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ルーの告白

私は発熱し荒い呼吸をしながら眠るディオの手を握り続けた。



ーあぁ、あの時のディオはこんな気持ちだったのかもしれない。自分のせいで誰かが傷付くというのは、こんなにも苦しいのか…と。



「ディオ……ごめんね…っ、私はあの時………貴方にこんなにも辛い思いをさせてしまった…っ。」


ぎゅううと握る手は熱い。街で繋いでくれた力強いディオの手。今は握り返してくれることはない。


処置は終わったので、後は熱が下がって意識を取り戻せば…とお医者様は言っていたけれど、もう3日も目を覚まさない。



……怖い……っ。

大切な人を喪う恐怖に初めて直面した。

ディオは………こんな思いを何度もしてきたんだ……。


お母様にカラスだった(ルー)

どれほど苦しくて悲しかっただろう。それでも、ディオは生きて頑張ってきた。



『お願いだから、ルーは俺より長生きして……?ルーを失ったら…もう俺は生きていけない……っ。』


あの時…どんな想いで言ったの…?

私は………私もディオを失ったら…生きていけないよ。



それくらい、もう私はディオが大好きだ。



「ディオ……ディオ……っ。


私………ルーは…っディオが大好きだよ。カラスのルーだった頃から、ずっとずっと。


独りにしてごめんね…っ悲しい思い…させて…っごめんなさい…っ!

ディオが言ってたこと、ようやくわかったの。…私も、ディオがいなかったら生きていけない……っ。ディオに何かあったら、私も一緒に逝くから…っ」



ぼろぼろ涙を流しながら両手で握り締めたディオの手を頬に当てた。この熱が今、ディオが生きてる証拠。私の命を分けられるのなら、ディオにどうか……どうか…っ。

ーそう願っていたときだった。


「………そ…れは…、させられ…ないなぁ…。」


「…え」


力を失っていたディオの手が、突然ぐっと力を込めて私を引っ張った。油断していた私はそのまま寝ているディオに抱き寄せられた。


「……だめ、だよ。ルーは……死なせられない……。もっと……、俺の傍に…いてくれ、なくちゃ…。」


「…っディオ……っ。」


息は相変わらず苦しそうで途切れ途切れだけど、意識を取り戻して話す姿に今度はさっきとは違う理由で泣いてしまった。

その様子を見て、ディオは私の頭を撫でながらぽんぽんと背中を叩いた。


「……心配掛けて、ごめん。

幸せにすると誓ったのに、こんなにもルーを泣かせるなんて…っダメだなぁ……。

こんな姿じゃ、格好もつかないし……。」


「そんなことない……っ。ディオはいつだって格好良いよ…っ!」


思わずぐっと力を入れて起き上がれば、ディオの手は簡単にほどかれたので、元の椅子に座り直した。


「ちぇ…っ、折角ルーを堪能していたのに、今の俺じゃルーに、勝てないな……。」


そんなことを拗ねた表情で言うものだから、私は泣きながら思わず笑ってしまった。


「…ふふ、そう、だね…。

今ならディオに勝てるかもしれないね。」


ようやく気持ちが落ち着いてきたので、お医者様を呼びに行こうとしたら、ディオに止められた。


さっきの話の続きがしたいと。


……そうだった。意識がないと思ってたから、普通に前世の話を口にしてしまった。聞こえていたんだね。…でも、良い機会なのかもしれない。


私は信じてもらえるかわかりませんが…と前置きして、カラスのルーのこと。そして、カラスとして生きる前に別世界で人間だったことを話した。


ディオは静かに聞いていた。

私はドキドキしていた。こんな荒唐無稽な話を本当に信じてくれるのか、信じたとして、今までと同じ気持ちで接してくれるのかわからなかったから。

ー好きだと自覚してしまったから余計に。


言葉を発さないディオに、私は緊張して同じように黙って俯いてしまったけど、そんな気まずい空気を壊したのはディオの笑い声だった。



「……ふふ。そういうことか。」


「…ディオ…?」


ゆっくりとこちらを見て私と目を合わせるとディオは嬉しそうに微笑んだ。それは、私が恐れていたどの反応とも違っていた。


「ルー。あのね、多分俺はルーの前々世の女の子と出会っていたとしても、きっとその子に心惹かれていたと思うよ。」


「……ふぇ…っ!?」


あまりの予想外の発言に、変な声が出た。ど、どどどどうしてそんな話になったの!?え、私そんな話してたっけ!???


「…つまり、俺が惹かれたのはルーに刻まれた魂の部分ってこと。記憶を持って生まれ変わっているということは、外見は違えど根本的な所は同じということだろう…?」


「…そ、ういう…こと…ですかね……?」


え、種族どころか世界まで違うのに、そんな簡単にまとめちゃう…っ!?ていうか、受け入れてますよね、簡単に!!


「…うん、そういうこと。

俺はきっと…ルーに出会うために生まれてきたんだと思う。


…ルーも、同じだったら嬉しいけど。」


ーディオに………出会うために転生してきた。あぁ、なんだそういうことか。凄く納得してしまった。

なんで私は異世界転生をしたのか、カラスに生まれ変わったのか。そして、再び転生したのか。



全ては、ディオと会うため。



「…はい。多分私もそう思います。私は、ディオに会うためにカラスのルーになり、そして今ルーフェミアとして生まれ変わったのだと思います。


……あくまで主観的な意見ですけれど。」


そう告げると、ディオはぽろりと涙を溢し、そして、微笑んだ。今まで見てきた中で一番幸せそうな顔で。


「ルー、愛してる。

俺の元に来てくれてありがとう。」


私も微笑った。どこかでカラスが鳴いてる声が聞こえた気がした。



「…はい、私も愛してます。

カラスのルーの分も2人分の愛、しっかり受け止めてくださいね……?」


勿論、とそう言って、ディオは握っていない方の手を私の頬に当てた。私は動けないディオの代わりに自ら近づき口付けた。


ー今までで一番幸せな瞬間だったー




**********



それからディオはすぐに熱が引き、身体が動くようになると王都に向けて一緒に馬車に乗って帰った。


元々毒には耐性があったディオだけど、今回は当たりどころが悪かったのかもしれないと言っていた。

馬車の中で寄り添いながら、ディオが言ってくれた。


「いつか共に辺境に行こう。

そこには母上とルーが眠っているから。」


私も記憶が戻った頃からいつかまた行ってみたいと思っていた。嬉しくなって私はディオに抱きついた。



その後馬車の中でどうなったかは………はい。皆様の想像にお任せいたします……っ!!私の口からは何も言えませんー!!!





ルー視点の全4話、如何でしたか?

この後にエピローグを載せて、一度完結にしようかと思います。


またルーとディオが私の中で暴れるようになってきたら(笑)、お話をまとめて載せさせて頂こうと思います。

まずはもう一話。

ただいま執筆中です。書き終われば翌日に。まとまらなければまた後日となりますが、そう、お待たせせずに掲載予定です!

しばしお待ちくださいませ!


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