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勇者と言ったら勇者  作者: ゴリマッチョ見習い
4章カリーナ連行
19/23

4-3 火刑

 ソフィアさんと話した次の日の夜、最悪な知らせがおれの元に届いた。

 ミリアンヌがギルドに息を切らし駆けてきて告げた内容は。

 「処刑!? しかも二日後だと!?」

 大声でミリアンヌを問い詰めた。

 「正確には明後日の日没に火刑に処すっていう書面が市議会から。火刑で神の意向を聞くとか書いてあった。教会も黙認するみたい」

 「火刑って……」

 つまり火で炙ってそれの結果で魔族か調べるってことか? 実質処刑と変わんねーだろうが。

 あまりにイカれた刑罰に頭が追いつかない。

 「裁判はどうなったんだ? まだのはずだ」

 社長が仕事放り出して疑問を口にする。

 そうだ、おかしい。あまりにも早過ぎる。

 「裁判官はダモスとか貴族も多いから、市議会の決定がそのまま通っちゃったんだと思う」

 あのダモスとかいう貴族が裁判官? で市議会で決定したから裁判は無しに? いい加減にしろ。

 「教会は? なにもしないのか?」

 「確かに教会は市議会と同じくらいの権力を持っているが、貴族もいる上に汚く繋がってる。まして今回は修道院から出た、言ってみれば身内の恥だ。早く消し去りたいと思ってても不思議じゃない」

 社長が真剣な表情で語る。

 「嘘だろ。じゃあ、誰も止めらんないってことかよ……」

 「……あり得るとすれば国王の権力なら介入出来る。だが国王はこれまで国内の事件にはあまり関わってない。庇う理由もないし難しいな」

 国王……。

 「やばいよ、このままじゃカリーナが殺されちゃう……」

 ミリアンヌは頭を抱えた。

 「……」

 社長も黙って考え込んでしまった。

 ソフィアさん達も動いているだろうが、そもそも戦う場である裁判が無くなり、あったとしても裁判官があれだ。どう考えても難しい。そうするとソフィアさん達は力ずくでもカリーナを助けようと実際に戦うだろう。

 最悪の事態が予想される。

 「……処刑までにやれることはやるが、いざとなったらおれが無理矢理でもカリーナを攫って国外へ逃げる。シスターみんなで戦うよりは現実的だろう」

 「ユウマ……」

 「本気か……?」

 「もちろんです。もしかしたら、これが最後になるかもしれません」

 ファウロスは目を見て、この青年が本気だと悟った。

 「まあ待て。そう焦るな。お前さんの覚悟は伝わった。いい顔するようになったじゃねえか」

 ファウロスは満足そうに笑みを浮かべた。

 「ただ、見通しが甘いな。強引に攫うとしてもどの国に向かってなにで逃げるか。その後はどうやって生活するのか。準備っつーもんが必要だ」

 「……」

 確かにおれはこの世界の世情に疎い。地理も頭に叩き込んでおかないと……。

 「だからその準備はしといてやる」

 「……! でもバレたら社長が……」

 「この際そんなことは気にしてられないだろ。もっと周りを頼れ。自分ひとりでなんでも解決しようとするな。年寄りはこーゆう時にかっこよさが出るもんだ」

 「でも……」

 「バレたらヤバいってんならその時のために準備しておくだけさ。なに、旅は慣れてる」

 おれは初めてこの人を尊敬に値すると思った。めちゃくちゃ株上がった。

 「ありがとうファウロスさん。この恩はいずれ必ず」

 「当たり前だ」

 「やばい、あたしあんたらに惚れそうなんだけど」

 「それも当たり前だ」

 がははといつものように豪快に笑った。


 「しかしそれは本当に最後の策だ。……それまでに動くって言ったな。具体的にどうする?」

 「実はさっきの話で思い付いたことが。もしかしたら比較的平和に解決出来るかもしれません」

 「詳しく話せ」

 おれは自分の策を社長とミリアンヌに説明した。


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