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治療師の弟子  作者: 鈴木あきら
第1章 新しい人生
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第5話 日々鍛錬

初日から2ヶ月が過ぎ、やっと扱きにも慣れてきた。

しかしそれがハマルに見破られたのか、外周の数などが増えてしまった。

折角これ以上キツくならない様に、辛そうにしてたと言うのに…なんでバレたんだ?結構完璧な演技だった筈だぞ?

だがまぁ幸いなことに、7日の内1日は休みになっていて、しっかり休むことが出来る。

これは俺が頑張って説得して獲得した休日だ。これが無ければ、その内疲労で倒れるんじゃないかと思う。


武術の日は初め、ずっとトレーニングばかりしていたが、今は朝にトレーニングを行い、昼と夕方に武術を教えて貰っている。

武術では体術と弓術ともう一つ。剣、短剣、双剣、槍をその日で1つをローテーションで習っている。勿論、それらはハマルが木で作っている為、危険は無い。多分。

今日は短剣の日だ。


ーー家の前にて。


姿勢を低くし、素早くハマルの懐に入り、剣を横に振る。

ガンッ

木のぶつかり合う音が鳴った。

俺の攻撃はハマルに軽く往なされ、すぐに反撃される。

ギリギリ防げたが俺は尻餅をついてしまい、透かさずハマルは短剣を俺の首に当てる。


「はい。これで6勝目〜

アルは力も速さもまだまだなんだからさ〜もっと頭を使わないと、一撃も入れれないままだよ〜」

「ぐぬぬぬぬ……もう少し手加減してくれても良いじゃんっ!」


余裕の笑みを浮かべるハマルに俺は膨れて言う。

我ながら子供っぽい言動だとは思うが、今の俺には年相応の行動だろう。


俺とハマルは1日の終わりに、習った事の確認として必ず試合を行う。

最初の方こそ、攻撃を往なされる事すら無かった。

そう考えると少しは成長しているのかなと思う。

2ヶ月前より体つきも良くなった。

子供特有のプニプニ感が少し抜けて、体が引き締まってきている。

手の平にも剣などできた胼胝がある。5歳児にしてはかなりゴツイ手だ。


食事の量も訓練を始める前より多く、肉や魚などのタンパク質の物が多い。

俺はどっちかって言うと肉派なんだが、ここは海に近い為、魚が多く取れる。

昨日も山盛りの魚料理が出た。

キッチン行ってみると、そこには魚を捌いているシャウラとエルナントさんがいた。……今日も魚料理なんだな。そろそろ肉料理も食べたいものだ。

料理は基本的にエルナントさん、そして偶にシャウラがサポートーーいや、料理をエルナントさんに教わっているって言った方が正しいな。先生と生徒って感じだーーとして作ってくれている。


「これって何の魚なの?」


サーモンみたいな魚の切り身を見て俺は尋ねる。


「これはサルモーと言う魚の魔物です。生命力が強いので締める際大変ですが、油が乗ってて美味しいですよ」


なんか、名前もサーモンみたいだ。


「へぇ〜〜魔物って食べれるんだね。魔物って食べれないのかと思ってた」

「何言ってるの。いつも食べてるじゃない」

「え、そうなの?」

「そうですね。ハマル様が取ってくるものは殆どが魔物ですね」

「知らなかった……」


普通の魚に見えるが、これでも魔物なんだな。


「それにこの魚は滅多に森に出てこないから、希少なのよ」


「出てこない」って…なんか変な言い方だな。


「お魚って、川とかで釣れるの?」

「いえ?普通に歩いてるわよ?」

「へ、へー…そうか!だからあんまりご飯に出ナインダネ!」

「そうよ。」


シャウラが微笑みながら答えた。


……え?おかしくない?

なんで魚が普通に森で歩いてるのかな?

え?そういうものなのか?魔物って。

ってか何だ?つまり足とか生えてるって事か?


「母さん。僕まだ捌いてないお魚見てみたい!」

「それは良いけど、私のところにはもう無いわね…あっ、エルー。アルにまだ捌いてないの見せてくれない?」

「畏まりました。」

「やったー!」


そう言って俺はエルナントさんに近付き、それを見せてもらった。


サルモーの見た目の感想として……「キモい」この一言に尽きる。

さっきの話から予想出来たが、やはり足が生えていた。

まあ、百歩譲ってそれはいい。サルモー達は外を歩いてみたかったんだろう。

でも、なんか、腕?が生えてた。しかもムキムキの猿みたいな腕だった。

確かに、腕があった方が色々と便利だとは思うけどさ?こんなキモくなるなら、普通に水中で生活してればいいのに。ホント。


「へぇーお魚ってこういう形してるんだねー。ありがとう!」

「いえ」


その後、サルモーの見た目を思い出さない様にしながら晩飯を完食し、俺はすぐにベッドに潜った。

今日も筋肉痛が痛い。

まぁ初めよりは断然マシだが。



ーーー翌日。


朝、俺は腹筋と腕立て伏せ、それぞれの武器の素振りを200回ずつ行い、その後ランニング7周をした。

昨日に続けて汗を掻いたので、井戸で水を浴びる。

因みに、家に風呂やシャワー等は無い。

風呂は金持ちが入るものらしく、シャワーに至っては存在すらしない様だ。

その内作ってみたいな。

魔法でこの水を使い、体に付いた水浴びだけでは取れない脂や汚れを落とす。

その後、魔法の風で体を乾かす。


「朝食だよ〜早くこないと母さんに怒られるぞ〜」


ハマルが呼びに来た。


「うん、今行くーー」


俺は駆け足で家に戻った。


「今日も美味しそうっ」


今日も魚、サルモーの料理だ

『いただきます!』

手を合わせ心の中で言う。

もし二人の前で言ったら、その言葉は何なのかという事になるからだ。


飯を食べ始める。

やはり量が多い。

しかし美味いので腹の中にどんどん入った。

『ご馳走様でした。』

心の中で言い、皿を下げる。


この後は魔法の授業がある。

魔法の授業では、昼に魔法の原理について学び、夕方に実技を行う。

今は、身体強化について学んでいる。


「よいしょっ、こんな感じね。」


シャウラがお手本として、俺の身長ぐらいの重そうな石を片手で軽々と持つ。


「まずは10分の1でやってみましょうか。」

「はい!」


これは魔力を血管のように身体の隅々まで均等に行き渡るようにし、それを保つ事によって身体能力を大きく上昇させるものだ。

これは様々な事に応用できる。

習得したら早速武術に応用しよう。

その他にもこれには利点があり、これを行うと魔力制御が上手くなる。


しかし魔力を均等に保つというのは、かなり難しい。

保つ内に、魔力の量が少しブレてしまう。


「腕!」

バシッ

「ーーッ」


魔力がブレた所をシャウラに棒で叩かれる。

これが結構痛い。

まるで坐禅をしているみたいだ。

これを魔力が無くなるまで続ける。

「魔力を保つぐらいなら、魔力は消費しないのではないか」と思うかもしれないが、それは違う。

保つ魔力がブレると、そこから少量の魔力が抜けてしまう。

その分、魔力を補わなければいけない。

保つ魔力が多い程身体強化が強くなるが、その分難しくなる。

現在の俺の魔力、MPは3000ある。

今はその内の10分の1、約300の魔力を保っている。

これでも結構難しいのだから、それ以上、例えば2分の1なんて出来るはずもない。

何度もこれを繰り返す他ないな。


「ここまで!今日はこれで終わりね。御飯にするから、アルも手伝ってくれる?」

「うん!」


二人で家に戻り、ドアを開ける。


「お帰り〜今日も魚を釣ってきたよ〜」

「ありがとう。今作るわ。今日もアルが手伝ってくれるのよ。」

「アルはいつも偉いな〜」


ハマルが俺の頭を撫でる。少し照れくさい。

食材は毎日ハマルが調達してくる。

ハマルもシャウラも冒険者だから、こういった事は手慣れた物なのだろう。


「今日は、スコンベルなんだね。」

「そうみたいね。アルは鱗取りをお願い。エルは、スープ作りをお願い。」

「畏まりました。」


スコンベル、これは鯖のような魔物だ。

2人がよく揚げ物を作ってくれる。

これがとても美味い。

俺が言われた通りに包丁で鱗を取っていると


「あら、あと少しで調味料が無くなってしまうわ。明日買い出しに行くから、これも買い足さないと…」

「明日は休みだから、僕も付いて行っていい?」


俺は生まれてから外に出ることがなかった。

行けるなら村の中心にも行ってみたい。


「うーん…ちゃんと朝のトレーニングをしたら良いわよ。ねっ、貴方。」

「それなら僕は良いよ〜」

「じゃあ明日、朝食を食べたら買い物に行きましょうね。」

「やったー!」


俺は明日、初めて買い物に行く事になった。


次回更新は4日後になります。

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