第2話:別に無理に外に出なくても
ユーザーリンク解放しました。
作者名リンクで、他作品も見られますので暇すぎて死にそうだって方はオススメです。
良作を探しておられる方は、読み終えたらブラバ推奨www
orz
結局、部屋の外に出たと思ったらまた元の部屋に居た。
なんだったんだろう。
部屋にある石に触れてみるが、出てくるメッセージは最初に見たものと一緒。
たしか、目的はこの石を壊す事だったよね?
そしたら、元の世界に戻れるのかな?
取りあえず、軽く叩いてみる。
流石石。
固い。
部屋の中を物色する。
クローゼットに剣があったので、手に取って石に斬りつける。
カーンという音がして、手が痺れた。
まあ、剣で石が壊せるわけないしね。
剣が刃こぼれしてる。
あちゃー……
この部屋の人が戻ってきたら怒られないかな?
取り敢えず台所に行ってみる。
冷蔵庫の中は……
得体のしれない肉。
見た目は豚っぽいけど。
食べても大丈夫かな?
大丈夫だよね?
他にも野菜もあるし……
調味料もある程度はある。
見たことのあるパッケージの袋に入った調味料の数々。
もしかしなくてもやっぱりここは現実で、どこかの研究施設というか実験施設?
肉を焼いて塩コショウで味付け。
野菜はドレッシングがあったので、それで良いか。
卵……
まあ、いいや。
お米は……
面倒くさい。
「ごちそうさまでした」
お腹いっぱいになったら眠くなった。
ベッドでひと眠り。
――――――
どれくらい寝たかわからないけど、頭がすっきり。
取りあえず、部屋の外に出てみる。
さっきこの床を踏んだら、部屋に戻されたんだよね?
そう思って床をツンツンしてみる。
なにもおきない。
念のために持ってきた剣で、思いっきり押してみる。
カチッという音とともに、床が大きく開く。
「ひっ!」
思わずつんのめりになって落ちそうになったので、慌ててドアノブを掴む……
空いていたドアが私の体重で、そのまま大きく開いて結局落ちた。
――――――
刺突耐性が強化されました。
レベル:1
名前:アイ・キタノ
スキル
刺突耐性レベル:2
最後にセーブした地点で復活します。
――――――
また、元の部屋のベッドで寝てた。
見た。
私は見た。
穴の底に、剣山のように剣が並んでいたのを。
それが、目の前に迫って来るのを。
私は覚えている。
咄嗟に交差した手に突き刺さる感触を。
足に、身体に……そして顔に。
ガタガタガタガタ。
ベッドに座ったまま、両肩を抱いて震える。
この部屋から出す気は無いってこと?
じゃあ、この部屋にあるものであの石を壊せと?
納得。
家探し結構。
趣味の悪い服やら、ローブやら鎧が置いてある。
鎧じゃ石は壊せない。
剣……
他に鈍器は……
工具箱があった。
なんで?
まあ良い。
トンカチを発見。
「おりゃ!」
「えいっ!」
「でやっ!」
「たあっ!」
気合を入れて、トンチンカンチン石を打ち付ける。
全然割れる気配がない。
罅どころか、破片すら飛ばない。
無理。
トンカチを後ろに放り投げて、他に使えそうなものを探す。
ザラザラした紙を発見。
貧乏DIY番組で見たことある。
紙やすりってやつだ。
木材を削る時に使う奴。
よしっ!
ジョリジョリジョリジョリジョリ……
すぐに断念。
こんなもんで削るって、何年かかるんだっていう話。
棒状の金属の似たようなのもあった。
ゴリゴリゴリゴリゴリ……
うん、手応えあり!
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ……
削れてる!
やすりが!
「ていっ!」
思いっきり、手に持ったやすりを地面に叩きつける。
むーりー。
色々とやってたら、お腹空いた。
冷蔵庫を物色。
面倒くさいので、丸台のハムを見つけて齧る。
食料があるだけありがたい。
でも、冷蔵庫が空になったら死活問題。
よしっ!
諦めた。
外に何かあるかもしれない。
慎重に入り口前の床を避けて先に進む。
うんうん、ここからは普通の床みたい。
カチッ!
ん?
「ギャーーーーーー!」
天上が降って来た。
慌てて飛び退く。
グチャッという音が聞こえてくる。
下半身から……
「うううう……」
痛くて熱くて言葉が出ない。
っていうか、下半身どうなってるの?
チラッ。
ゲッ!
そのまま、意識を失う。
――――――
衝撃耐性を獲得しました。
レベル:1
名前:アイ・キタノ
スキル
刺突耐性レベル:2
衝撃耐性レベル:1
最後にセーブした地点で復活します。
――――――
「夢か」
気が付いたらベッドに横になってた。
恐る恐る布団をめくる。
ほっ。
ちゃんと、足が付いてた。
……
あー、今日は久しぶりの休日だしゆっくりしよう。
私の部屋ってこんな男くさいインテリアだったっけ?
あんな、大きな石いつ拾って来たんだろう。
憧れのシステムキッチンのある私の城。
ここで、美味しいお菓子を作ったり、料理を研究して。
そうそう、広いリビングがあるから友達や彼氏を呼んでパーティしたり。
彼氏いないけど。
買い物に行こう。
ドアを開ける。
閉める。
現実逃避終了。
「お母さん……」
涙が溢れてくる。
帰りたい。
――――――
「マスター、凄いいきおいでゴリゴリされてます」
「なんだ? 俺の部屋に誰か来てるのか?」
卵接吻人が、迷路を迷う事なく進んでいるのを見て暇になったので、遠隔操作で天井を落としたり、壁から矢を放ったりする。
器用に体をくねらせて、全て回避される。
なかなか、難易度高いな。
気分はシャドープリズン。
罠コンボどころか、最初の罠すら当たらない。
クソゲーだ。
「こっちを見てください!」
「おいっ!」
思いっきり首を引き寄せられる。
いま、グキッていった!
俺の首がグキッて!
「鈍器で殴られたり、ジョリジョリされたりしてるんです!」
「ふーん……あっ!」
ふとモニターに目を向けると、ダンジョンに配置した魔物が落とし穴に落ちてた。
自分の手元を見る。
クロノに引っ張られた瞬間に、手が当たったらしい。
卵接吻人が穴に落ちた魔物を指さして笑っているのが分かる。
クソッ!
腹立つなー。
「時止まりのダンジョンに侵入者が居るんです!」
「もう最終階層までついたのか? やるじゃん」
取りあえず、魔物を回収しつつ再配置。
俺の部屋まで辿り着くような冒険者が居るとは。
優秀、優秀。
どうせ、クロノは壊せないだろうけど。
「よしっ、迷宮自爆ボタン! ぽちっとな!」
最終手段だ。
迷宮ごと吹き飛ばしてやろう。
ふふふ……卵接吻人め。
眼に物を見せてやる!
「マスター! まだ太郎と次郎が中に!」
「えっ?」
直後、マスタールームを揺らす程の衝撃。
そして、太郎と次郎の気配が消えたのが分かる。
なんか、ひどいっすーって聞こえた気がするけど。
まあ、良いか。
インフルから完全復活。
代償は……7連勤( ノД`)シクシク…




