1.導入
「……今日も悲惨な目にあった……」
少年は学校から家へと向かう道を少し虚ろな目を携えて歩いていた。
というのもここ最近の出来事があまりにも精神を削るトラブルの連続で、心身ともに疲弊しきっていたからだ。
例をあげるなら、二度寝による寝坊や登校中の自転車のパンク、学校では廊下を滑って転び、授業中は解らない問題だけ先生に指され、昼食はランチバックを忘れ購買で余計な出費をし、そして帰りは暴風雨に襲われる。因みにお金は既に胃の中のためバス代も捻出できない。
そんなここ最近不幸な少年の名はトトノリ・シルベクローザー。
身長170cmでヒョロ型の中学2年生だ。見た目から不幸なオーラが滲み出ている様な体格、いや体勢だ。それも自信のなさが表れている猫背が原因ではあるのだが……
「いや、それでも今日は学校も終わったし、宿題もない!そして今日のご飯は多分豪華だし……!」
トトノリは少しでも気分を変えようと自分に言い聞かせながら歩みを早める。そのおかげか自然と背筋も伸び表情も明るくし、
「事故に会わなければだけどさ……」
最後の一言でふりだしに戻る。このネガティブこそが不幸の原因と分かっているが治せないようだ。それを個性とはこんなものと思うまでがトトノリのルーティンだ。
そんなトトノリも家では幸せに暮らしている。学校では不幸の連続でも、家に帰れば全部忘れるぐらい