■■■■■■(笑い声・以降全て発⾔者不明)


■■■■■■■■■■■■■■■!■■■で■■■■■■やつざ■■■■?


■■■■(笑い声)くびごと■■■■■■■■!(笑い声)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(以降、画像・⾳声共にノイズにより判別不能)


このテープに録画された「泰⼭のリボルダービー」は、国民的アニメの謎の回や、人気アニメ映画がテレビ放送された際に流れたという別バージョンのエンディングなどと同じく――

⻑らく幻の回と呼ばれ(なか)ば都市伝説化していたものである。


当時の視聴者の証⾔によると、通常とはスタジオの雰囲気が違いクイズの内容も異様なものであったという。


不思議な事に、異様であったとか(おぞ)ましかった等の全体の印象については証⾔があるものの、具体的な内容については誰⼀⼈として記憶に残っていなかった。


なおこのテープを提供していただいた依頼者である相良さがら⽒は、その後⾃ら命を絶ち、遺品整理の最中にテープの所在も判らなくなったとのことだった。

つまり、私が書き起こしたこの内容のみが最後の記録になってしまった可能性が⾼い。


余談であるが、相良⽒はある事件の被害者(遺児)であり、隣⼈の証⾔では死の直前までこのテープを視聴していたという(テレビの⾳がうるさいので⼤家と共に相良⽒の部屋へ⼊ったところ、ご遺体を発⾒したとのこと)。


参加者として名前の挙がっていたフクマ、オジロ、サガラの 3 名について、それぞれ当時話題となった事故・事件の関係者(被害者)に同姓の方がいるが、リボルダービーとの関係性は不明である。

(そもそも発生と放送時期が合っていない事件もある)


本件については、さらなる調査が必要かと思われるが――


唯⼀の物証であるビデオテープは、今も失われたままである。


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