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勇者と言ったら勇者  作者: ゴリマッチョ見習い
3章勇者パーティ
14/23

3-2 パーティ顔見せ

 応接間後ろの扉から入ってきたのは、美男美女二人だった。

 男の方はかなりの金髪美形。前髪をセンターで分け、後ろ髪は縛ってある。たぶんこいつがおやっさんが言ってた勇者候補筆頭だろうからたぶんタメ。どことなくホストっぽい。

 女の方は褐色肌の金髪童顔。年はいくつか下に見える。王との面会という分には少し派手な赤いドレスに身を包んでいる。あとやたら化粧が濃い。

 補足しておくと王族に近い者や貴族は魔法適性が高いせいで、髪や瞳、肌の色が変わってしまうことが多いらしい。


 二人はおれを挟む形で跪き、礼を取る。

 「お初にお目にかかります。ネストル王。このアルカイオス・ルイス・ミュケナイ、拝顔の栄に浴せたこと恐悦至極に存じます」

 「はじめまして、陛下。私はリュフティルディス家のドロシーと申します。同じく、お目に掛かれて光栄です」

 やっぱりこういう堅苦しいのは好きじゃないな。立派だけどなんか心が通いあってない気がするもの。


 「うむ。ネストルじゃ。話は聞いとったかの?」

 「恐れながら拝聴させて頂きました」

 「同じく」

 「二人にはユウマと三人パーティを組み、これから事に当たってもらいたい。勿論こちらに出来る限りの支援はさせてもらう。武器など好きなものを持っていってもらって構わん。引き受けてもらえるかの?」

 「御意! 名誉ある使命を授かったこと、嬉しく存じます」

 「もちろんです、陛下。誠心誠意、務めさせて頂きます」

 「さすれば、わしからの話は終わりじゃ。三人は初めての顔合わせじゃろうから、控え室で好きに談笑してくれて構わん。ではの」

 王様は側近を連れながら退室した。

 


 また尿意を催してしまったので本日二回目、お便所をお借りして控え室へ戻る。

 これから新しいパーティメンツと冒険するのかという期待を抱きながらドアを開くと、


 騎士が少女を口説いていた。


 ……間違いがあるといけないからより詳細に言おう。ソファに腰掛ける女の手を取って跪いてなにか言っていた。

 「チッ。いい所で」

 なんか舌打ちされた。

 「まあいい。これから時間はいくらでもあるだろう。その時はどうだ?」

 「悪いけど、あたし軟派は好きじゃないんだよね。他当たってね」

 「そうか、残念だ」

 ……。

 なにこの気まずさ……。

 おれは健気にも場の雰囲気を払拭しようと、努めて明るく挨拶した。

 「えーっと、一応勇者の雄真です。冒険者やってますよろしく」

 「ミュケナイ家次期当主アルカイオスだ。よろしく頼む」

 「ドロシーよ、よろしく」

 ……。

 誰も話出さず沈黙が流れる。

 「い、いや〜緊張したよな! いきなり王様に呼び出し食らって! 騎士の人めっちゃ怖かったし!」

 「それ思った。堅物っていうか冗談通じなそー」

 「あの人は確かに堅物だが、悪い人ではないぞ。気持ちは分かるがな」

 意外にもフォローに入ったのは騎士だった。というか。

 「アンタ……アルカイオスさんって騎士だよな?」

 「そうだが?」

 さっきからずっと聞きたかったことを聞きます。

 「騎士って……ナンパしていいの?」

 「ダメなのか? するなとは言われてないが」

 「いやいや! ダメに決まってるでしょ! 市民を守る騎士が市民口説いてどうする!?」

 「そんな規律は聞いたことがないが」

 腐敗してやがる……!

 「騎士じゃなくても普通これからパーティ組む人初対面でナンパしないでしょ!」

 「じゃあ貴様はしないのか?」

 「しないわ! さっきみたいに気まずくなるでしょうが!」

 まともだーとドロシーがなにか言ってるが気にしてる余裕は無い。

 「ふむ、一理ある」

 一理あるじゃねーよ、それ以外ねーわ。

 「しかしだ、このような麗しい女性に声を掛けないというのはかえって失礼ではないか?」

 「……」

 こいつ、本気で言ってやがる。

 「……なあ、騎士ってのはみんなこんなんなのか?」

 「あはは! あたしは何回かナンパされたよ?」

 この国の騎士に対する信頼がぐーんと下がった。

 「というかなぜ貴様はタメ口なのだ?」

 反撃とばかりにキツい目つきで攻めてくる騎士。

 「え? もしかして年上だった? 何歳?」

 「十七だが」

 「なんだタメじゃん」

 「身分の差は!? 寄ってくるな!」

 肩組もうとしたら拒否られた。

 「いいよ敬語とか。これからパーティになるんだし、楽にしてくれ」

 「それ言うとしてもおれのセリフだろ!」

 「ダメだよ、勇者さん。あんなんでも高貴な方だから。一応敬っておかないと」

 「そ、そっか。ごめん。こんなんでも貴族だもんな。これから気を付けるよ」

 「き、貴様らはずいぶんと舐めくさってくれるな」

 「貴族って変な奴多いから気を付けた方がいいよ?」

 「ああ、肝に銘じとく」

 なんか衣擦れの音がしたので振り向くと。

 ドロシーがドレスを脱いでいた。

 「いや、何脱いでんの!?」

 「いや、すげー蒸れるんだわこの服。あとこの部屋暑くない?」

 確かにちょっと蒸し暑いけど、それよりも下着見えてるし、胸意外とあるし。羞恥心がないのか?

 さすがのおれも急いでその手を止めにかかる。

 「ちょっと。なんで止めんの?」

 「そりゃ止めるだろ! 幼い子が脱ぎ出したら!」

 「はあー!? 幼い!? あたし十六だけどっ!?」

 「どの道ダメだ! 着てなさい!」

 「今のはムカついたっ! 見てろよ、あたしのナイスバディを……」

 「見せなくていい! 女の子が肌を軽々しく見せるもんじゃありません!」

 露出狂か!

 脱ごうとする女と着せようとする男。なんか違う気がする。

 「大体アンタ男でしょ。見たくないのっ? あいつみたいに!」

 先程から黙っている騎士は真正面に座ってガン見していた。

 「あのクズっ!」

 「っていうか、仕事だとガンガン肌晒してるけど?」

 「え? そうなの? ちなみになんの仕事?」

 「踊り子」

 「踊り子!? なんでそんなのが勇者パーティに!?」

 RPGでは踊り子よくいるけど! リアルで踊ってるだけじゃなんも意味ないだろ!

 「あたしがリュフティルディスだからじゃね?」

 「リュフティルディス家は魔法使いを多く排出する名家だ」

 解説しながらガン見し続ける騎士〈ゴミ〉。

 「魔法使えるのか? ってか戦えるのか?」

 「魔法? 最近あんま使ってないけど、いけるっしょ!」

 ぐっと親指を立てる踊り子。

 分かった、この子バカだ。

 「失礼します。お飲み物をお持ち……」

 その時、飲み物を運んできたらしい侍女が部屋を開けて固まった。

 「「「「……」」」」

 数秒後、侍女の悲鳴が城に広がった。



 クズナイトに露出ダンサー。

 本当にこのパーティで大丈夫だろうか?

 

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