第12話:姦
「なんじゃ、妾の事を知らんのか?」
「初めましてだからね」
クロノとの会話を聞かれたらしい。
ちょっと、ムッとした表情の幼女?
じゃない……
顔は割と……
体形が……
こんなやつ、見た気がする。
洋画で……
なんだっけ?
この娘、どこかが変だがキャッチフレーズのあれ。
あんな感じの、違和感を感じる美少女。
「なんじゃ、ジロジロと失礼な」
「ちょっと、あんた! ここで何したの? 地脈がグチャグチャじゃない!」
「なんで誰も教えてくれないの? あら、アフロディーテ? また、そんなことして……懲りない子ね?」
「お義母さん! 今回は違うんです! これは!」
「言い訳はもう聞き飽きた!」
「何を見ておるのじゃ! 言いたい事があるならはっきりと申せ!」
「そんな事はどうでも良いから、ここで何したか早く言いな!」
「そんな事とはなんじゃ! 妾にとっては重要な事ぞ! きゃつめが何を思うたか」
「どうせ、少女? いやでも意外と顔が……なんとなく。みたいな違和感を感じてるだけだろ? 毎度の事じゃん!」
「ガイア、お主たかだか大地を統べる神の分際で、全ての地上を統べる妾に対して失礼じゃ無いか?」
「お義母様! 聞いてください!」
「聞きたくありません! 毎回違う男を連れ込んで! そんなんだからうちのヘパちゃんが中○村 昌也状態に」
「伏字になってませんお義母様! それに一つの世界の、大して知名度も無い人間を引き合いに出されても反応に困ります」
「地上の神と大地の神って殆ど一緒だよ! 細かいことを気にする人だねあんたは! そんな事よりそこの男! ここで何をした!」
「それは聞き捨てならんのう。一度どっちが上かハッキリとさせる必要がるみたいじゃな?」
「まあ、あんたの事はどうでも良いわ」
「まっ! お義母様はいっつもそう! ヘパイトス様の事だって大して気に掛けてないくせに、私の美貌に嫉妬してここぞとばかりに、嫁いびりの道具に使って! 私の旦那をなんだと思ってるんですか!」
「売女みたいな事ばっかりしてるくせに、良い度胸ね!」
五月蠅い。
女3人寄れば、姦しいとはよくも言ったもんだ。
すでに、俺は誰に反応すれば良いか分からないんだけど?
「これ、俺もう帰って良いよね? というか、一緒に行く」
「黙れ……私も頭が痛くなってきた。いま、そんな事を言われたら、着いて行きかねん」
アテネも頭を抱えている。
このまま黙ってたら、チジョーンとガイア、ユーリーとアフロディーテで決闘が始まりそうな雰囲気だ。
「くっ、こうなったのも全部あの男のせいじゃ!」
「ふんっ! 私はここをこんな風にしたあの男が許せんな」
「そもそも、私とアレスを鎖でつないだのはあの男ですよ! お義母様!」
「どうだか……」
あれっ?
チジョーンとガイアの雲行きが。
アフロディーテとユーノーさんは、アフロディーテさんの誘導失敗みたいだけど。
「ふんっとはなんじゃ!」
「どうでも良いでしょう今は!」
「どうでも良くない!」
あらあら、またチジョーンとガイアが再燃してる。
「帰ろうか?」
「くっ……その悪魔の誘惑をやめろ!」
このままじゃ、収まりが付きそうにないか……
「キンさん」
「はいっ、ここに」
キンさんを召喚する。
なんか、完全に俺の部下っぽいけど。
「例の奴」
「はい……【千倍重力空間】!」
もはや、何の疑問も抱かずにスキルを使ってくれる。
「ぐっ!」
「なっ!」
「ぎゃっ!」
「なんじゃ?」
「また、あの男か! ただでさえ、この星に致命的なダメージが入ってるというのに、もう許さないわ!」
あらっ?
ユーノーさんと、アフロディーテとアレスは地面にめり込んで苦しそうな声をあげてるのに、チジョーンとガイアは普通だ。
というか、ヘイトがこっちに来た。
「まずは貴様から、片付けてやろう!」
「まずは? その後は?」
「決まっておろう……ガイア! お主がメインディッシュじゃ!」
「はあ? この流れでまだ私とやろうってのかい? そんなまどろっこしい事せずに「いい加減にしろや!」
「少しは、落ち着け!」
またもいがみ合うチジョーンに俺が拳を叩き込む。
そして、何故かガイアに殴りかかるアテネ。
たぶん、イライラが限界突破したんだろうね。
「不意打ちとは、案外せこいな?」
「何をするんだいアテネ! 血迷ったのかい?」
あっさりとチジョーンの作り出した土壁に受け止められた。
まあ、粉々に砕いたけど。
アテネの方が、普通に避けられたみたいだ。
「お前の相手は俺だろ!」
「お祖母様の相手は、クラタでしょう!」
ちょっ、アテネ!
まあ、間違って無いけどさ。
「そうじゃった!」
「そうだったわ! やっぱり、あんたは賢いね! うちの愚息よりよっぽどえらいわ! 可愛いし!」
そうじゃったじゃねー!
あと、こんなところでババ馬鹿発揮させてんじゃねーよ。
「お祖母様ったら。嬉しい」
アテネも喜んでんじゃねー!
そんなんだから、息子が嫉妬して奇行に走るんだよ。
もういいや。
取りあえず、これでようやく話が出来そうだ。
2話目で断念。
というか、話が進みませんでした。
明日辺りで、急展開します。
評価、感想、ブクマ頂けると嬉しいです♪




