表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チュートリアルと思ったらチートリアルだった件  作者: へたまろ
第3章:ダンジョンリフォームと初めての突撃お宅訪問!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/137

第12話:ハックアンドスラッシュの結果

 いよいよ、準備万端。

 ここまで、大変だった。

 何度、情緒不安定で苦戦を強いられたか。

 純粋に地力を上げるために、あえてこのダンジョンを1階層から全ての敵を屠って進んだりもした。

 

 あと、ベルフェゴールを従魔にするくらボコボコにしたった。

 アスモデウスより先に従魔にしたった。

 こいつらと戦うにあたって、こいつから取れる耐性は重要だからね。 

 バシバシ撃って貰ったよ。


 とにかく感情の振れ幅が半端なかったし。


――――――

「お前さ? あんな腐れ女のどこが言いわけ?」

「お前にヘルちゃんの何が分かるんだ、この野郎! あっ、タンマ! いったん、落ち着こう」


 ヘルちゃんの悪口を言われて冷静さを失った結果、カインに簡単にアンデッドにされそうになったり。


 というか、あの手この手で、俺の精神に揺さぶりをかけてきやがった。


 綺麗どころのアンデッドを揃えられた時は、どこからかヘルちゃんがやってきて漏れなく冥界に送っていたけど。

 少しは、お世話係に残してってもええんやで?


 他には鼻が曲がるほど臭い連中を用意してみたり。

 ブラムスも嫌そうな顔してたから、すぐにどっか行ったけど。

 お前ら、何しに来た?


 そんなこんなで、失敗を繰り返してこいつらの手の内はだいぶ分かった。


 というか、簡単にいうと精神同調でブラムスに思考を揺さぶられて、カインの思考誘導でアベルに意識を集中させるという戦法だった。


 カインの影が妙に薄くて、アベルに集中した結果リデュース系の魔法をかなり受けてたらしい。


 耐性が高すぎて、その効果を殆ど感じられなかったのは憐れだったけど。

 でも、完全にレジスト出来る状態に仕上げて来たから。


 さらに言うと、黒騎士のところでもトライアルしまくって光属性も無効をレベル7まで上げたし。

 お陰でレベルも999になった。

 カンストじゃないらしいけど、1000の壁だけ高いらしい。

 なんで?


 あと、セーブストーンで戦いの様子とかセーブポイントに送られてたらしい。

 それを、ファングとヘルちゃんが見てたとか。

 俺のプライバシーが零の件。

 後で、じっくりと問い詰めてやろう。

 そろそろ罅くらい入れられると思うし。


――――――

「ここまで辿り着くとは、中々にやりおる……ゲホッゲホッ」

「ふん、くだらん演技は止めろよ! 今日は話し合いに来てやったんだ」


 もはや、この三文芝居に付き合う必要も無い訳だ。

 ここで、終わらせる気満々だからな。


「ほうっ? 良く気付いたな? 割と長い事練習してきたから、少しは自信があったんだけどな?」

「くだらん。それよりも俺と手を組まないか? ほらっ、手土産も用意してやったぞ?」


 そう言って、セーブポイント一押しのロダン作の魔王の椅子を転送させる。


「ふふっ、偉く立派な椅子だな? 俺を担ぎ上げようというのか?」

「ん?」

「俺の下に付いて、何を望む?」

「あー、勘違いしてるみたいだな?」


 少し嬉しそうに笑みをこぼすブラムスを見て、俺は頬を掻いて溜息を吐く。

 めっちゃ椅子に興味深々なのか。チラチラと見ているのが気になるが。

 そんなにこの椅子良いのか?

 まあ、良いや!


 俺はその椅子を奴が座っている場所の下まで蹴り飛ばす。

 奴が座って居るのは、階段を上がったところにある玉座だ。

 その階段の下に椅子が転がっていく。


「あっ!」

『あーー!』


 ブラムスと、セーブポイントが何やら喚いているが、知らん。


「その椅子を譲ってやるから、そこの趣味の悪い椅子を空けろって言ってんだ。小細工しかできない三下が俺を見下してんじゃねーぞ?」

「くっ……ロダン師の椅子にそんな扱いをするとは」


 はっ?

 先にそっちが来るの?

 めっちゃ、格下認定したのに怒ってる部分が良く分からないけど。

 そういうもんなのかな?

 セーブポイントもちょっと怒ってるぽいし。

 良いじゃん。

 どうせ俺使わないんだから。


「それに、生まれたての小童の分際で、俺によくも偉そうな口を利いたもんだな?」


 普通、そこに引っ掛かると思うんだけどなー。

 つっても、どうせ怒って無いのは分かってるけどね?


「アベル! カイン! お客様がお帰りだ! 地獄にな……とっとと始末しろ!」


 ブラムスが声を荒げると、魔法陣が現れて青白いイケメンが二人現れる。

 出たな、雑魚AとB!


「これはこれは、勇者様と賢者様では無いですか」

「ほう、俺達の事を知ってるのか?」

「ならば、この状況がいかに絶望的かも分かってると思うが?」


 精神同調も、思考誘導も完全にレジストしてるから、ちゃんとカインが居るのが分かる。

 あと知って貰えてて嬉しそうな二人に、ちょっと罪悪感。

 だって、ブラムスに簡単にやられたって事しか知らないし。

 すぐに、退場してもらうしね。


「ハハハ、人間の希望だった二人が、絶望を与える側に回るとか。とんだ皮肉だな? 一人じゃ何もできない雑魚の小間使いが、俺にどう絶望を与えてくれるんだ? 見せてくれないか?」

「貴様、ブラムス様を!」

「遅い!」


 アベルが斬りかかって来たのを左手で簡単に受け止める。

 前は思考誘導で掴んだと思い込まさせられていたため、指を落とされるといった失態をおかしたが今度はガッチリホールドだ!


「なっ! なんで?」

「取りあえず、お前は目障りだ!」


 そのままの状態で、右手にセーブポイント曰くロンギヌスの槍を取り寄せてカインに向かって投げる。

 セーブポイントさん、結構こじらせてるもんな。

 厨房っぽい感じに。

 イントネーションが違う?

 言い間違いじゃないよ、わざとだよ?


「ぐっ! 身体が! 浄化されていく……馬鹿な!」

「カイン!」


 黒かったローブが、白く変色していく。

 どうやら、ローブ自体にも特殊な効果があったんだろうね。

 ちなみに持ってた杖は、毎回奪ってたから結構な数ストックしてる。

 1点物のケリュイオンらしい杖が量産されてて、セーブポイントも微妙な反応だったわ。

 やり直しの、間違った使い方だと言われたけど知らない。

 そういう仕様にしたお前が悪いとしか言いようが無い。


「フフフ、ようやく解放されました……有難うございます名も知らぬ人よ。アベル……先に行って待つ」


 カインさんってば、凄い良い笑顔で召されてったけど……

 もう少し、アベルに対して名残惜しそうにしたりとか、もしくは俺を手伝ったりとかしてもええんやで? 


 最低限でも、俺の名前くらい覚えて行って欲しかった。

 まあ、こいつらからしたら初対面だし……いや俺、他所のダンマス。

 言ってみたら、国賓じゃないか?

 名前、知っとけよ!

 

「まさか、ロンギヌスだとっ!」


 あらあら、焦っちゃって。

 ブラムスのおっちゃんが椅子から立ち上がったのが分かったので、取りあえず一瞬でアベルの前に移動して右手でその頭を掴んで地面に叩きつける。


 しかし、異世界っぽいのにロンギヌスさんの槍が有名なせいで、また俺の中でゲーム説の勢いが増して来てる。


「ぐっ、上の空やつに不意を突かれるとは」


 そして、そのまま後頭部を踏み付ける。

 こないだのお返しだ。

 つっても、こいつには分からないだろうけど。

 ブラムスが来る前に、こいつも浄化しときたいし。


「くそっ、俺は勇者だぞ!」

「アンデッドに従って、アンデッドになったお前が何を言ってるんだ? お前なんか、そこらのグールやゾンビと一緒だろ?」

「ば……馬鹿にするな! 俺は特別だ! 俺は選ばれた男なんだ!」


 足の下で必死に体をばたつかせているが、その程度の力でどうこうなるような鍛え方してません。

 あと、自分で特別とか言っちゃうあたり、かなり痛い子だと思うわ。

 俺? 俺は良いの! 特別だから!


「フフフ、フハハハ! 特別? どう特別なのか教えて貰えないか? 特別な勇者ってのは、そこの雑魚ヴァンパイア如きに簡単に眷族にされて、生まれたてのダンジョンマスターに……完全な魔族ですらない俺に足蹴にされるような奴の事を言うのか?」

『今回は、悪そうなキャラですね?』


 五月蠅い。

 

『いや、悪く言ってるんじゃないですよ? ダンジョンマスターっぽくて、好きですから』


 石ころの好みとか興味ない。

 あと、やっぱりこいつ趣味が悪い。

 そして、こじらせてる。

 

「俺は、俺は人々の希望なんだ。皆の笑顔を守れるのは俺だけなんだ……」

「良い事教えてやるよ! 今の勇者は武王ローレルって奴らしいぜ?」

「はっ?」

「勇者ってのは世界に一人なんだろ?」


 俺の言葉に何か感じるものがあったのか、アベルがガタガタと震え始める。

 

「馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 俺は勇者だ! 俺は勇者だ! そんなはずは……」


 おっ、壊れた!

 まあ、今まで散々情緒不安定にさせられたんだ。

 このくらいの仕返しは良いよね?

 駄目かな?


「今の勇者はローレル……じゃあ、お前はいったい誰なんだろうな?」

「うわああああああああ!」


 発狂しちゃった。

 目が完全におかしいし、身体から色々なもんが出てる気がする。


「アベル! 下がれ! こいつは、どうやら小細工が効くような相手じゃないらしい。俺が相手する」

「もう、手遅れだってさ」


 完全に自我を失ったアベルが、自我の崩壊に伴って姿を維持できずに一気に木乃伊のようになっていく。

 完全にただのゾンビに格落ちしたわけだ。

 能力は高くても、思考がゾンビのそれじゃあ戦力にはならないよね?

 取りあえず、壁に思いっきり蹴り飛ばす。

 全身が壁にへばりついているが、再生すら覚束ないらしい。

 仮に再生したとしても、もはやゾンビ並みの動きしか出来ないだろうし。

 ああ、ちょっとすっきり。

 さてと、メインに行きますか。


「さてと、もう一回言うな? そこの椅子を自分で起こして座ったら許してやるわ。ちゃんと話をしてやろう」


うーん……主人公がこじらせてる。

でも、楽しそう。

次は明日朝6時を予定しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ