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治療師の弟子  作者: 鈴木あきら
第1章 新しい人生
23/27

第23話 星霊魔法

遅くなって申し訳ございません。

ーーー1年後


俺は現在、村の外れにある林に来ている。日は既に落ちていて周りは暗い。

勿論シャウラに許可は取ってある。もうすぐ7歳と言う事でやっと門限が延びたのだ。

もし無断で出てきたら、後が怖い。本っ当に怖い。何度か門限を破ってしまった事があるが、軽く2時間ぐらい怒られた。そんなのもうゴメンだ。


空を見上げると、無数の星々が光り輝いている。

ここには星霊術を試行しに来た。人目につかない為、スキルの試行に丁度良い。

何が起こるか分からないからな。もし家の中でスキルを使い、何かあれば直ぐにシャウラとハマルにバレてしまうだろう。

そうなった場合、絶対に面倒な事になる。色々と聞かれ、それに答えるのも面倒だ。

林の中心部ーーと言ってもここの林は小規模で、以前周りを走ったことがあるのだが、15分程しか掛からなかったーーに着いた為、周りに人が居ないか確認する。


“探索 対象 : 人種”

“探索結果 : 反応無し”


ーー“探索”

これは1年で覚えることが出来たスキルの1つだ。

これが結構便利なスキルで、半径1㎞以内にあるものならある程度のものを探し出すことが出来る。しかも“全知”の機能も合わさっているのか、マップ上に出たマーカーのステータスも確認出来るのだ。本当に便利なスキルだ。

今はまだレベルが1だから、レベルが上がればもっと範囲や精度も上がるだろう。

また、範囲だけはMPを消費すれば、更に拡大出来る。


スキルを使うと、目の前に自分を中心にしたマップが現れた。今でこそ便利なマップとなっているが、対象を絞らないとあまりの情報の多さでマップがマーカーで塗り潰されてしまい、かなり見難かった。だから毎回対象を絞る様にしている。

マップを見る限り、この周辺に人はいない様だ。


「よしっ。早速やってみるか」


一応マップは出したままで星霊術を使う。


使い方はよく分からないが、星霊魔法と同じようにやってみる。

家にあった本曰く、星霊魔法では魔力を天に捧げ、星々を繋げて自分が想像した形の、意思無き人形を召喚出来るそうだ。で、その時に自分で好きなように言葉を並べないといけないらしい。例文みたいなのが乗っていたのだが、どれも厨二じみてた。そうした方が良いのか?

まぁ、取り敢えずやってみるか。


“星霊術”

「我、繁星を結び、汝を想見し創製すーーーん?」


“探索結果 : 3つの反応の有り”

“村人 Lv.1”

“村人 Lv.2”

“村人 Lv.2”


いつの間にかマップに3つの反応が出ている。何をしてるんだ?

これでは試す事が出来ない。コソッと近づいてみるか。


“隠密”


名前の通り、これは人に見つかり難くするスキルだ。“探索”と同様にレベルが1なので少し心許ないが、村人にはバレないだろう。

マップを見ながら3つの反応の元へ向かう。スキルの影響で足音が小さくなるので走って向かう。


「もうそろそろだな……」


結構近くまで来た。念の為、ここからは歩いて行く。近づくにつれ、男の声らしきものが聞こえてくる。

目的地に着いた俺は木の影から顔を覗かせ、様子を見る事にした。

ーーーん?人が倒れてる。しかも3人?おかしい。マップには3つしか反応していないのに…じゃあこの声、誰のーーあれ?声が聞こえなくなって


“転移”っっ‼︎


ガキーンッ


俺が“転移”ーー空間魔法を練習していた内に獲得したスキルだ。その名の通り、一瞬で移動する事が出来るーーしたのとほぼ同時に、俺のいた場所に長剣が振り下ろされた。その後に鳴った音を聞く限り、木製では…無いよな。

俺が転移したのは襲撃があったところから100m程離れた地点だ。今のスキルレベルではここまでしか転移出来ない。


「はぁ…危なかった」


思わず声が出る。少し気付くのが遅れてたら、死んでたかもしれない。そう思うと、一気に鳥肌がたった。それに、嫌な汗もかいてくる。

さっき、一瞬だが俺を切ろうとしていた奴を見る事が出来た。外套ーー暗かっ為確かでは無いが、白い外套だったーーを着ていた為、しっかり見ることは出来なかったが、男だったと思う。恐らく林で聞こえた声がアイツの声だったのだろう。それにマップに反応が無かったと言う事は、男は俺の“隠密”の様なスキルを持っていて、それが“探索”よりもレベルが高いって考えた方が良い。余りにも急すぎてステータスを調べる暇が無かった。


さて……これからどうするか。

倒れていた3人は家族のようだった。何度か村で見かけた事がある。

恐らくあの男が何らかの目的の為に連れて来たのだろうが、今の俺にはアイツを戦闘不能にする事なんて出来ない。

申し訳ないが、ここは一旦村に戻ってハマル達に報告させて貰おう。助けに行って死んだら元も子もないからな。

幸い、あの男に襲われた際にマーカーを付ける事ができた為ーーー良かった。今度はマップで確認出来る。幾ら本人が他人に認識されにくくなっていたとしても、目印が付いてしまえばそれも意味がなくなるからな。マップの中の男は“転移”で3人が助けられるのを警戒しているのか、俺を深くは追わずに周りを巡回していた。兎に角、早く村に戻ろう。“転移”にはクールタイムがある為、また直ぐには使えない。

“身体強化”

よし、さっさと行くか。


そして暫く走っているとクールタイムが終了した為、“転移”で林の外まで転移した。

もう一度、マップに目を向けると、林の中心にあった筈の3つの反応が消えていた。


ーーーっ!


ーーーーーーーー殺したのか?それとも空間魔法で何処かに連れて行った?どちらにしても早くここから逃げた方が良いな。さっきの奴が追ってくるかもしれない。“感覚麻痺”のせいか、冷静に考える事が出来る。間接的だが人の死に関わったのだが、特に動揺せずに済んだ。

そして走り出そうとした時だ。


ドガーーンッ

ギゃァあぁぁアぁアあーーーー‼︎‼︎


村の方から大きな炎が見え、林の方からは複数の叫び声を混ぜた様な咆哮が聞こえた。魔物か⁉︎


“探索 対象 : 魔物”

“探索結果 : 1つの反応の有り”

警告 “邪歯羽尾ッ駆 Lv.■■”


「ーーなっ⁉︎」


なんなんだコレは。“探索”で警告なんて初めて出たぞ。それほどヤバイって事か。

ステータスも文字化けが激しい。マップにはさっきまで3つの反応があった場所にコイツの反応が出ていた。

さっきの人達はこの魔物を召喚する為の贄だったと言う事か。そう言えば見つけた時、地面に何かの文字の様なものが書かれていた様な……


こんなのが村へ向かったらーーー早くみんなに知らせないと。村まではそう遠く無い。




■□■□




ーーー時は少し遡る。


アルファルドが転移した後、林の中で男は何者かと連絡を取っていた。


「ーーー1匹、奇妙なネズミに遭遇しましたが、計画に支障はありません。ーーーはい、それでは。『我等は■■■■と共に』」


男は召喚陣の上で眠っている者達に目を向け、詠唱を始める。

彼等を眠らせたのは、痛みを感じさせない為と言う、男の身勝手なエゴによるものだった。

詠唱を始めると、彼等は人の形を失っていき、ドロドロの肉塊へと変化する。

そこから這う様に出てきたのは、醜き竜であった。


男と醜き竜は目を合わせ、互いに笑みを浮かべた。


男は狂気的な笑みを浮かべ、両腕を広げた。


「■■■■と共ーー‼︎」


その言葉を言い終える前に、男は醜き竜の生餌となった。


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