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神官の勘

 ダンジョンでの神官の修行というのは本来、アンデットと対峙し生きている者と死んでいる者の魔力の違いを感じる修行である。

 そのため、正式な修行としてはアンデットと一対一で対峙し、その差を感じるものなのだが……


 現在、セリムとエルレンティを追いかけてきているスケルトンの数は一対一などではない。

 これは神官も行わない修行なのでは? と疑問符が浮かぶかもしれないが、マオの取った多数のアンデットに追いかけられるという修行もないわけではない。

 しかし、これは自身の魔力を感知する力が低い者に使う荒療治のようなもので本来の神官指導者が使うような修行方法ではなく、知らない者も多い。

 ではなぜマオがこの修行方法を知っているのかというと神官長からマオが受けた修行方法というのがこの方法だったからだ。


 閑話休題それはそれとして、こんな修行方法を取らされた二人、セリムとエルレンティはというと実際の所、自身の魔力の感知に程度の差はあれど成功はしていた。

 だが、それを二人が自覚するにはまず心の余裕が足りていなかった。

 なにせ、ひたすらに疲れを知らないスケルトンが延々と追いかけ回してくるのだ。自分の中の魔力を感知する時間など微塵もなかったのであった。


『わぁぁぁぁぃぁぁぁぁぁぁ!』


ただ背後から迫る脅威に悲鳴を上げて逃げるのみであった。


「そろそろですか」


 そんな二人を追いかけ回すようにスケルトンをコントロールしていたマオであったが聖書を振り回して走りながらも器用に懐から懐中時計へと目を落とした。


 すでに走り始めて五時間が経過していた。

 体力に自信があまりないマオは走りながら自分に対して回復魔法ヒールを掛けているためさほど身体的な疲労はない。

 エルレンティを抱えて逃げていた時ならば攻撃するのが難しかったのだが、お荷物がなく一人でいるマオにアンデットに対して死角はない。


 なにせ神聖魔法もとい神結晶に極端に弱いアンデットである。


 だから余裕を持ってたまに襲いかかってくるスケルトンにも対応しているし、何なら水や食事までしていたのだ。


「五時間も経てば多少は何かに目覚めてるはず」


 マオは魔力などの感知などは得意ではないのだが、神官としての勘? のようなものが働いているのか正解を導き出していた。


 ついでに言うとマオは飽きていた。

 スケルトンを追いかけ回すということに。


 神聖魔法を習得している神官にとって下級のアンデットモンスターなど恐るるに足りない。

 なにせ神聖魔法を纏った武器や拳で十分に迎撃が可能であるからだ。

 当然、神官であるマオは神聖魔法で倒すこともできるし、物理的に粉砕することすらできる。


「いい加減になんらかの動きを出しましょうかっと!」


 今までのようにこちらに反撃をしてこよう反転してかきたスケルトンへの反撃と言わんばかりに今までの攻撃より遥かに力を込めた聖書の一撃をスケルトンの群れへマオは投じ、そんな凶器を叩き込まれたスケルトン達は体である骨をばら撒きながら浄化されていくのだった。

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