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02

 外に出ると、俺は彼らを別の場所で話そうと言って袋小路に誘導する。


「さて、あの馬鹿のせいで内緒にしようとした情報が一部漏洩しちまった。だから全部話してやるよ」


 ただし、転生者を生かして返すとは言っていない。


「じゃあ、張本人ってどう言うことよ」

「おっと、いきなりその質問か? 時間はたっぷりあるんだからよぉ、少しは『年齢は?』とか『何処何処生まれですか?』とかねぇのかよ」

「巫山戯てる場合じゃないのよ!!!!」

「エリー落ち着いて!! えっと、私達は我が国の保有する転生者が連続して殺害されているんです。それで調査をしている過程で凶器の判明は出来ました」


 茶髪の眼鏡少女が話しながらチラリとこちらを見てくる。

 ……やばい。感情任せでやってたから証拠の隠滅とか全くしてなかった。


「続けてどうぞ」

「その凶器は大鎌です。そして最近入手した情報では大鎌を持った黒いマントのフードを深く被った人物が転生者の所在を聞いて回っている情報を得ました。それで……」

「もう結構だ。それでさっきの質問に答えてあげようか」


 俺はフードから顔を出す。そして彼らを見つめて言った。


「張本人。その言葉通り、転生者を狩っていたのは俺だ」


 場が殺気立つ。しかしまだ理性が働いているようだ。


「何で同じ国に所属しているのに……!!」

「落ち着けよ。それに2つ、間違っているところがあるぜ?」


 そう、2つ。2つだけ違うのだ。被害者面しているのもここまでだからな?


「ふた……つ?」

「まず俺は、国と契約する様な事はしていない。俺は一度も王と謁見などしていないからな。だからこの国に住んでいるが所属はしていない」


 保護とかを名目に戦力が欲しいだけだろうしね。それにさっき『保有』と言う単語が使われてたし。


「そんで2つ目だが――」

「この国以外の国の転生者も殺している」


 おっと、意外な奴が答えたな。


「正解だ、ハーレムクソ野郎君。意外と調べてるねぇ」

「あ、あははは……でも、君がOKと言ってくれるまで俺は諦めないから」

「んなもん、一生来ないね」


 暫し静寂が訪れる。


「……して」

「ん〜? 何か言ったか?」

「どうして殺すんですか!!!!」


 高貴そうな水色髪少女は確かレイ……だっけか?


「逆に何故生かす? ただ与えられた力に酔って好き勝手するだけの馬鹿だぜ?」

「貴女も同じ転生者ではないですか!!!!」

「同じ? いいや違うね。俺にはアイツらみたいな便利な物を貰ってねぇ。俺が貰たのは一番初めに持った得物、大鎌系(コイツ)による戦闘技能のみが伸びるスキルとこの世界にすぐに順応出来る為の言語系のスキルしか無い。しかもこの事を知ったのは、転生してから1ヶ月後に魔道具で調べてからだ。

 さて、これを聴いて君はどう思う? それでも同じとほざくか?」


 少女が黙る。


「それにな、アイツらはこの世界の住民に迷惑をかけ過ぎだ。強いから他人の婚約者を寝取る。自分は使わないから兵器で国をも簡単に滅ぼす兵器を作る。勝手に水を引いて農作業を行い、村の農作物を駄目にする……この国でも心当たりはあっただろ?」

「で、でもマサキはそんな事して無いじゃん」

「それは君らの視点で、だろ?」


 彼らは何も言い返さない。なら続けさせてもらおう。


「君らの周囲の人間の話は聞いたのか? 自己を優先するのは人間として間違っちゃいないが、自身の立場は考えたことあるのか?」


 特に王族などの国営に関わる貴族。自由になりたくとも責務と言うものがある。それは個人の感情だけで放棄してはならない。


「さて、そろそろ話はやめにしようか。マサキ、って言ったけ? 今直ぐに首を差し出すなら苦しい思いをせずに殺してやる」

「なっ!? そんな事させないわよ!!」

「退け。抵抗したらお前らが見た様な死に様にマサキがなるぞ?」


 抵抗した奴は全員四肢を切り落とし、腹を裂いてから首を落とした。所謂見せしめだな。

 それでも抵抗する奴は多かったし、そもそも知らなかった奴もいたっけ。


「ミーア、エリー、レイ、エマ、フーカ、大丈夫だよ。下がってて」

「で、ですが……」


 なにやら自信ありげに前に出るマサキという男。


「まさか美少女に命を狙われるとは思わなかったなぁ」

「それが最期の言葉で良いんだな?」

「最期じゃ無いよ」


 どう言う意味だ?

 いや、どうでも良い。さっさとその自信ありげな首を斬り落とすか。


 ガキンッ、と音を立てて鎌が首に当たって止まる。


「ほらね?」

「……害意に反応するタイプか?」


 今度は何も考えずに振るう。

 今度は斬った感触があった。しかし、奴の首は繋がっている。


「実は俺で最後なんだ、転生者が送られてくるの。神様達は飽きたらしい。だから大盤振舞いで色々とチートスキルを貰ったんだ。良いでしょ」


 ウザい。その笑顔、超ウザい。ウザすぎる……!!

 てか最後……?

 いやその前に、


「無敵と不死……だな」


 いざと言う時の為に調べていてよかった。てかよく存在するな、そんなバランスブレイクなスキル。


「流石に老化するし、寿命で死ぬけどね」

「なら死ぬまで苦痛を与え続けられる様に異物を捻じ込めば良い。ただ、その前に詳しく訊きたい話がっ!?」


 急いで後方へ飛び退く。瞬きした瞬間にはもう、俺が居た場所の地面から鎖が勢い良く飛び出していた。


「あっぶなっ!?」


 背中には袋小路の壁。まさか自分から逃げ道を無くす羽目になるとは……いや何も考えていなかった所為か、ちくせう。


「惜しかったな……」

「シツコイ男は嫌われるぜ?」

「それでも俺は君に一目惚れした」


 やばい、キモくて吐きそう。

 誰が男の好意を求めたんだよ!!!!

 俺を女に転生させた神、絶対に殴りにってやる!!!!


「誰が男の好意を求めたんだよ……」

「あれ? もしかしてソッチ系? 困ったなぁ……俺は百合は見守る派なんだよなぁ……」

「そもそも俺は女じゃねぇ」


 勘違いされる前に訂正しておく。


「……え?」

「えっ!?」

「え?」

「え!?」

「えっ!!??」

「ふえぇっ!?」

「……あれ? 言ってなかったけ?」


 そう言えば言ってなかった気がする。

 ……これは神様が悪い。うんそうだそうに違いない(責任転嫁)。


「だ、男性……なのですか? その容姿と声で……」

「お、男の娘だ……」

「いやいや、確かにこの身体は女だぞ? ただ生前が男――」

「オレっ娘美少女かと思ったらTS美少女……!! なら俺は問題無いな」

「こっちは大有りだ!!!! 何の手違いかで女に転生させられたんだぞ!!!! マジで生理の時は辛かったし!! 息子も帰らぬ物になったし!!!!」


 嗚呼、口にするともっと虚しさが……


「む、息子……?」

「れ、レイは知らなくて良いことよ……本当に男なんだアンタ……」

「確かに転生者を狩る理由はさっき言った通りだが、本音を言うと嫉妬と私怨」

「アンタも大概まともじゃ無いわね!!!!」


 仕方ないだろ!!!!


「元男だと分かってなお求婚するそいつの方がよっぽどマトモじゃねぇ!!!! どさくさに紛れて指輪を贈るな!!!!」


 無言で膝をついて指輪を差し出してきたマサキの手を叩く。


「あっ!! 駄目だったか……」

「逆にどうして大丈夫だと思った。ぁあん?」


 完全にやる気が削がれた。今回はこの辺にしとくか。


「あーあ、なんかやる気が削がれたわ。今回は見逃すが次は無い。それと、兵を揃えて攻め込むなよ? 無駄な殺生はしたくねぇから」


 俺は彼らの横を通り抜ける。そして去り際に忠告を残しておいた。











「……どうしてここが分かった変態」

「愛の力さっ☆」


 生活拠点がマサキにバレた。そんで着替えを覗かれた。

次回、主人公の口から伏字が多く出る場面がございますので予めご了承願います。


主人公くんさぁ……中身は男だけどガワも声も女の子なんだから少しは言葉遣い気を付けよ?

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