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番外編:世界会議

40話になっていたものを後日談として再掲載いたしました。

その年の世界会議に、アルベルトは国王として参加していた。


「アルベルト王」


声をかけられ、振り返るとブルッスタン国のクロードだった。


「今回はクロード殿が参加だったのか」


「ああ、マロード陛下は初めての子供が産み月でな、今回は私が代理だよ」


「そうだったのか、それは楽しみだな」


あれからのクロードは、1年間平民として学院で過ごした。


その後、マニスタン国に2年留学し、帰国後は王位継承権を放棄して公爵となり、臣下に下った。


王兄として弟であるマロードを補佐し、平民への教育や福祉の充実などを積極的に行っている。




しばらく歓談していると、手を振りながら暁王が近寄ってきた。


「暁王、お久しぶりです」


「おう、久しいのぅ。元気でやっておられるか?」


「はい、暁王もお変わりなく」


「そうか?私は貫禄がついてきたと思うのだが・・・」


そう言って首をかしげている。


暁王は度々マニスタン国を訪れており、その好奇心からやらかすことがあった。


そのたびに側用人になったカイから叱られており、『このタワケ』と叱られる姿に、暁王の名前はタワケなのだと王宮の使用人から認識されてしまうほどだった。


そのことを思い出して、アルベルトは少し笑いがこぼれてしまった。




「何やら楽しそうですね、アルベルト王」


「あ、ロイド王」「やあ、ロイド殿」「ロイド陛下、ご無沙汰しております」


それぞれがロイドに挨拶を交わす。


「今日は息子を紹介させてほしい」


そう言ってロイド王のうしろから出てきたのは、ロイド王にそっくりな容姿の少年だった。


「初めまして、トリニスタン国ロイド王が嫡男、ガイドと申します」


そう言って、挨拶をする姿を見て、アルベルトはご褒美目当てに挨拶に来たガイドを思い出し、時がたつのは早いな、と思った。




トリニスタン国とマニスタン国を繋ぐ道路は整備され、鉱山開発で採れた鉱物を運ぶことができるようなり、ロイド王は積極的に外交を行っている。


以前に比べて国が豊かになり、山地でも育てやすい植物や果物などを独自で開発できるようになってきたそうだ。


新たに開発している植物について、ロイド王と暁王が議論を交わしていると、女性が一人近づいてくる。


王たちがそれぞれ親交を深めている時、王妃たちは女性同士で外交活動をしている。


それぞれの国の流行や、新製品などの情報交換をするのだ。


それが自国の発展につながることになるかどうかは、それぞれの王妃の手腕による。




「アルベルト陛下、お元気そうですわね」


「アデレイド嬢!これは久しぶりです」


「本当ですわね、国に戻ってからは中々忙しくしておりまして」


「宰相補佐になられたと聞きましたが?」


「ええ、ようやく補佐の地位まで来ましたわ。


アルベルト殿下達にはおせわになりました」




アデレイドの国と新たに友好を深めるために、アルベルト達はアデレイドの母国、マリオット国に何度か通った。アデレイドが代表となり、友好条約を結ぶまでに何度も話し合いをした。


その際ヘンリー王子にも何度も会うことになったのだが、意外とヘンリー王子は優秀で、信頼のおける人物だという事がわかってきた。


やがて友好条約を結び、お互いの国同士で行き来が始まると、ヘンリーがやってくるようになった。


そしてその度に、アデレイドとの復縁の手助けをお願いされるのだった。


ヘンリーはアデレイド以外の女性を妻にするつもりはなく、立太子の時も婚約者は不在であった。


「アデレイド以外の女性は嫌だ」 と言い、独身のままでいる。


「後継ぎは養子を迎えればいい」 と言っているそうだ。


そんなヘンリーなので、現王はまだ退位できないでいる。




アデレイドがアルベルト達に挨拶に来た時、後ろからヘンリーが距離を置いてついてきているのをアルベルトは見ていた。


「ヘンリー殿は相変わらずみたいだね」


「ええ、全くあきらめの悪い・・・」


「宰相補佐だと、ヘンリー殿に会う機会も多いだろう?」


「ほぼ毎日ですわ」


そう言ってため息をつくアデレイドにアルベルトは提案した。


「後で皆で集まって話でもしよう」


「まあ、よろしいのですか?エレーナ様やカミラ様達もご一緒ですか?」


「もちろん」


そう約束してアデレイドは別の場所へと移動していった。


距離を置きながらヘンリーもついていくようだ。


ヘンリーはアデレイドを見守りながら、周囲の王たちに挨拶をしている。




ヘンリーの後姿を見て、苦笑をもらしたアルベルトは、自分も他の国の王たちに挨拶するために移動していった。

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