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女の子。


昔は男っぽい女の子だった。田舎は富山県。野山を駆けずり回るような女の子。好きな遊びはチャンバラ。友達を作るのは少し苦手だった。声をかけるのが少し恥ずかしかった。女の子っぽい格好をするのも恥ずかしかった。ピンクよりも青が好き。髪の毛は短いほうがいい。スカートよりもズボン。話題のドラマはみない、キラキラのシールも、プリクラも、無し。女の子には、馴染めません。

休み時間は話題のドラマの話や、携帯のアプリの話で夢中になってる女の子達。あたしは分からないから、そうなんだ~なんてよく分からない相槌、相槌。あたしだって見てみようと思ったことはあったけれど、どうしても最後まで見れずに、チャンネルをアニメに変えてしまうの。少女漫画よりも少年ジャンプを読んでいたかった。


それでも、私は女の子なので、女の子として生きていかなければ行けないと思って、学校では女の子のグループに入っていた。女の子のグループは難しい。内緒のルールが沢山あって、秘密は秘密じゃないし、噂は5秒で広がると思った方がいい。服はダサくちゃいけないし、髪の毛は毎日ととのえていかないといけないし、最低限のスキンケアは大事。グループの一番強い子がそうと言ったらそうなんです。グループの一番強い子が、大統領なんです。


中学校に上がって、さらに難しくなった。あたしは妙に真面目で、悪いことなんかしたくなかったし、目立ったりするのは苦手。誰かの後で、誰かの次に、誰かがやったことを見て、前に進めばいいと思っていた。中1の頃は、3人組。3人は魔の数字です。2対1になるのが目に見えています。2人でいるときは、私たちの方が仲良いよね~って言い合った。三人でいる時はそんな空気は一切出さないのに。あたしは1年間その空気に馴染めなかった。


中2のときは、五人組。5人はグループになるには多すぎるし、女の子のグループで奇数はよくない。乗り物に乗る時はどうするんだ。それでも、クラスの委員長になるような優しい子や、スポーツ万能なボーイッシュな子がいたからなんとか表面的にはやり過ごせた。中2の頃くらいからあたしは少しずつ変わっていった。今までしてこなかった、女の子らしいことや、可愛いものが妙に好きになった。彼氏が出来たせいなのか、悩むことも多くなった。その前にも交際はあったものの、男女の交際らしいものは初めての経験だった。それでもまあ、キスをする程度だけれど。それでも色々、悩んだり、苦しい事が沢山あって、普通の女の子よりは少しだけ深く悩んでいたように思う。


最後の1年は4人組、それがとっても楽しくて楽しくて楽しかったの。普通の女の子として世界で生きていけたの。やっぱり女の子は二人組、4人組が上手くいくのね。でも、その時の彼氏とはうまくいかなかった。

これが、初めての自傷行為、リストカット。


高校に入って、私の自傷行為は大人しいものになった。跡は残っているものの見ようとしないと見えないくらいに。これでやっと普通の女の子になれるのかと思ったら、あたし、なれないんです。会話に入れなくて。どうしてかしら。なぜだかちっとも楽しくないの。女の子達とのおしゃべりが。それからあたしは、洋服が好きになった、化粧が好きになった。自分を綺麗に見せたいと思った。もっと、もっと、もっと可愛いもの。


女の子と話すことが難しい。どうしてかしら、女の子なのに。そう。あたしは、なれないのね。

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