彼女
まさかあんなことになるなんて思ってもみなかった
しばらくして家に招くと、母はいつも通り穏やかに接してくれて、付き合っているのだと言っても怒ることもなかった
ただ、そうなの、と笑ってお茶を淹れてくれた
彼女が帰ると、母はいつものように、結婚するなら家柄の良い子にしてねと口にした
僕は思わず、頷いてしまった
もともと縁がなかったのかもしれない
母は、ある程度遊ぶのは良しと思っていたらしい
何度か家に連れてくると、他の子とは遊ばないの? と不思議そうに尋ねてきた
付き合ってるって言ったよね? と聞くと、どうやら幾人かと遊んでいて、そのうちの一人だと思っていたらしい
結婚するなら家柄の良い子にしてね、とまた言うので、僕は少し絶望した
それから、これからおじさんが会いに来るらしいと唐突にのたまった
僕が驚いていると、あなたお父さんの会社で働くそうよ、と
待って、大学は? と思っていると、おじさんが来て色々と説明をしてくれた
インターンとして、会社のことも学んで欲しいと
急にポストにつけるわけにもいかないから、はやいうちから少しずつ下積みを積んでほしいのだそうだ
僕はそれから、大学と会社と、許される限りのバランスで動くこととなった
彼女とは自然消滅した