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チュートリアルと思ったらチートリアルだった件  作者: へたまろ
召喚勇者編第1章:チュートリアルとか……無いですか?

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第3話:食いしん坊狼

 いま目の前には大きな狼がいる。 

 いや、ちょっと待って?

 これって本当に狼?

 私狼って見たことない。

 動物園にも居ない……いたっけ?

 覚えてない。

 そもそも、そんなに動物園に行った記憶もない。

 あの動物の匂いがどうしてもだめで。

 そんなことはどうでもいい。


 もしかしたらこの子って味方だったり……


「グルゥ!」


 近づこうとしたら威嚇された。

 というか、いつの間にか現れたこの狼が謎の浮く石を守るように立っているせいで、近付くことすらできない。

 これじゃ、破壊なんてもってのほか。

 いや、もともと破壊できるような感じでもなかったけど。

 さらにハードルが上がった……オワタ。


 そもそも、誰が私をここに連れてきたのだろうか。

 というか、この脱出ゲーム酷すぎじゃない?

 あるギミックといえば、謎解きの要素ではなく私を全力で殺しにくるような仕掛けばかりだし。

 いや死んだと思って、ベッドからやり直しだから良いんだけど。

 良くないけど。

 心が徐々にすり減ってるのを感じるし。


「怖くない、怖くないよ?」

「ガアッ!」

「きゃああああ!」


 怖い……

 心を菩薩のようにして、慈愛の精神で狼に接しようと手を出したら思いっきり咬まれそうになった。

 慌てて手を引っ込めたから大丈夫……じゃないいいいいい!

 手首から先が!

 手首から先がないいいいいいいい!


 あっ、だめだこれ……

 手首からドクドクと流れる血と、ジンジンと熱くなっていく感覚。

 そして手を食いちぎられたことに気付いたことによって、激痛が襲い掛かってきて視界が暗転した。


――――――


失血耐性を獲得しました。

貫通耐性を獲得しました。

精神力が向上しました。


レベル:1


名前:アイ・キタノ


スキル


刺突耐性レベル:2


衝撃耐性レベル:1


貫通耐性レベル:1


失血耐性レベル:1


最後にセーブした地点で復活します。


――――――

 はあ、夢か……とは言えない。

 起きると、石の前に見覚えのある狼が。

 これ、どうしろっていうんだろう?


 とりあえず餌付けとかできないかな?

 まあ、目下私が餌なんだけど。

 冷蔵庫にある食料とかで、なんかないかな。


 そう思って狼と石を迂回して台所に向かう。

 そして冷蔵庫を開ける。

 なぜか狼が凄い勢いで、こっちに近づいてきた。

 そして、私の後ろにちょこんと座る。

 なにこの子?

 可愛い……くはない。

 さっき、私の手を食いちぎった獰猛な狼だ。


 だというのに私が冷蔵庫を開けると、背後からこっそりと中をのぞいているのが分かる。

 

 ……これかな?

 牛肉のパックを手に取る、首を横に振られた。

 えっと……これ?

 鶏肉のパック……違うらしい。

 豚でもないと……

 他に肉類ってもうないし、あとは魚と……魚肉ソーセージ?

 本当にこの冷蔵庫なんでもはいってっていったー!


 思いっきり狼に吹き飛ばされた。

 壁にぶつかって、聞こえちゃいけない音が身体から聞こえた。

 ボキャとか、グゴリとか、グチャとか……

 なんか、口の中が明らかに鉄臭い液体で満たされてるし。


 チラリとどうにか狼の方を見る。

 えぇ……


 魚肉ソーセージを器用に箱から出して食べる狼が、最後に見た景色だった。


――――――


衝撃耐性が強化されました。


レベル:1


名前:アイ・キタノ


スキル


衝撃耐性レベル:3


最後にセーブした場所からやり直します

――――――


「マスター……ファングが、あの憎い女そっちのけで魚肉ソーセージにかじりついてます」

「あいつ、フェンリルの癖に魚肉ソーセージ大好きだからな。冷蔵庫に沢山送っといた」

「冷蔵庫に沢山魚肉ソーセージが入ってるのに気付いて、もはや私を守ってすらいないのですが?」

「えっ?」

「冷蔵庫の番人に成り下がってますよ?」


 クロノが大げさにため息をついているが、相変わらずファングは可愛いやつだ。 

 本能に忠実なあたりも含めて。

 

 それにしても、ダンジョンごと卵接吻人を吹き飛ばしたのはやりすぎだったか?

 あれから、全然このダンジョンに卵接吻人が入ってこなくなった。


 かといって、こんな怪しい場所で外に出るのもなぁ……

 いや、ダンジョンの外物凄く気になるけどさ。

 まずは、掃除が先か……


「いや、私のことが先でしょう!」

「といっても、まだ当分戻るつもりもないし」

「卵接吻人が来ないんだから、今がチャンスじゃないですか!」

「束の間の休息も働かせるとは、クロノ様はなかなかに酷いお方じゃ」


 カーミラ優しいな。


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