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literature  作者: た く み
5/6

7話

暑い…

思わずつぶやかずにはいられない。気温は30度をゆうに超えている。

蝉の声に気おされる。オスが、メスを引き付けるために音を立てているらしい。

人間のように特定の誰かとの恋愛ではない。

奴らは誰でもいいのだ。

私たち人間とは違う…


絵梨佳と颯佑の言い争い、そして、颯佑からの食事の争いから2日。

何もつかめないまま次のバイトの日を迎えた。

しかも絵梨佳、颯佑と同じシフトだ。


―気まずい―


なんで、二人は一緒にいたんですか?

お二人は付き合っているんですか?

喧嘩の原因は?

なぜ私を食事に?

杏香にも同じメッセージ送ってましたよね?


興味は尽きない。聞きたい。けど聞けるわけがない。


二人の様子にいつもと違うところはない。

颯佑は、笑顔で話しかけてくるし、絵梨佳は相変わらずとっつきにくい。


客のほとんどいない店内で、ゆっくりとした時間が流れる。

いつもと同じ5時間の勤務。

それなのに、今日はそれが十時間にも二十時間にも感じる。


早く帰りたい。

どうして二人はあんなに平然と仕事をしていられるんだろう。


21時、シャッターを閉め、店じまいだ。

レジで作業をしていると、絵梨佳が近寄ってきた。


絵梨佳「どう?そろそろ慣れてきた。」


突然の声掛けに、反応しきれなかった。


私「は、はい、だいぶスムーズにいくようになりました。」

絵梨佳「そう、それならよかった」


続かない会話、ほんとにこれでいいのかな…

どうしよう、あのこと聞いてみようかな…

でもな…そう考えていると


絵梨佳「颯佑のことなんだけど…」


絵梨佳のほうから話を持ち出された。

予測しえなかった事態に思わずパニックになる


私「え、いや、颯佑さんは、私は、何も…」


絵梨佳「え、何言ってんの??それより、颯佑には気をつけ…」


そこまで行ったところで、颯佑が声をかけに来た。


「おーーーい!今日は早めに上がっていいってよー!」


絵梨佳は小さく舌打ちをうち、


「まあ、そういうことだから、ね」


といい、話は終わった。


いったい何なんだ…

気を付ける??

颯佑さんに?

私の彼氏だから手を出すなってこと?それとも…?


いろんな想像、憶測が頭を駆け巡るが、何一つとしてはっきりしない。

いったい何がどうなっているんだ…



バイトを終え、部屋に戻る。

ベッドに横になり、携帯の画面を見る。

颯佑からのメールにはまだ返信していない。

杏香から、部屋に行っていいかといわれたが、今日は断った。


眠れないのは、暑さで寝苦しいためだけだはない。

いったい何がどうなっているんだろう。

私はどうしたらいいんだろう。


気分を変えるために原稿用紙に向かってみても、そのことばかりが頭に浮かんでペンが進まない。

締め切りまであと三か月、立ち止まってる余裕なんかないのに…


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