第7話:狼の籠手超便利
もう一度手に付けてみて、改めて気付いた事がある。
丁度手の甲を覆ってる部分に、皮の指ぬきが付いてる。
そこに指を通してみる。
「うぉっ!」
そのまま握ると、甲の部分から爪が4本飛び出してきた。
うむ、ウル○リンみたいでカッコいいかもこれ……
でも、カチッて鳴ったってことはロックされたのかな?
どうやって解除するんだろう?
「おおっ!」
しばらく弄ってみて分かったが一度指ぬきを外してから、再度指ぬきに指を通して握ると爪が引っ込んだ。
これは便利だ。
指と爪が連動してたら、爪を弾かれたら指が反対に曲がってポッキリといっちゃうかもしれないからな。
何度か、爪を出したりしまったりしてるとお腹が空いてくる。
狼との死闘で疲れたこともあり、そろそろ潮時だ。
「死ぬか……」
誰に言うでもなくひとりごちると、取りあえず部屋の入り口と反対側にあった扉に手を掛ける。
そこから外に出ると、先ほどまでとはちょっとだけ壁の材質や色が変わった通路だった。
案の定罠探知を使うと、罠ががいくつかあったので片っ端から踏んでみる。
最初の罠は壁が迫ってきたけど、頑丈が高いお陰が潰れる事は無かった。
ただ身動き出来なくて困った。
しばらくすると壁が自動で戻っていったので、ホッとした。
これははずれと。
次の罠を踏む、壁から火が吹き付けてきた。
これも炎熱耐性のお陰で、ほぼダメージ無し。
熱さは感じないけど、寒さは感じる。
というか、暑さは感じるのかも? と思ってみたが取りあえず試す術も無いので、無視して歩き始める。
次の罠を踏む、液体をぶっかけられた。
ジューっという音と、肉が焼ける匂い。
あっ、これ溶けてるわ……冷静に爛れた手を見ながらほくそ笑み。
これは、強酸かな?
てことは、これで酸に対する耐性も付けれるわ。
現実ならありえない思考だ。
だが、今の俺にとって新たな罠はスキルゲットの道具でしかない。
完全に頭が壊れたようだ。
いやいや、ゲームだから!
現実だったら、こんな事考えないから!
ゲーム脳ここに極まれりだけど、実際はMNDが高いお陰で多分俺の脳は冷静で正常だけどな!
えっ? 精神力ってそんなもんじゃない?
昔の苦行をこなしてきたお坊さん達も、現実社会でMNDガン上げしてたのじゃなかろうか?
だって……骨が見えるくらいに溶けててもヒリヒリするなーくらいにしか思わなかったし。
あっ、視界が暗くなってきた……そろそろか……
――――――
レベル:41
名前:ヨシキ・クラタ
スキル
酸耐性レベル:1←NEW
斬撃無効レベル:4←NEW
威圧無効レベル:2←NEW
炎熱無効レベル:2←NEW
武術レベル:3←NEW
――――――
レベル上がり過ぎじゃね?
あの狼そんなに強かったのか?
というか、俺はいまどのくらい強いのだろうか……
いいかげん、スキルやレベル以外のステータスが知りたい。
攻撃力だの、防御力だの的な……
その数値的強さが、成長の実感に繋がると思うんだ?
見てる?
運営だか、道楽好きの金持ちだか知らないみなさん?
取りあえず、目が覚めた時に横にさっきのドロップした籠手が落ちていて一安心した。