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チュートリアルと思ったらチートリアルだった件  作者: へたまろ
第2章:ダンジョンマスターと魔物と人とチーター

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閑話:モー!モー!アスモ~デウス!

閑話って良いですよね。

 わしの名はアスモデウス。

 このダンジョンの最後の砦にして、マスターを死守する使命を持った悪魔だ。

 地球赴任時代は、色欲を司る大罪の1人とされていたが、実はそこまで助兵衛では無いぞ?

 いや、ムッツリかもしれんが……

 割とシャイだったりする。

 元々チジョーン様のところで天使だったんだぞ!

 それも位は聞いて驚け、なんと第二位の智天使だぞ?

 知恵を司る天使の一角だったのに、地球に幾何学や天文学を広めたいとかっていうダンジョーン様の一声で攫われた……誰も守ってくれなかった……

 流石に、天使が神に適う訳が無い。

 

 誰や、がり勉はムッツリ! これマーフィーの法則とか言い出した奴!

 お陰で、普通にちょっとタイプの女の子に熱烈アピールしただけで、色欲扱い。

 酷い。

 まあ、女の亭主を7人殺したが再婚6回もするなら、1回くらいわしとしてくれても良かったのでは? と今でも不思議に思う。


 それにしても、ラファたんめー!

 ああ、ラファたんってのはわしの元上司な!

 あいつが、サラたんに魚の内臓を焼いたらええでーとかってアドバイスするから、寝室に近寄れなくなったではないか!

 わしが、魚の苦いとこ食われへんの知ってるのあいつくらいしかおらんからな!

 許すまじ!


 まあ良いわ。

 取りあえず地球での役目が終わったと思ったからチジョーン様のとこに返してもらえると思ったのに、今度は未開の世界でまたお仕事だ。

 ダンジョーン様は、本当に人使いが荒い。


 ここのマスターの守護悪魔筆頭に任じられたけど、わし元天使なんやけど?

 んでもって、マスターが完成する前にダンジョーン様は崩御なされるし。

 あれだな。

 ニーチェ坊が言ってた「神は死んだ」がリアルで起こった訳だ。

 まあ、あいつはプラトンのせいで人民の彼岸の世界への信仰心が薄れた事を皮肉っただけなのに、偉大な哲学の結果の1つとして、いやこれ以上は色々と問題が起こりそうだからやめとこう。

 取りあえず、神は居るぞ? と言ってやりたかったが、わしも顕現する権利を失ってたからな。

 そして、ここでリアルに「神は死んだ」状態になった訳だけど、わしはどうすれば良いんじゃ?


 そんな事を思っていたら、後ろの扉から誰かが入って来る。

 おお、フェンリルの子孫も居るのか。

 ダンジョーン様はこのダンジョンに本当に期待しておったようだ。

 ただ、一緒に居るのは人間か?

 根本は違うような、根本が人間のような。

 取りあえず、わしはこの後の隠し扉を守る守護悪魔だからな。

 仕事……いや、隠し扉から出てこなかったかこやつら?

 まあ、良い。

 今は何も考える気が起きぬ。


「グルル!」


 取りあえず、人と羊の頭は消して牛だけ残しとこう。

 この形態で十分だろう。


「ガアッ!」

「ワン!」


 手始めに牽制の火球を放ってみたが、流石フェンリル。

 わしの攻撃を子犬とはいえ、防ぐとはやるな。


「ニイッ」


 つい笑みが零れる。

 何やら人間が不遜な事を考えているようだ。

 腹立つな。


「ガアッ!」

「キター! ファング下がれ!」


 取り敢えず、火が駄目なら冷気をと思ったが何を考えているのか、人間がフェンリルを下がらせて前に立つ。

 もしかして、こやつフェンリルの従者なのか?


「やだ冷たい!……」


 やけに軽い言葉を放って、人間が凍り付く。

 あれ?

 こいつ、弱すぎじゃね?

 というか意識が……

 人間の身体が消えていく。

 どういう事?


――――――

「先手必勝!」

「ガアッ?」


 後ろの隠し扉が開いたかと思ったら、変な人間が叫びながら飛び掛かって来た。

 振り向くと、凶悪な形をした爪で突いてくる。

 なんで、後ろから?


「グッ!」

「おお! かてー!」


 取りあえず、防御すると当たり前の事を叫ぶ。

 そりゃ、こう見えても悪魔の中じゃほぼトップクラスだからのう。

 なんか、失礼な事を考えているな?

 そして重ね重ね失礼な名前を心の中で付けて無いか?

 牛男って聞こえた気がするが?


「とおっ!」

「ガッ!」


 おお、意外と身軽では無いか。

 防がれた勢いを攻撃に転じるとは。

 天晴れ!

 でも、余所見はいかんのう?


「あれっ?」


 目の前に見えた、足を掴む。


「やべっ!」


 やばかろう?

 このまま壁に叩きつけてミンチにして、喰ってやろう。

 わしは礼を持って接すれば知識を授けるが、無礼者には容赦せんからの?

 思いっきり壁に叩きつける。

 他愛もない。

 いかに鍛えて人間であろうとも、この速度で壁に叩きつけられたらシミになっておるだろう。

 見るまでも無い。


「強すぎだろ!」

「ガアッ?」


 はっ?

 声が聞こえたから振り返ったけど、無傷じゃないか?

 こやつ、本当に人間か?

 取りあえず、燃やしてしまうか。

 いかに頑丈でも、火に耐えられる人間なぞおらぬはずじゃ。


「グアアッ!」

「キタコレ!」


 ん~、なんか嫌な予感。

 嘘じゃろ?

 わしの放った火の球の中から飛び出してきおったわ!


「ギャアア!」

「オラッ!」


 くそっ、山羊の目を潰されたか。

 じゃが、まだ人の目と牛の目が残っておるからの?

 残心を忘れるとは、まだまだじゃのう。

 捕まえたっと!

 それ、この腕捻りつぶしてやろう。


「ガッ?」

「ん?」


 ありゃ?


「ガーーーーッ!」


 ありゃりゃ?

 なんて、無駄に頑丈なんじゃ!

 くそっ、こうなったら全力じゃ!

 なんとしても捻りつぶさんと、悪魔の沽券に関るわ!


 ミシミシッ……


 よしっ、いけそうじゃ。


「ガガガガ!」


 

 ミキッ……

 フフフ、焦っておるの?

 このまま利き腕を潰されたら、もはや何も出来んじゃろ?

 人間ってのは脆い生き物じゃからのう。


「ギャッ!」


 痛い!

 バキン!


「あっ!」


 くそっ、腕を捻りつぶすのに集中し過ぎて、人間は手が2本ある事をすっかり失念しておったわ。

 じゃが、捕まえた今の状態ならこいつの首を噛み切れる。

 これで、終わりじゃ!


「ガウアッ!」

「ああ、それは効かない」


 バキン!


「ゲッ!」


 なんじゃこやつ!

 普通に鎖骨かみ砕いたのに、皮膚に歯が通らぬじゃと。

 というか気持ち悪い。

 なんじゃろう……とても嫌な気分じゃ。

 噛み切ったと思ったのに、グニャッとした食感の中に異物感しかない硬い食感。

 まあ、骨なのじゃろうが……骨だけが口の中に砕けて入ってきた感覚だ。

 それでも、口に何も無いのが殊更気持ち悪い。

 オエッ!


「ガルァッ!」


 取りあえず電撃で、動きを封じて。

 なん……じゃと?

 こやつ、電撃を吸収して腕と首を修復しおった。

 化け物か!


「ガガガ……」


 こんな奴、どうやって倒せと言うのじゃ!

 クソッ!混乱に乗じて無駄にペチペチ叩きおって。

 攻撃自体は大して効かないのじゃが。


 ペチペチペチペチペチペチ!


 こやつをどうやって倒せば良いのじゃ?

 

 ペチペチペチペチペチペチ!


 火球も効かぬ。


 ペチペチペチペチペチペチ!


 電撃も効かぬ。

 

 ペチペチペチペチペチペチ!


 ぬう……困った。


 ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ!


 ええい、鬱陶しいわ!

 人が一生懸命考え事をしてるというのに、ずっとペチペチと叩いてくるから取りあえず黙らせようと冷気の塊をぶつける。

 氷漬けにしてしまえば、考える時間くらい……

 ありゃ?

 えらく良い笑顔の氷像が出来上がったけど。

 取りあえず、これで時間が……

 なんか光ってね?

 あっ、意識が……


――――――

 67回目


 背後に悪寒を感じる。

 振り返ると、1人の人間が立っている。

 こやつ、只者じゃ無い!

 でも、どこかで見た気がするんじゃよな~。


――――――

牛男:『くそ爺』と呼んでも良いくらい長生き。


スキル


火球

電撃

冷気


他にも色々……

  


今回はブクマ1000件達成の閑話です。

本当は違うキャラが主人公の予定でしたが、予約投稿の中の登場人物だったので急遽こちらにしました。

時系列無視を宣言しましたが、ネタバレを閑話でしていいものか?

閑話は本当に書きたいように書けるので、書いてて楽しいです。

これからも宜しくお願いしますm(__)m

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