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チュートリアルと思ったらチートリアルだった件  作者: へたまろ
第1章:チュートリアルダンジョン
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第6話:狼強すぎワロタ

 それからのべ15回に渡る死闘を繰り広げた時それは起こった。

 

「キャイーン!」

「おらっ、調子乗んなボケッ!」


 爪を腕で受け止めながら、ハイキックを顎に叩き込む。

 ようやくまともにダメージを入れられるようにもなってきた。

 牙を一本折ってやったし、目も潰してやった。

 口から血も出てるし、今回はいけるんじゃね?

 そう思った瞬間に、狼が大きく口を開く。


「だから、それは効かねーっつーの!」


 噛み付きが来ると思い、これで決めてやると一気に突っ込んでいく。

 そして……


「あっちー!なんだよそれっ!があああああ!くそがっ!」


 狼の口から燃え盛る炎の玉が吐かれたのだ。

 ビックリしたよ!

 この狼さん、火を吹きましたよ? 

 そりゃビックリするわ!

 ちょっと大きな犬程度に思ってた狼が、火の玉吐いてきたら驚くでしょ普通。

 流石ゲームの世界。

 とはいえ痛覚無効のお陰で、身体は動かせる。

 そのまま突っ込んでいって、炎を纏った状態でタコ殴りにする。

 そりゃ今度は向こうがビックリして、固まってたからね。

 サンドバッグ状態ですわ。

 だって、燃えながら攻撃してくるなんて思わないでしょ普通。

 10発くらい叩き込んだところで、我に返った狼に吹き飛ばされたけど。

 そこで暗転した。

 たぶん、死因は焼死だね。

 うん、やっぱり痛覚が無いってのは危険だ。

 死ぬまで、死にそうになってるのが分からないんだから。

 現実社会では、絶対に痛覚がいるってのが分かった良い機会だったわ。


――――――

「ぶっころーす!」

「グルルル!」


 そして通算31回目で、ついに目的が達成される。

 爪による斬撃を無視して突っ込んで、顎を蹴り上げる。

 それだけで牙が1本折れて飛んでいく。

 そりゃそうだろう!

 20敗目から1回負ける毎に、10回は壁を相手に特訓して吊り天井と力比べをしながら死んだからね。

 終盤は限界まで身体を苛めて、セーブポイントで回復を繰り返して、空腹が限界に達したら瞑想しながら餓死してましたから。

 いやあ、MNDがガン上がりで苦行が全然苦行じゃないから素敵だわこのゲーム。 

 ただ、現実でどれだけの時間が過ぎたかを感じると、もう戻りたくないね。

 あと、狼のお陰で単純な作業ゲーだけど楽しくなったし。

 そもそも、仕事より楽だし?

 身体能力が上がって罠を使ったパルクールごっこもかなり気持ち良かったわ。

 その成果を!今見せる!


 そのまま立ち上がった狼の腹に回し蹴りを叩き込んで吹き飛ばすと、空中で一回転してのライダーキックを思いっきり喉に突き刺す。

 

「グアアアアア!」


 かなり怒ってらっしゃる様子。

 どうぞ、掛かってらっしゃい!

 こちらを睨む付ける狼に向かって、手をクイクイっとやると案の定口から火の玉を吐いてくる。

 だが……


「それも、もう効かねーよ!」


 炎熱耐性を獲得した俺の前に、そんな火遊びじゃ火傷もしねーぞとばかりに真っ正面から突っ込んで、殴り飛ばす。

 そして、壁に叩き付けたあとフルボッコのサンドバッグ状態にする。

 殴る!殴る!殴る!殴る!殴る!


『レベルが上がりました』


 不意にそんな言葉が脳裏に聞こえてきて、目の前に目を向けると狼が完全に静止してた。

 ああ、殺したのか……

 まあ、ゲームだし。


 手には生々しい感触が残っているし動物を手で殺したけど、ゲームという免罪符のお陰でそこまでの罪悪感を覚える事は無い。

 それ以前に、MNDがかなり上がっているからね。

 DEFもヤバい事になってそうだ。

 ただ、ステータスを確認する方法が分からないんだけどね。

 それから目の前には、明らかにご褒美というかドロップというか宝箱が。

 うん、凄いな……

 唐突に現れるんだ。

 狼の死骸はそのままだけど。

 そこはゲームっぽく、光のエフェクトと共に消えとけよ!

 まあいい、取りあえず宝箱だ。


「クソッ!」


 宝箱を開けたとたんに火の玉が飛んできた。

 ドロップの宝箱の癖に罠をしかけんなし!

 取っててよかった炎熱無効。

 火の玉を無視して中身を取り上げると、いかにも狼の毛皮ですよといったモフモフの手甲が入ってた。

 うん、枕によさそう!

 でも眠くなったら、死ねる罠探して死ぬだけだから使わないけどね。

 精神やばいな。

 疲れたら死ねば良い。

 腹が減ったら死ねば良い。

 眠くなったら死ねば良い。

 究極はトイレの大きい方行きたくなったら死ねば良いだな……うん。

 

「おお、ピッタリだ……というか、ピッタリになった」


 手に入れた手甲を装備してみると、サイズが調整されて丁度いいサイズに変わった。

 手首から肘に掛けて、ベルトで止めるタイプだったけど手に付けたら勝手に巻き付いてきた。

 やべっ、外れねー!外れろ!っと思ったら自然に取れた。

 流石ゲーム。

 装備に手間はかけませんってか?

 


 

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