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治療師の弟子  作者: 鈴木あきら
第1章 新しい人生
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第1話 終わり、そして始まり

初めての投稿です。

誤字等ありましたらご報告頂けると嬉しいです。


よろしくお願いします。


 ……何かが止まる音がした。


其の儘、俺は光の無い冷たい水の中を沈んでいく。

しかし不思議な事に苦しくは無い。更に俺は深く、沈んでいく。

ここは何処だ?なぜ俺はここに……


『…あぁ、そうだ。』

 

俺は久々に家族で海に来ていた。

親父とお袋は弟の陽太につきっきりで、俺は一人で泳いでいて…その時足を攣ったんだ。

これでも準備体操はしたんだけどな…

そのまま俺は溺れて


『死んだのか?』

 

それなら、なぜ俺の意識はハッキリしてるんだ?

ここが所謂、死後の世界と言うものなのか?

それとも昏睡状態でこれは夢だったりするのか?


『ーーーん?』


急に水に流れが生まれた。

その流れは一点に集中していて、其処から光が入って来ている。

出口か?

何処につながっているか分からないが、取り敢えず光に向かって泳ぐ。

光までは思っていたより早く着いた。

光は小さい穴から入ってきたものだった。

俺は狭いその穴を身を捩りながら潜る。


そして俺は、光に包まれた。



 ーーー「………ァルド。この子の名前はアルファルド。」



■□■□■


 

目を覚ますと、見知らぬ木造りの天井が目に入った。


こんなセリフ、アニメや小説くらいでしか聞かないが、まさか自分が言う羽目になるなんてな……ってかここどこだ⁉︎

俺は海で溺れてた筈だよな⁉︎


周りを見渡すと金髪の俺と同い年に見える男女ーー女性の方は俺が今まで見た事が無い程綺麗なタレ目の美人さんで、男性の方は……どこにでもいる外人みたいだ。まぁ、日本人よりは整った顔立ちだなとは思うヨ。ーーがこちらを覗き込んでいた。

瞳の色は男も美女も綺麗な青色だ。スカイブルーって言ったほうが良いかもしれない。

外国人、どの辺りの人だ?

何故か2人共とても喜んでいる様に見える。

この2人が助けてくれたのか?

取り敢えず、今は自分の状況を知りたい。

この人たちに礼を言ってから今の状況とかを聞くか。

俺、あまり英語を話せないんだよな。

それ以前に英語で大丈夫だよな。ロシア語とかフランス語とか無理だからな?


「えんうー あぅ?………」


ん?

上手く話せない。

Thank you くらい言えるはずなんだが。

それに声も妙に高い。

視線を自分に向けると、胸元の涎掛けにムチムチした手が見える。

よく見ればこの二人、俺から見ると遥かに大きい。


えっと………うん。

俺、赤ん坊になったみたいだ。

……いやいやいや、流石にそれは無いだろう。

幻覚だ。ほら、溺れた時に頭をぶつけたりしたんだ。きっと。


手ーーやはりムチムチしてるーーで目を擦ってみる。

……まだ幻覚が見えるな。

幻覚では無いのか?まさか夢か?夢なのか⁈

頬をつねってみる。

……痛い。

幻覚でも、夢でも無いって事は…現実?

イ、イヤ、おかしいだろう。

有り得ないだろ。赤ん坊に成るなんて。

だが………現実だよな。

えーーっと?………俺、転生したっぽい?


ーーまぁ、つまり俺は溺れて死んだ訳だ。短い人生だったな…ほんと。だってまだ16歳だぞ?最近なんて100歳まで生きてるじーちゃんばーちゃんがいるのに、その5分の1も生きていない。転生出来たのはありがたいけどさ。


そもそも転生したと言っても、地球に転生したのか、それとも違う世界に転生したのか分からない。

神様みたいのが俺を転生させたって事なのだろうが…

こんな芸当出来るのは神様くらいだろ。

それにしたって何らかの説明くらいしてくれても良いと思う。

まぁ、転生してしまった今文句を言った所で何か起きる訳でも無いけどさ。

だがもし、神様とかが居たら絶対に文句を言ってやろう。

話せる機会があればだが…

それより今は、自分がどうすべきかを考えるとする。


取り敢えず身体が赤ん坊になっていて動けない今、この二人の会話を聞くしかない。

二人は俺を見て


「アルが目を開けたわ!」

「本当だ〜アルは君に似て、綺麗な顔をしているよね〜勿論シャウラ、いやもう母さんか。君の方が綺麗だけどね〜♡」

「もう、貴方ったら♡」


うわーーーーー

俺の親であろう二人は、絶賛イチャつき中である。

このバカップルめ。爆ぜーーおっと、親に向かってこれはいけないな。ハハハハ。


…?それより俺は何故、二人の話している事が分かったんだ?

赤ん坊の俺、凄すぎない?天才か?


…まぁ冗談はさて置き、恐らく日本語なんて話せないであろう2人の会話が、流暢な日本語に聞こえる訳だ。

この2人は日本人に見えないし、仮に日本語が話せたとしても、普通は母国語で話すだろうしな。

それに部屋の窓から外を見ると、太陽が2つもある様に見える。


…異世界に転生したんだな。

ここが異世界だとすれば、言葉が分かるのは大抵スキルとかのせいだと思う。“翻訳”とかそんな感じの。

異世界なんだから、小説やゲームの様にスキルくらいあるだろう。

我ながら勝手な決めつけか?

だが試してみるのも良いよな。

まずは自分のことが知りたいから……そう言う時は“ステータスオープン”って言うんだったか。

 

すると目の前にステータスボードが出てきた。


おぉー

口に出していないのに出て来たぞー

凄いなーこれー


……って呑気な事を言ってる場合か!

二人に見られたら面倒な事に成るだろ!

何故か絶対そうなるって予感がする!なんでだ!本当に何でだろうね。

兎に角、見られるのはマズイ。それこそ本当に天才児だなんて言われるかもしれない。

面倒事や目立つ事は出来るだけ避けたい。

俺はそう言うのが苦手なんだ。


……………ん?

あれ、見えてないのか?

あーーー、これは見えてないな。良かった…


ホッと一安心して、ステータスを確認する。



 なまえ アルファルド・ラティフ

 せいべつ おとこ

 ねんれい 0さい

 レベル 1

 HP 18/18

 MP 22/22

 SP 34/34

 

 ちから 4

 すばやさ 5

 たいりょく 9

 かしこさ 6

 うんのよさ 6

 こうげき力 6

 しゅび力 12


 スキル ぜんち / せいれいじゅつ


 しょうごう てんせいしゃ / ??つかい


 そうび よだれかけ



ド◯クエみたいだな…ほとんど平仮名でとても読み難い。

そう思うと、勝手にステータスの文字が書き換えられ、一部漢字になった。

…便利だな。


今の俺の名前は、アルファルド・ラティフと言うようだ。

俺の父親が「アル」と呼んでいたから、アルファルドが名前でラティフが苗字だろう。

MPがあるということは、魔法があると言うことか?

スキルは“全知”と“星霊術”。

俺がこの二人の言葉を理解できるのは、恐らく“全知”の影響だな。

文字通り全てを知れるって事だろう。

試しに二人を見ながら頭の中で“全知”と言うと、SPが4つ減る代わりに二人のステータスボードを見る事が出来た。

凄いなこのスキル。

プライバシーのカケラもない。

これは所謂、チートスキルと言うヤツだな。

それより問題は“星霊術”だ。

これはどんなスキルなんだ?朝のニュースで放送している様な、星座占いの様なものなのか?

他にも、俺は生まれたばかりなのに2つの称号、“転生者”と“??遣い”を獲得している。

“転生者”はそのまま、俺が転生者だからだろう。

“??遣い”、これは一体何の称号なんだ?

何かを使う事ができるという事なのか、それとも何かの使者という事なのか。

全く分からない。


ーーそう言えば、こういう分からないのは“全知”で調べれば良いじゃないか。

調べてみると、“??遣い”に関しては文字化けして何も分からなかったーー“全知”って言うスキルなのに、どうやら全ては知らないようだーーが、どうやら“転生者”は、その称号を持つ者に様々な適性を与えてくれる物のようだ。

恐らく、人によっての向き不向きが無くなり、何でも出来るという事だろう。

もう少し成長したら、色々な事に手を付けてみたいな。

まずは、体を動かす必要の無い魔法に手を付けて行くか。


ところで、これはどうやって閉じるんだ?

“ステータスオープン”で開いたから“ステータスクローズ”で閉まるのか?

するとステータスボードが消えた。

どうやら英語で念じたら色々出来るようだ。

色々、と言ってもどれ程出来るかは分からないが。


他に二人の話を聞いた中で、二人の名前…はステータスを見たから分かったとして、二人がバカップルという事以外、大した収穫は無かった。


二人の名前、父親はハマル・ラティフ、そして母親はシャウラ・ラティフという。

見た目は二人とも、死ぬ前の俺と同い年に見えるが、ステータスでは二人とも27歳と書かれていた。

二人が童顔なだけなのか、それがこの世界の常識なのか…

先程も思ったが、シャウラは金髪の似合う美女で、ハマルは正直言ってモブ顔だ。

二人が釣り合っているとは、とても思えない。

何故ハマルはシャウラと結婚できたんだ…

まぁ人は見かけによらないと言うしな。

話せるようになったら、本人達に聞いてみるか。

息子の特権ってヤツだ。


そんな事を考えていると、二人が俺の手に指をねじ込んできた。

ああ、俺も小さい頃に陽太ーー弟が生まれた時によくやったな。


そういえば親父やお袋、陽太は今頃何してるんだろうか?

俺が死んで迷惑をかけてなきゃいいが…

言えるならお別れぐらい言いたかった。


俺は二人の指を握る。

すると二人揃ってとても嬉しそうに笑った。

その顔はとても優しく見える。


新しい人生、家族関係は上手くいきそうだな。

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