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英雄に憧れた少年②

「まだかなぁ~...」


あれから二日が経った。しかし、まだつかない。何か建物があるのは見えるが、まだまだの様だった。


僕はクタクタになり、少し休憩する。


「付きそうにないな...どれくらいで付くのぉー!」


僕は叫ぶしかなかった。足が痛い。こんなんじゃ冒険なんてしてられない。この10年間鍛えてきたと言うのに、こうも疲れてしまうとは我ながら情けない...


すると僕の後ろから何かが音を立て、近づいてきていた。


僕は直ぐに立ち上がり、短剣を構え、戦闘態勢に入った。ここら辺に森はないものの、周りを見渡せば山が見える。山から凶暴な何かがこんな何も無い道に来ていたって不思議ではない。僕は警戒しながら襲う準備に入り、何かが見えたその瞬間――僕は何かに向かって突っ込んだ。


「うわぁぁ!」


「ヒヒィーン!」


これは僕の声ではない。んじゃあ誰が...


僕は恐る恐る上を向くと男性――それも人間。そう、人間なのだ。僕はお爺ちゃん以外に人間を見たことがない。僕はいわば初めてお爺ちゃん以外の人間とあった。そしてもう1匹は馬だ。本に乗っていた馬。茶色い毛がいっぱいだった。そしてハッキリは見えないまま、僕はすぐある姿勢をとった。


「すみませんでした!」


そう。僕は今、『DOGEZA』をしている。お爺ちゃんから教わった事がある。もし本当にやらかしてしまった時には『DOGEZA』をすればある程度許してくれると聞いた。


「おい、兄ちゃん。お前さんもしかして田舎モンか?」


ビックリした。ここは怒られたり、もしくは剣を向けられてたかも知れないのにこのおじさんは田舎モンか?と尋ねてきた。僕は驚きを隠せないままDOGEZAをしていた。


「まあ偶にいるんだよ。熊か何かと勘違いして襲ってくる田舎モンは。迷子かい?それとも...王都に行くのかい?」


この人、天才か!


「は、はい!僕、お爺ちゃんに15歳になったら王都に行って冒険者になってこいと言われて王都にまで歩いて来ました!」


僕はDOGEZAをしたまま、真実を述べた。


「顔上げな。怒ってないから。そして、兄ちゃん。王都に行きたいんだろう?乗っていくかい?」


「え?」


僕は言われたままに顔を上げた。よく見るとおじさんが乗っているのは馬車だった。僕が8人ぐらい乗れる広さ。


「いいんですか?!」


「構わないさ。ちょうど俺も王都に帰るところだったんだ。ついでだ。ほら、乗りな。」


「ありがとうございます!」


僕は初めて馬車に乗る。座り心地は地面よりかは良かった。


「あの、本当にありがとうございます!さっきの事がありながらもこうして王都まで...感謝仕切れません!」


「こまけぇ事はいいんだよ。さ、出発するぞ。兄ちゃんは馬車初めてかい?」


「は、はい!」


なんで分かったんだろ?凄いな...


「なんで分かったんだろ?って顔してるな。馬車に乗ってる時の座り方だよ。その座り方はすぐ尻が痛くなる。もっと柔らかく座った方がいいんだ。」


「そうなんですね...ありがとうございます。」


僕は姿勢を柔らかくすると先程と違いなんだか揺れてもそんなにお尻が痛くならなかった。このおじさん凄いな...


「あと数十時間で付くと思うからゆっくりしていきな。」


「は、はい。」


僕は袋から数少ない食料を出して食べる。


色々とおじさんと話しをしたりして、11時間が経った頃。


「お、兄ちゃん見えてきたぞ。」


「おぉぉお!大きいぃー!」


大きかった。ここからでも見える。壁の向こう側には家の屋根が見える。凄い!あれが家、そしてここが...!


「王都だぁぁああ!」


つい、両手を上にあげてしまった。


「兄ちゃん、降りる準備はいいかい?」


「はい!」


おじさんが確認をとる。

馬車は段々と王都に近づく。そして、おじさんは馬車を王都の門前に止めた。


「よし、降りていいぞ。」


「ありがとうございました!」


「おう。頑張れよ。お前は俺と何処か似ている。必ずでっかい事をやるって確信してるからよ。頑張れ。」


「ありがとうございます!」


「っと、そうだ。ちゃんと金は持ってきたか?」


「え?お金?」


「ははぁ~。さては持ってないんだな。もしかしてタダで王都に入れると思っていたのか?王都に入るには銀貨1枚必要なんだぞ。」


「え!?」


驚いた。まさか入るのにお金取るなんて...どうしよう...ここまで来たのに...


「仕方ない。ここは俺が出してやる。冒険者になって稼いだら俺に何か奢ってくれよ?」


「はい!ありがとうございます!」


必ずこの恩も返す。そう心から誓う。


僕はおじさんと一緒に門番の人にお金を渡した。と言うよりおじさんが出してくれた。


そして、門は開き、門番の人が言う。


「ようこそ!ユータリア王都へ!」


こうして僕は王都に辿り着いた。

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