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それから
それからどのくらいが過ぎたのだろう
もはや結婚なんて諦めきっていた
僕は仕事に生きようと、父の遺した会社で、おじさんから学びながら一心に仕事をした
ただ仕事をしているだけで、あっという間に日々が過ぎていった
何も変わらないようで変わっていく
おじさんはいつの間にか、会長から相談役へと変わった
飼ったときは小さかった猫も大きくなったし、母は少しずつ年老いていった
それでも、変わらず結婚するなら家柄の良い子がいいのだろう
最初は一社員として仕事をしていたが、少しずつポストも上がっていった
社長でこそないものの、重役としてきっとそれなりの仕事を任せて貰えているのだろう
時折、息苦しさを感じることもある
そんなときは決まって海を見に行った
見遥かせるような海じゃない、向こう岸にも都会が広がる海だ
そんな海の方が、自分のことがよく分かるような気がした