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ギルドの偉い人?

 そんな闘技場で行えばお金が取れるような戦いをしている中でマオは未だに食事を続けていた。

 しかも律儀に手を上げてお代わりまで頼んで。

 初めのうちはギルドの職員も拒否はしていた。だがギルドマスターが権力を使い、注文を受けるように強制してきた為、ギルド職員は泣く泣く擦れば死ぬであろう戦場の中、マオの注文を受けに行っていたのだ。

 そして料理というか食べることに執着するマオはギルド職員が食事を運んで来る際にセリムやエルレンティの攻撃が当たりそうになると全て迎撃していた。聖書をぶん投げてナイフやフォークを弾き飛ばし、飛んできたテーブルなどは聖書で粉砕した。

 そのため注文を受けたギルド職員は恐怖の感覚が狂いつつも無傷で食事をマオの元に運ぶことに成功していたのであった。

 故にマオは激しい戦闘が繰り広げられるギルド内でありながらもゆったりと自分のペースで食事を続けているのだ。


「あ、あのマオさん」

「なんですか?」


 お腹がかなり膨れ上機嫌にお茶を飲んでいたマオに一人の男がビクビクと怯えながら近づいてきた。

 いつもの食事中ならば無視するマオであったのだがお腹が膨れている事から和かに答えた。

 その男はオフタクの街の冒険者ギルドのギルドマスターであるのだがマオはそんな事は知らない。


 ただ、いつのまにか給仕の人が変わったなぁという感覚であった。


「そろそろアレ、止めていただけないでしょうか?」


 額から流れる汗をハンカチで拭いながらギルドマスターは未だギルド内で暴れ続ける二人を指差す。

 すでにギルド内は半壊状態といっても過言ではない。むしろまだ建物としての原型を保っている事が奇跡的と言ってもいい。


「あなたが止めてはどうでしょう? マオには実害がありませんので」


 飛んできたナイフを首をそらす事でマオは躱す。マオが躱したナイフはマオの後ろの壁を易々と破壊し、拳大の穴を作り上げていた。

 そのただのナイフが作り上げた破壊痕を見てギルドマスターは顔を青くする


「わ、わたしにはそんな実力はありません!なんとか…… なんとかしていただけませんか! このままではギルドが壊れてしまいます!」


 縋るように言ってくるギルドマスターを眺めながらマオはのほほんととお茶を飲む。

 人からの頼みはあまり断らないマオであるのだが人的被害が出ない状況では特に手を出す気がないようだった。


「モンスターが暴れたことにすればいいのでは? このギルドもなかなか古いようですし」


 モンスター関連ならば国からお金が出るという事を思い出したマオは提案してみる。

 それでギルドを新しくしてみては? と。

 今のギルドの壊れ具合を見て冒険者同士の喧嘩でこうなったとは思わないであろうという判断であった。


「もちろんそうしますが、ギルドが壊れてしまっては街の人たちも困ってしまいます!」


 モンスターのせいにはするときっちりと断言したギルドマスターにマオは苦笑を浮かべる。裏表がわかる人間は好きだからだ。


 しかし、一向に動く気配がなくお茶を楽しんでいるだけのマオにギルドマスターは焦りを感じていた。このままではギルドの建物の倒壊は必須。多少壊れたりするのは捕獲したモンスターが暴れたなどでいい通せるがさすがに建物が倒壊しては言い逃れができない。

 連れ帰ったモンスターを御せる人材もいないのかと言われてしまう。


(こんな初心者の街のギルドマスターで終わるようなワシじゃない! こんな所でキャリアを傷つけられるわけにはいかん!)


 欲望ダラダラであった。

 そんなギルドマスターの欲望のためというか被害が広がらないようにするためには喧嘩をしている二人を止めるのは必須条件。

 そのためには二人がかりで挑んでも倒すことのできない神官と呼んでいいのか疑わしい人物の力を借りるしかないのだ。


 ギラリとギルドマスターの瞳が怪しく光る。

 そして、彼はマオが絶対に頷くと確信している条件を出すべく口を開いたのであった。

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