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番外編:ロイド王⑧


 「ジャクソン、貴様何しに来た!」

宰相は顔をあげるとジャクソンに怒りを向けた。

「騎士団長を辞任して、お前は単なる貴族の一人であろう。

たかが伯爵風情がこの会議に参加する資格を有しておらぬ」

そう怒鳴りつけられても、ジャクソンはおそれる様子もない。

「がはは、たかが伯爵風情だと?この場所には伯爵以下の貴族もたくさんおるというのに、よくもそんな事が言えたもんだな。どれほどお偉いつもりなのかねえ、宰相さまは」

「う、うるさい、早くここから出ていけ!」

「だってよ、どうする?王よ」

ジャクソンがそう問いかけると、ロイドが答えた。

「ジャクソンは、ジャクソン=ペロー伯爵はこの計画の警備責任者兼、マニスタン国とブルッスタン国との窓口となる。重要な役目を負った人物だ。この会議に参加する資格は持っている」

ロイドがそう言い切ると、宰相はふんっと鼻で笑った。

「何が重要な人物だ。街道整備計画は白紙に戻す。これが決定だ」

宰相がそう言って立ち上がった。

周囲もそれに習うように立ち上がっていく。


「待て、まってくれ、そんな簡単に決めてもらっては困る。

他国も協力してくれる壮大な計画だ、きちんと皆で考えて・・・」

「だから、何度も申し上げているでしょう。そのような甘い罠にかかるほど私は愚かではないと」

宰相はそう言ってロイドを馬鹿にしたような目つきで見ていた。


「おい、トーマスよ。お前いつからそんなに偉くなった?」

ジャクソンの問いかけに、宰相は動きを止め、ジャクソンに向き直った。

「何だと?私は宰相だ。この国を動かしているのだから、当たり前だろう」

何を当たり前の事を、と周囲が思った時、ジャクソンの大声が場に響き渡った。

「我が国は王制であるぞ」

会場中がざわざわとし始めた。

「だ、だが、前陛下が「だから、その大ウソをいつまでつくつもりだ」」

焦ったように話す宰相を遮り、ジャクソンの大声は響き渡る。


「ペロー伯爵、陛下の最後のお言葉は、宰相の話と違うとおっしゃるのですか?」

デルタン伯爵が静かに問いかけた。

「ああ、違うな」

ジャクソンがそう断言すると、周囲はまたざわついた。

前王亡き後、宰相がため息交じりに 最後に陛下が『あのような愚かな息子に国はまかせられん』とおっしゃってな、と周囲に漏らしていたのは有名な話なのだ。

だから宰相が国のかじ取りをし、現王はお飾りのような状況は、愚かな王だから仕方がない、と皆思っていたのだ。


「では陛下は、前王バイド様は何といい残されたのですか?」

どこかから質問がされる。

「バイド様は、『あのような愚かな息子だが、民に迷惑をかけない王として生きるために支えてやって欲しい』そう言ったよ」

「「「「「なんと!!」」」」」

「バイド様は賢いお方だった、暴走した息子に対して怒りをお見せになったが、我々がよき方向に指導していけばよい、と最後に思われたのだろう。我々を信じたのだよ。ロイド様を導けると・・・」

「宰相は何故嘘を?」

「それにならい、我々も王を導くこともせず・・・」

「何という不敬を・・・」

会場中が今までの態度を反省し始めていた。


「ペロー伯爵、あなたはバイド様の最後の言葉を聞いたのに、何故辞任されたのです?」

「うむ、わしは難しい政治の事はわからん。

トーマスの嘘に気が付いた時には、もうすでに今のような状況になってしまっていてな。

表立ってロイド王を助けると、派閥ができてしまう。

我々が1枚岩でいるために、ロイド王が王として自覚をもって行動を始めるまで待っておったのだよ。

それには中枢にいるわけにはいかんかったからな」

ジャクソンの深い考えに、ロイドは改めて王として生きる自分を見直すのだった。


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