エピローグ
ギリギリまとまりましたー!!
と言うわけでラスト回、行ってみよー!!!
帰りの馬車で久しぶりのどろどろ溺愛に見舞われ、心身ともに疲れきって帰ってきた大騒動のお出掛けデート。
ディオは、熱も下がったとは言え、毒にやられて3日も寝込んでいたので、当面は無理せず王宮内での執務メインで働くと言ってた。
それに事後処理もあるからと言って、1週間程忙しそうに動いてた。
……おーい、無理せずって言葉の意味、知ってます……?
1度も会いに来れないほど忙しいってどういうこと…!?いや仕事なんだから仕方ないってのはわかってるけど…っ。
……正直、こんなに近くにいるのに会えないのがこれほど寂しいとは思わなかった。
ちなみに、私は何故かお父様達がいるタウンハウスではなく、王宮の客間でずっと寝泊まりしている。
王太子妃の教育のため…と言われているけど、多分それだけじゃないんだろうなぁ。
ーあの日、狙われたのは私だった。毒耐性のあるディオだったからあれくらいで済んだんだろうけど、私がもし刺されていたら今頃……っ。そう思うと、ゾワッと全身が震えた。
私が死ぬことも勿論恐怖だけど……。何より、ディオをまた置いていくことになっていたと考えるだけで胸が締め付けられるように痛んだ。
ーあんな思い、もうさせたくない。
それからさらに1週間経って、ようやく事後処理が終わったとディオが訪ねてきた。
「ずっと会いに来られなくてごめん。
ようやく全て片付いたから、もう大丈夫。」
「…そうですか。」
あ、可愛げない反応しちゃった。うぅぅ、ディオに呆れられるかなぁ。
隣に座ったディオは私の顔色を窺うように覗き込んできた。
「………ルー?
もしかして、寂しい思いさせちゃった?」
おどけた風に言ってくるけど、私は上手く反応出来なくて直球で返してしまった。
「しました。ものっ凄く寂しかったです…っ!ディオ様に2週間も会えないのがこんなに辛いと思いませんでした…っ。」
「…っ!…ルー…っ。」
拗ねる私に、ディオは驚いたように目を見開いて、次の瞬間にはぎゅううと抱き締められて口付けられた。
腰が抜けるくらい甘い口付けに顔を真っ赤にしながら恨みがましい目で睨んだ。ディオは苦笑いを浮かべつつ、私の肩を抱き寄せ頭を撫でてきた。
「ごめん。不謹慎だけど、ルーがそんなにも俺に会いたいって…寂しいって思ってくれたのが嬉しくて……っ。」
「……ちゃんと……好きだって言いましたよ?」
こうして言葉にするのは凄く恥ずかしいけどね!
「うん。ルーの気持ちを疑ってるわけじゃないよ。
…ただ、俺が人の気持ちに対して臆病なだけだ。ルーは悪くない。」
悲しそうに微笑むディオ。
…あぁもう!またそうやって自分ばかり苛めるんだから…っ!!私はぐわしっと頬を掴んでこっちを向かせた。
「もうっ!!そんなに悲しまないで。ディオは皆に愛されてるんだから。ちゃんと、今のディオを見てくれてるよ。
それに、何より私が知ってる。ディオがずっと頑張ってきたこと。小さい頃から見てきたんだもの。独りでよく頑張ってきたよね。…ディオが今こうして生きていてくれて、本当に嬉しい。」
…あれ……なんか論点ずれてる……?
っていうか、また失礼な言葉遣いをしてしまったー!!!!
「…ほんとにもう……っ。
ルーには一生かなわない気がする………っ。」
ディオはなんだか泣きそうな、でも嬉しそうな笑みを浮かべてそんなことを言ってくる。いや、それはこっちの台詞なんですが…?
「ルーは、興奮するとラフな喋り方になるね。」
クスクス笑いながら言われ謝ろうとすると、これからもそれで構わないと言ってくれた。
勿論公の場では改めるけど、2人きりの時はむしろずっとそれでも良いなんて言うからさすがにそれは私が無理です!!とお断りした。
…むぅ、完全にからかわれている…っ。
そこでようやく仕切り直して、事件の顛末、その後の話をディオの口から聞いた。
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やっぱりあの日の刺客は私を狙ったものだった。私が妃になるのを阻止するため。まぁ、そう思う人は多いだろうねぇ。いきなり現れた伯爵家の娘だなんて、もっと高位の貴族にとっては目の敵だと思う。
私はそれが自分の娘を妃にするための行動かな?と思っていたけど、それだけじゃなかった。勿論その目的もあったようだけど、もう1つは復讐。
前宰相の血縁による逆恨みだった。当時、末端の貴族は処分を免れたらしいのだけど、当然ながら出世はもう望めず、どうしても地位を得たいなら実力でのしあがるしかなかった。だけど、現宰相は有能で隙がない。さらには私のお父様が片腕として働いていて今の政は盤石。どう足掻いても手が出せないところに、私が王太子の婚約者に選ばれた。それに怒り狂いこの計画を立てたらしい。
私を刺そうとした小剣には、現宰相の家紋を偽造したものが彫られていたらしく、罪を擦り付けて失脚を狙っていたというのだから、驚いた。
「…あの時、全ての血縁を処刑していたら、こんなことにはならなかった。怖い思いをさせてすまない。」
「私は大丈夫です。確かに怖かったですけど……、でも一番怖かったのはディオ様が死んでしまうかもしれないと思った時でしたから。」
「……ルーは本当に俺に甘いね……。」
そんなことはないと思うんだけどなぁ。ただ、大好きなディオとずっと一緒にいられたらそれで良いって思ってるだけ。その為に出来ることは頑張るって決めたから。
ディオは、ゆっくりと立ち上がると私の前に跪いて、左手を取った。
「改めて誓わせて欲しい。
私、ディオルド・グランレージュはルーフェミア・ランスを愛している。生涯かけて守り、幸せにすることをここに誓う。
……俺の妻になることは、ルーに色々な重責や苦労をかけることになると思う。それでも、もう俺にはルー以外は考えられない。俺に出来ること全てを賭けてルーを幸せにして見せる。」
ディオの求愛の言葉に、私は感極まって何も発することが出来なかった。
私が上手く返せずにいると、ディオはポケットから小箱を取り出し、それを私に向けて開いて見せた。
……っそれって………っっ!!
「もし受けてくれるのならば、これを受け取って欲しい。
本来なら新しいものを作るんだが…ルーにはどうしてもこれを渡したかったんだ。」
私はぽたぽたと涙を溢しながら、震える左手をディオに差し出した。その薬指に、ディオはそっと指輪をはめた。
ーこれは、あの日私が持ち出した、ディオのお母様の形見の指輪。あの頃の想いや今の気持ちがない交ぜになって、頭がパンクしそうだ。
嬉しくて、切なくて、でも幸せで。
私はソファから身を乗り出してディオに抱きついた。
「ディオ…っ、ありがとう…っ、私を見つけてくれて、好きになってくれて……っ。
私も好き……大好き………っ。ずっとずっとそばにいさせて…っ?私も……ディオのこと幸せにしてみせるから…っ。」
「ふふ…っ、ルーも俺のこと幸せにしてくれるの…?それなら、俺はもっともっとルーを幸せにしなくちゃいけないな…っ。」
「うん…っ、2人で一緒に…っ幸せになろ…?」
なんだかディオも泣きそうな声に聞こえたけど、自分のことで精一杯で私は泣きながらディオにしがみつくしか出来なかった。
**********
気付いたらディオに気に入られて、知らぬ間に婚約者候補になっていた私。
こうして改めて求婚されて、指輪を貰って婚約者としてお披露目されて正式に大勢の人の前で誓いの儀式をして婚姻を迎えた。
その時に実は別にちゃんと王太子妃へ贈る指輪があるんだとプレゼントされ、再び号泣することになるのは少し先の話。
私はディオに愛されて、周りの皆に支えられてこの世界で生きていく。
ーカラスに転生したのも、ルーフェミアに転生したのも、全てはディオに会うための幸せになるための物語だったんだね。
fin
このお話で一度完結とさせて頂きます。
また続きの物語や番外編等、私の中のルーやディオ達が動き出したら書くかもしれませんが、それまでは一休み(*^^*)
少しでもこの作品で楽しかったと思って頂けたら幸いです。
ありがとうございました!