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第十八話「部品」

 

 聞き覚えのある声だった。

 確かに予感はして居たが……リベン。貴方が来るとは。


「あれエクセルさん、尾けられてたんですか?」


 壊れた機械兵(オートマタ)を眺め見るリベン。

 森林から音もなく現れた彼女にレネは、ほんの小さく驚いては居た。

 彼女も、気付いては居た様ですが。


「私も気付いては、居ましたがね。───何の用でしょうか、リベンさん」

「……依頼渡すとき言い忘れたが、こいつの部品も欲しいんだよなぁ」

「部品、ですか?」

「そうそう。すっかり忘れてて困っちまうぜ、はは」


 非常に手慣れた仕草で機械兵(オートマタ)を解体しながら、リベンは言う。

 首の状態を見て、小さめに「酷えな」と呟きながら。


「こいつはあたしの前のダチが作ったもんでな。個人的に興味がある」

「……その友達については触れませんが、何故私に黙って付いてきたのですか?」


 リベンは笑った。

 一瞬私を一瞥してまた俯き、解体を始めた。


「わざわざ言っても断るだろう?」

「……」

「ふっ。お前も脇が固いな」


 リベンは工具を取り出し、首を切断し始めた。

 淡く散る火花。その作業中に彼女は話を始めた。


「以前は部品の調達が出来なくて困ってたんだ。そうだ。

 ……お前、シエル民が抱える決定的な問題の事、答えれるよな」

「私達の、金髪についてですか?」


 私がそう答えると、リベンは深く頷いた。

 そう答えるのを待っていたかの様に。


「ああ。染めるのもアリだが、それだといつかはバレる。だから……」

「だから、何でしょうか」


 リベンは何かを見つけた様だ。

 握って居た工具をしまい、開けた首の穴に手を突っ込んだ。


 そして、引き摺り出したモノは……。

 ───小さい、レンズの様な部品だった。


「ふぅー。壊れてなくて良かったぜ。ふぅ」

「……それは?」

「詳しい名称は知らんが、まぁ。……あたし達に必要なモンだ。

 ──────勿論、お前にもな」


 リベンの含みのある物言いに、私は眉を顰めざるを得なかった。

 その間にリベンは立ち上がり、私を見つめた。


「まぁここで話すのもなんだ。帰って、拠点で話すぞ」

「……分かりました」


 依頼は達成した。

 報酬は無いでしょうが、取り敢えず。


 彼女に付いていくのが、事の流れってモノでしょう。

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