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使えない武器はポイする

 

「だ、駄肉です! エルフのくせに得意の弓も引けないほどの胸なんて駄肉です! 神罰ものです!」

「指差しながら言わないでください! 私だって好きで大きくなったわけじゃないんです!」


 マオは顔を真っ赤にしながらエルレンティの胸を指差し、エルレンティはマオから隠すように胸を見えないようにしていた。


 エルフは美男美女というのが当たり前である。そして女性ならば羨むようなスタイルを持っているのだが殆どのエルフというのは胸がほぼ真っ平らな者が多いのだ。

 学者達に言わせれば自分たちの得意な弓を扱いやすくするために体型が変化したのでは? という説を唱えている者もいる程だ。


 そんなエルフの中でもエルレンティの胸は人間の巨乳の女性より遥かに大きい巨乳、つまりは魔乳のため、弓を放とうとすると蔓が自分の胸に当たる羽目となっていたのだった。


「なんで使えない武器なんて持ってきたんですか!」

「弓はエルフの伝統武器なんですぅ! エルフは弓で戦わないとダメなんですぅ!」


 変な拘りを見せているエルレンティにマオは少しばかりイライラとし始めていた。

 モンスターに囲まれつつある現状でありながら座り込んでいるエルレンティへと近づいて行く。


「駄肉」

「あう」


 マオがエルレンティの胸を叩いた。


「駄肉駄肉駄肉駄肉駄肉」

「あうあうあうあうあうあう」


 マオは叩くひたすらに叩く。

 無表情でひたすらに叩き続ける。

 そして幾度も胸を叩き、エルレンティが倒れこむのを見たマオは素早くエルレンティの手にしていた弓を奪い取り、


「駄肉にこんな弓はいりません!」


 持ちうる全ての力を込めてモンスターの一群に向けて全力で投げつけた。


「ああ! 私の弓ぃぃぃ!」


 エルレンティの悲鳴をかき消すような轟音を響かせながら弓は宙を飛び、モンスターが密集している場所へと飛び込み、次の瞬間、集まっていたモンスターがまるで爆発するかのように弾け飛んだ。


「とりあえずは逃げるのが先です」


 聖書を片手に、更には鎖でエルレンティを縛り上げたマオは肉片が降りしきり、包囲網の中ポッカリとあいた穴へと飛び込み、聖書と縛り上げたエルレンティを振り回した。


「ぎゃぁぁぁぁぁ! マオさぁぁぁぁん! 死にます! 私当たりどころが悪かったらしにますよぉぉぉぉ! げひぃ!」

「喋る余裕があるのでしたらまだ大丈夫です」


 エルレンティが何か呟いているようだがマオはキニシナイ。

 とりあえずは死なないように気をつけてはいるのか定期的にエルレンティの体が輝き、その度にぶつけられて血を流して傷ができていたはずのエルレンティの傷が癒える。

 回復魔法を使いながらエルレンティを武器として使うマオであった。


 対してそんなマオと対峙しているモンスター達も混乱に陥っていた。

 なにせ敵の使う武器が言葉はわからないが悲鳴を上げながら迫ってくるのだ。

 あまりの金切り声に恐怖を感じ後ろへと下がると、目の前の小さな化け物は逃すものかとさらに詰めて、凶器を振り回すのだ。


 モンスター達は本能で感じたことだろう。

 これは手を出してはいけないものだということを。


 この日、何故か大量に集まっていたモンスターはかなりの数をマオ一人に蹴散らされ、モンスター達は再び森に戻っていくのであった。


 その後、モンスターの返り血で真っ赤に染まりながらもオフタクの街へと帰還。武器として使われていたエルレンティも返り血が滴るほどに酷使されていたのだがこちらも無傷ではあったが死んだような眼をして帰還。

 血塗れのマオを見て門番達が大騒ぎして、マオが闇組織を潰したや、犯罪者を手当たり次第に殺して回ったなどという噂が出回った。

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