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その名を

 マオ達へと視線を注ぐ者、それは自分よりも弱い者をいたぶるのが大好きなモンスター、ゴブリンだった。

 どこにでもいる臆病なモンスターであるゴブリンであるが王都近くにいるゴブリンは特に臆病な連中であった。


 なにせ王都にいる冒険者や騎士というのはオフタクの街にいる冒険者達より更に質が高いのだ。

 ゴブリンが数の暴力で襲いかかろうとも王都の冒険者達にとっては暴力ですらないのだから。


 なので王都付近にいるゴブリンたちはというと他の地方にいるゴブリンたちよりもずる賢く立ち回る。


 狙うのは圧倒的に数の暴力で生かせる状況で。かつ獲物である人間が少ない時にしか狙わらない。

 つまり確実に勝てる状況でなければ戦わないのだ。


 冒険者といっても年齢に差がある。

 大人もいれば子供もおり、実力の有無もまばらである。とりわけゴブリンが狙うのは子供や女といった戦闘力が低い者たちである。無論、例外はいるが。


 そして今、ゴブリンの目の前で無心に額に汗を浮かばせながら素振りをしている子供にしか見えないマオというのはその実力を知らないゴブリンからしたら格好の獲物であった。


 そんなマオを確認したゴブリンたちは素早かった。マオ達を包囲するように、しかし、姿が見つからないよう草むらの中を動いた。


 そして全員が配置に着くとゴブリン達は一斉に草むらから飛び出したのだった。



「ゴブリン!」


 一番早くに反応したのはなんとなく周囲を警戒していたセリムだった。

 セリムは腰の剣変わりのフライパンと包丁を抜くと襲いかかってきたゴブリンをフライパンで殴り、怯んだゴブリンの胸元を巨大な包丁で胸元を切りさいた。


 次にエルレンティ。彼女は背負っていた籠へと手をやると鉄くずを掴むと身体強化魔法を自身に施し、全力でそれを投擲した。

 元々狙いなどつけていなかったのだが、エルレンティは小さな鉄くずを手に掴めるだけ掴みそれを投げたのだ。

 言わば散弾である。エルレンティを襲おうとしたゴブリンは広範囲に広がりながら飛んできた金属片を正面から受ける羽目となり、一瞬にして穴だらけとなったのだった。


 そして最後がマオであったのだが、反射的にというか身体が自然に反応したのが彼女だった。


 マオに飛びかかったゴブリンは三体。そのどれもが錆びたナイフのような武器を持っていたのだが、マオは手にしていた武器を右から左に振り抜いた。


 振り抜いた武器はゴブリンの横っ腹へとめり込む。だが、マオの全力で振り抜かれた武器はめり込むだけでは止まらない。

 ゴブリンの身体は上下へと別れ、臓物の雨を降り注がせた。そして武器は同じように飛び込んできた残りの二体も同じように両断した。


「なんか飛びついてきたから殴りましたが」


 振り抜いたままの姿勢で固まっていたマオであったが吹き飛ばしたのがゴブリンであることに気づいたようで武器に付いた血を吹き飛ばすように軽く振るう。


 血が周りの草むらに飛ぶと同時に風が生じた。

 囲み優位に立っていたゴブリン達であったが一瞬にして襲いかかった仲間がやられたことにより動揺し足を止めた。


 ちょうどいいです、とマオは武器を素振りしながら笑う。

 マオの手にある新たな武器、白金に輝く神々しさを持ちつつも至る所に尖った突起物がつけられた棍棒だった。


「これが新たなマオの武器、神結晶の新たな形です」


 その名を、


「メガトンバットです!」


 踏み込み、動揺しているゴブリンの頭へとメガトンバットを振りぬき、頭を吹き飛ばしたのであった。

名前に意味はない。なんか語呂がよかったから!

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