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いうこと聞かない悪い子には?

「それじゃあ、改めて聞くけど……」

「セツナ君、私たちといいことしましょ」


 鞭で叩かれて、みみず腫れになっているセツナの胸を優しく愛撫しながら、二人のサキュバスは彼の耳元で囁く。


「大丈夫、最初は怖いかもしれないけど……」

「と~っても、気持ちいいこと、たくさんしましょ」


 蕩けてしまいそうな甘い囁きに、顔を真っ赤にしたセツナは、


「い、嫌です」


 それでもイヤイヤとかぶりを振って、サキュバスたちの誘いを断る。


「僕はあなたたちには、絶対に屈しないです!」

「…………ふ~ん」


 再び発せられた否定の言葉に、シャルムの目がスッ、と細くなる。


「どうしてなの? 私たちが、こんなに優しく頼んでるのにさ……」


 セツナの胸を優しく撫でていたシャルムは手をゆっくりと下げて腹部まで持っていくと、手の平を握って拳を作る。


「どうしてわかってくれないの!」


 そう言うと、シャルムはセツナの鳩尾目掛けて拳を繰り出す。


「私たちが! こんなに! お願い! してるのに!」

「ぐっ……うぐっ! あがっ、がはっ!」


 腹に力を入れて耐えていたセツナであったが、四発目のボディーブローを受けた時に耐え切れず肺の中身を吐き出す。

 そこへさらに、シャルムの拳が力の緩んだセツナの腹部に容赦なく突き刺さる。


「あぐぅ! げほっ…………げほっ、うげえええええぇぇ!」


 威力を相殺できず、堪らず体をくの字に折り曲げたセツナは、嗚咽を漏らしながら胃液を吐き出す。


「ああ、セツナ君、可哀想……痛い? 痛いよね?」


 苦しみに喘ぎ、大きく息を吐くセツナの頬を、シャルムは愛おしそうに優しく撫でる。


「私も本当はこんなことしたくないの。セツナ君と、一緒に気持ちよくなりたいだけなの」

「はぁ……はぁ……」

「だからお願い。もう意地を張るのは止めよう……ねっ?」

「………………嫌です」


 口の中に溜まったものを全て吐き出し、大きく息を吸ったセツナは、顔を上げてシャルムのことを睨みながらハッキリと告げる。


「僕には……ここでやらなきゃいけないことがあるから……あなたたちの贄になるわけにはいかないんだ!」

「――っ、このっ!?」


 頑なに要求を拒否するセツナに、怒りを露わにしたシャルムが右腕をおおきく振りかぶって彼の無防備な腹部を容赦なく殴る。


「わからずやがああああああああああああぁぁぁ!!」


 叫び声を上げながらシャルムが拳を振り抜くと、セツナを拘束していた蔓が引き千切れ、それでも殺し切れなかった勢いのまま彼の体が地面を転がる。



 地面を三度もバウンドしてようやく倒れたセツナは、殴られた腹を押さえて蹲って喘ぐ。


「あっ……ガ、ガハッ……ゲホゲホ……」


 肋骨が折れたのか、苦しそうに喘ぐセツナの口から血の塊が吐き出される。


「ねえ……」


 最早逃げる猶予もない様子のセツナへと歩み寄ったシャルムは、彼の髪の毛を掴んで顔を起こして捲し立てる。


「どうしてわからないの? このままじゃセツナ君、死ぬしかないんだよ?」


 叫びながらシャルムは皮の胸当てを剥ぎ取ると、セツナの腕を取って自分の胸へと押し付ける。


「ほら、セツナ君が欲しがっていたおっぱいだよ。ちょっと力籠めれば、待望のおっぱいが味わえるんだよ? このまま死んじゃうぐらいなら、せめて最後にいい思い出を残そうよ……ねっ?」

「…………それでも」


 右手に伝わる柔らかさをなるべく意識しないよう、セツナはシャルムを真っ直ぐ見据えて薄く笑ってみせる。


「僕は、簡単に手に入るおっぱいなんていらないです。どれだけ困難でも、初めてのおっぱいは……好きな人のがいいです」

「…………そう」


 追い詰められて尚、意見を曲げようとしないセツナを見て、シャルムの瞳から感情の色が消えて行く。


「じゃあ、仕方ないね」


 シャルムはセツナの体をひっくり返して仰向けに寝かせると、彼の上に馬乗りに乗る。


「君みたいな面白い子をここで失うのは残念だけど、君の初めてを無理矢理もらうよ」

「は、初めて?」

「フフッ、そんなことも知らないんだ。本当、勿体ないな」


 シャルムは近くで見守っていたソールと顔を見合わせて頷くと、トレントへと命じて再びセツナの手足を蔓で拘束する。

 セツナを床に大の字に張り付けにしたシャルムは、艶っぽい表情で彼の下腹部をそっと撫でる。


「可哀想に、こんなに縮こまっちゃって……大丈夫、すぐに元気にしてあげるから」

「うわぁ、や、やめ……て」

「いいえ、止めてあげない。もう泣いたって、許してあげないんだから」


 イヤイヤと首を横に振るセツナを無視して、シャルムは尚も彼の下腹部を執拗に撫で続ける。


「ねえ、シャルム」


 近くで見ていて興奮してきたのか、鼻息を荒くしたソールが話す。


「せっかくだからこの子、壊しちゃわない?」

「……いいわね、それ」


 ソールの提案に、シャルムは唇の端を限界まで吊り上げて凶悪な笑みを浮かべると、先端がスペードの形をした悪魔の尻尾を掲げる。


「う……あ…………な、何を?」

「フフッ、セツナ君が悪いんだよ」


 尻尾をゆらゆらと揺らしながら、シャルムは尻尾で何をするかを話す。


「この尻尾には、刺した相手に催淫効果を与え、いつもより沢山の精液を出させる効果があるの」

「ただ、ちょっと刺激が強過ぎて、刺された相手は死ぬまで腰を振り続けるおバカちゃんになっちゃうんだけどね」


 同じように尻尾をゆらゆらと揺らしたソールが補足説明する。


「でも、ボクちゃんはもうすぐ死んじゃうから関係ないよね?」

「これに刺されたら意識も飛んじゃうだろうけど、もう別に気持ちよくならなくてもいいものね」

「や、やめ……」


 意識までも奪われると聞いて、セツナは堪らず涙を零しながら助けを乞うが、


「ダ~メ、言ったでしょ? もう遅いって」

「万が一復活出来たら、今度は素直になることね」


 あっさりと意見を却下した二人のサキュバスは、容赦なく自身の尻尾を振り下ろした。

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