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第七話 なんでー!?

 ワインの一気飲みは、さすがに飲みすぎたかしら……


 頭がトロトロと溶けて、今立っているかも分からないわ。


 ああ、ボトルも邪魔だから捨てないと。


「あら、なんで私山に来てるのかしら?」


 ……ああ、またアルコールの勢いに任せて変なところに来ているのね。いえ、こんなこと考えるのはやめよやめ。

 今日は何も考えず楽しむんだから。


「ワインが足りなぁい!」


 誰もいない山の中、大声で叫ぶのはたまらなく気持ちいいわ。脳ミソがホント、溶けて鼻から出ちゃいそう。


 そう言ったらみんないつも、もう空っぽだろ、と呆れた顔をしてくるわ。

 あー、イライラしてきた。


「もうっ、また雨よ」


 最近はよく天気が崩れるわね。


 今から街へ引き返してもいいけど、今日はそんな気分じゃないの。


 だから、そこに見える洞穴へお邪魔させていただくわ。


「お邪魔しまーす」


 案の定、魔物が住み着いていたわ。でも、数も少ないし魔法使いの私の敵じゃない。


「『火球(ファイアーボール)』」


 Bランクの魔物から取れた魔石を媒体にして作られた杖を振るって、バカみたいに襲いかかってきたゴブリン二匹をまず焼き殺すわ。あー、最高よ!


 ……ツルハシを持ってたのはちょっぴり不思議だわね。


「あらぁ、お怒り?」


 そうしたら、奥から怒った顔をした一回り大きくて、ちょっと生えてる角がキュートなゴブリンが出てきたわ。

 多分、ゴブリン・リーダーね。


「いいわよ。でも、私の敵じゃないの『防衛機制(ディフェンス)火の剣(ファイアーソード)』」


 火でできた、三本の剣が私の周りを漂うわ。


 ゴブリン・リーダーくらいになると接近されるのが怖くなるから、自動反撃型の魔法よ。

 うふふ、魔力消費は激しいけど一番お気に入りの魔法なの。


「さぁ、来なさい?」


 オーガかと、そう思うほど怒りに顔を歪ませているわ。

 大丈夫、すぐにお仲間のところへ送ってあげる。


「ウガァッ!」


 武器も持たないでかかってきて、哀れねえ。

 一応拳が当たらないように、でも『防衛機制(ディフェンス)』が発動する距離まで引くわ。


「ガッ……」


 あら、避けるのね?

 いいバトルセンスを持っているわ。

 でも所詮はスライムのバブルビーム、よ。生き延びる時間が伸びただけ。


「来なさい」


 警戒しちゃって、近寄ってくれないわねえ。


 でも、こっちには奥の手が一つあるのよ。


「じゃあ、この死体はどうなってもいいのね?」


 最初に倒したゴブリンの死体を踏んずけて、何回か蹴るわ。


 そして、目の前にはゴブリン・リーダー。


「あなたって……本当に、いいセンスを持ってるわ」


 ちょっとヒヤッとしちゃった。

 体に火の剣の一文字を刻んで、苦しみながら死なすためにトドメは刺さない。


 脳ミソから最高に快楽物質放出されるわ。あぁ、トロけちゃう……


 興が乗ったわ。そこの奥で待ち構えているスケルトンも倒しちゃいましょ。


「カタカタッ」


 スケルトンは地面に突き刺していた剣をゆっくりと引き抜いて、私に向けてくるわ。

 ちょっと強そう、かも。


 ……後、なにか守っている風だけどここはダンジョンだったのかしら?






 ◆ ◆ ◆




 まずい。まずいぞ、めっちゃまずい。


 俺がダンジョンマスターになってから、三回寝たから多分三日後の今日。


 いつも通り近場の果物を取りに行って、何か嫌な予感がしたから急いで帰ってきたら、スケ方が知らねえ女と戦っている。

 なんでー!?


 そして、あっちは拮抗しているからいいが、ゴブリンたちがやべえ状況だ。


 自分たちの部屋作りに励んでいたゴブリン二匹は死亡、ゴブリン・リーダーは死にかけ。


 子供を身ごもっていたから安全な玉座の間に移動させていたゴブリン二匹と、見守りの老ゴブリン一匹(産婆的なアレ)は無事だが、さすがにこの惨状はヤバすぎる。


 ちなみに、ゴブリン夫婦たちを玉座の間に入れているのは一種の人質でもあったりする。


「おい、大丈夫か?」

『シヌ』

「シンプルかつ極めて適切な回答ありがとう。でも、死なせねえよ」


 お守りとして持っておいた回復薬(ポーション)を傷口にドバドバぶっかける。

 ……これで使い方は合っているんだよな?


「ふう、火で傷口がふさがっていたのが良かったな」


 なぜ燃やされたような跡があるのかは、スケ方と敵の戦いを見れば簡単にわかる。

 魔法ってやつだろう。


「いいか、俺は今からお前にDPを使って進化させる。いいな?」

『ダメダ』

「な」


 なんで?

 その答えは単純だった。


『マセキ、ツカウ……』

「……いいぜ。お前の意志を尊重する」


 小雪曰く、魔石でも進化できる、だったか。

 ならDPを使わないこっちの方がお得、かもしれない。魔石のDP還元率が高いのは今は忘れておく。


 小粒程度の魔石でも【DP50】ぐらいになって……ああ、いや、なんだったか。魔石のDP還元率なんて忘れちゃったなあ。


『イクゾ』


 ゴブリン・リーダーはいつの間にか手に握っていた水色の大きな魔石を砕いた。


 スケ方の時と同じように、しかしスケ方より光を発しながらゴブリン・リーダーは進化する。


「レッサー・オーガか」


 ゴブリン・リーダーのランクはF+

 それに対し、レッサー・オーガはD+だ。


 この大幅な進化は、多分ゴブリン・リーダーが持っていた【称号】がいい感じにアレしたんだろう。知らんけど。


 カラン、とあまり密度が大きく無さそうな音が響く。

 スケ方の片腕の骨が落ちた音だった。


『オレにヤラセロ』

「……任せるぜ、()()()

『アア』


 少し生えている、程度だった角は大きくなり、体も2mぐらいだろうか。全体的に大きくなっている。


 特に目を引くのはその筋肉。ゴブリン・リーダーだった時は周りに比べたらついているな、程度だったが今はモリモリかつガッシリとついている。


 まだ完成系ではなさそうだが、これからが楽しみな発展途上筋肉だ。


 ……まあ、腰巻のサイズ感は少し不安になるが。


「『岩砕拳(がさいけん)』」


 そしてアレスはスキルを使って、なんか、女の周りを漂っていた火の剣を粉砕した。なんじゃそりゃ……


「なっ、あんた何もん?!」


 その剣を粉砕されたのが驚きだったのか、一気にアレスの方を振り向く女。

 隙だらけだ。そして、その隙を許すスケ方とアレスではない。


「『俊鋭拳(しゅんえいけん)』」

「カタカタッ!」


 スケ方とアレスの必殺サンドイッチ。相手は死ぬ。


【DP1000を獲得しました】


 ……おお。……おお?

ハゲみましました。

彡´⌒ミ

(´・ω・`)

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