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見た目で判断はしないけどやっぱり見た目は大事

「実力を見ないとは言ってません。ですがある程度の実力はあると判断しただけです。マオら見た目で判断したりはしないのです」


 聖書を吊るした鎖を再び肩から下げながらマオは一応注意をする。

 現在の所、マオの中でセリムは動くなかなか丈夫な盾という程度のものでしかない。


(丈夫というのはいいことです。最悪こいつの後ろに隠れれば致命傷は避けれそうですし)


 などと女神に使える神官とは思えないくらいに腹黒い算段であったりしている。


 前に置くなら丈夫な盾を!


 商人などが売り文句にしていそうだがそれにはマオも大いに賛成なのであった。


「じゃあ、今から俺がゴブリンとかを狩る勇姿を見ててくれ! この二刀のセリムの勇姿をな!」


 明らかに小さいナイフ、恐らくは果物ナイフらしき物を構えた、一層の事滑稽に見えるセリムが爽やかな笑みを浮かべてアピールしてくる姿にマオはため息をつき、さっさと行けと言わんばかりに手を振る。


「うぉぉぉ! やるぞぉぉぉ!」


 森の中にセリムの気迫の満ち溢れた声が響いた。


 その僅か五分後、


「うわぁぁぁぁ! 無理だぁぁぁ!」


 前言を撤回するような悲鳴が森の中を木霊する。

 そして地面を泥だらけになりながら音を立て、転がり回るセリムの姿があった。


「よっわ……」


 そう呟いたのは横倒しになった木に腰掛けながら街を出るまでに買い込んだお菓子を手に持ち、セリムが転がり回るのを眺めていたマオであった。


 なんだか自信が無駄にありそうだったので自分が手助けする必要はないかなぁ、などと考えたマオは観察するのも途中に小腹を満たすためにお菓子を広げたのだが、味わっている途中からセリムの悲鳴が聞こえ始めたのだ。


 セリムが転がりまわっているのは決して転けているわけでない。

 それは彼が後ろから追われており、それから必死に逃げているからだ。


「お、お前らなんて俺の剣があれば楽勝なんだからな!」


 顔を泥だらけにしながら威勢よく言葉を吐くセリムであるが口から出た内容は情けないことこの上なかった。

 彼の手にはすでに先程まで構えていたナイフの姿はなく、完全に素手であった。


 そんなセリムの前に森の奥から彼を追い詰めていたモンスターが姿を現した。


 ポヨンポヨン


 そんな効果音が聞こえてきそうな様子で地面を跳ねながらそれは姿を現した。


 ポヨンポヨン


 流れるような丸美を帯びたフォルム、僅かに背後が透けて見えるような青み掛かった半透明な水の塊のような物。


 ポヨンポヨン


 冒険者ギルドが上げる初心者冒険者の死因の五割を誇りゴブリンをも超える初心者キラー、その名は、


 ポヨンポヨン


 スライムであった。

 そんな初心者キラーであるスライムが群れを成してセリムを取り囲んでいたのであった。



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