第14話:悪戯っ子?いいえ、絡んでくるのが面倒くさい親戚のおっさん系です
「情けないぞ、義息子よ! その程度の、スキルも無効化出来ないとは!」
「遊んでる場合じゃないみたいだな」
ドキッ! 男だらけの泥泳大会は終了だ。
「お義父さん、こんなところまでどうしたんですか? あと、そこの神っぽい感じの偽物とはお知り合いで?」
魔法障壁を展開して、周りの土を拒絶したうえで普通に翼で地上に飛んで戻る。
チジョーンさんも乱入者の方を睨み付けていて、俺が脱出するのを見逃してた。
ていうか、チジョーンさんっていま俺と戦ってたの覚えてるよね?
もしかして、もう興味無くなった?
ちょっと寂しい。
まあ、ロリババアは範囲外だから良いけどね。
「義息子を助けに来たに決まってるじゃないか!」
嘘だな。
嘘だってバレるって分かって、言ってますって顔だし。
ここは……
「本当ですか? 義父様が助けに来てくださったからには100人力です! 私はもう限界なので、私の代わりに義父様がいつもボロカスに言われてるあそこの偽ロリババアをお願いします! 確かあんな奴、俺が本気出したら瞬殺だぜっ! とかって言ってましたよね?」
「ほう? ロキよ……お主はいつからそんなに偉くなったのじゃ?」
「ちょっ! 義息子君?」
これで、チジョーンのヘイトは全部イケメンおっさんに向かったと思う。
「そもそも北欧の神の一柱如きが、創世創神の神代たる妾に対して、頭が高く無いか? 【地上の理】!」
「それは失礼しました。流石は、地上を統べる神ですね……」
ロキが地面に落とされる。
というか、普通に降り立ったような。
でもって、チジョーンはそんなに背が高い方じゃないから、地上に降りたところで頭が高いのは変わらない。
「神に喧嘩売った割には、ふざけた奴だと思うたらぬしの息子か! たしかによう似ておるわ」
「そうでしょう? 特に目鼻立ちあたりがね? 息子のしでかしたことの責任はパパンの仕事だよね? チジョーン様もそう思うっしょ?」
「うむ、こんな男の元で育てられたら、おぬしみたいになってしまうのも致し方あるまいて」
「ちょっ! 育ててないから! そいつ娘の旦那だから!」
「えっ?」
チジョーンってチョロいよね?
ロキがめっちゃ焦って弁明してるけど、目鼻立ちとか完全に別人じゃん?
俺日本人。
あいつ、北欧人。
ロキに否定されて、チジョーンがめっちゃ驚いた顔してこっち見てる。
こっち見んな!
「まあいいや、それよりもさ……イコールさんは、元気だった?」
「あまり、驚かれないのですね?」
それよりも、問題はロキの横に居るイケメン。
ポセイドンに殺されたはずのイコールが普通に付き従う感じで、ロキと一緒に現れた事だ。
「そりゃね。あんな不自然な消え方したら、怪しむよね?」
「嘘ですね……私が生きてますよって言ったのに、全然信じて無かったくせに」
実は、クロノが教えてくれた。
実際には魂は召されたみたいだけど。
身体が回収されたことで、色々と思い当たる事があったらしい。
ユーノーが出したイコールの主に対する発言。
そして、不自然な義父さんの来訪。
その後に、イコールが死ぬ。
俺に血を浴びせて。
イコールの主はロキ。
悪戯好きだからね。
血を全部入れ替えてみたり。
あえて、元に戻さずに天国に帰ってみたり。
まあ、良い。
「厳密には死んでますよ?」
「で、フレイヤ辺りに回収させてロキのエインヘリヤルにでもなったか?」
「ええ……死なないと、なれませんからね。それと……ロキ様でしょうが!」
イコールさんが、こっちに向かって衝撃波を飛ばしてくる。
残念、魔法障壁で簡単に防げるんだよね。
「とうとう、尻尾を出したな! 実はクロノに言われてちょっとだけ疑ってたんだよね」
「とうとうっていうほど昔の話じゃないじゃないですか!」
クロノが突っ込んでくるが、いま大事なお話中だからお口にYKKしててくれるかな?
「私の血で作られた割には、魔法まで使いこなすとは優秀ですね……それも、私のお陰ですか?」
「いや、普通にダンジョンのボーナスポイントで交換した」
「そ……そうですか」
そんな、あからさまにガッカリしなくても。
「あー、イコール? 義息子君? こっちを手伝ってくれないかな?」
「はいっ!」
「無理!」
ロキが何やら喚いている。
見ると、普通にチジョーンにめっちゃ殴られたり、燃やされたりしてる。
まあ、普通に防御してるけど。
「【大地崩壊】」
「ちょっ、足元が!」
「ロキ様!」
チジョーンがスキルを発動すると同時に、ロキの地面が崩壊を始める。
その先は、真黒な空間っぽいけど。
「あんなとこに引っ張られたら、身体が弾け飛ぶから! 義息子く~ん!」
「そのまま死ね!」
イケメンおっさんの猫なで声とか鳥肌もんだわ。
「もう、ちょっと早いけど仕方が無い……イコール?」
「はいっ、彼には私の血を余すことなく託してありますから、勿論ロキ様の従神として身体が再構築されているはずです」
「だよね? 命令聞いてくれないけど……だから、使っちゃお【神託】! 俺を守れ!」
「やだ!」
「はっ?」
「えっ?」
ロキがなんかスキルを発動したっぽいけど、なんのスキルだろう。
なんの効果も現れないし、ロキとイコールが凄く驚いてた。
というか、俺が守りにいかなかったからロキの表情が若干死んでる。
というか、絶望?
でもって、オラクルってなに?
教えてエロい人!
「誰がエロい人ですか! 神託ですよ! 神の託宣で信者や従者はその命令には逆らえません」
「効かないけど?」
「神託無効を獲得してますからね」
「そうか」
クロノと小声で話す。
忘れてたけど、神託無効覚えてたわ。
「ごめん義父さん! 神託無効スキル持ってるんだ」
「なっ!」
そのまま、ロキが地面に吸い込まれていった。
厳密には真っ暗な空間にだけど。
「あやつは何をしに来たのじゃ?」
「さあ?」
チジョーンが不思議な者を見るような眼をして呟いてたけど、俺も同意。
イコールが地面に崩れてった。
崩れて再構築された地面の上に。
体を張ったコントがしたかったのだろうか……
分かりにくいから、0点だな。
取り敢えず、本日1話目です!




