第11話:チジョーン?
アテネが戻って来ない。
ポセイドンも。
まあ、あいつはそのまま海に引きこもって貰って、藻屑にでもなってもらえれば。
こっから、攻撃撃てないかな?
「撃てるはず無い……あっ!」
「えっ? あっ! ってことはあるの? あっ!」
俺も閃いた。
クロノに言う前に、既に手元に槍がある。
そう、お義父さんに貰ったグングニル。
これを投げれば!
「ポセイドンまで飛んでけ! グングニル―!」
取りあえず、どっちに向かって投げたら良いのか分からなかったので空に向かって投げてみた。
凄い勢いで飛んでいったかと思うと、急旋回して戻って来る。
「うおおい!」
間一髪躱す事が出来たが、そのまま槍が地面を突き進んでいく。
あっ、完全に反対だったんですね……あれっ?
「駄目ですよ?」
「でも……」
「駄目です!」
クロノが必至に止めてくる。
一瞬、地面に潜ってるグングニル掴んだら俺も地球にいけんじゃね?
と思ったのだが。
まあ良いや。
さてと、こいつらどうするかな?
「鎖が食い込んで、痛いわぁ?」
「ふーん、黙れビッチ!」
アフロディーテが身体をくねらせながら、色目を使って来るがビッチに興味はない。
というか、ヘパイトスのお古とかいらん!
「あの、俺もう帰って良いっすか?」
「はっはっは……なんでまだ居んの? とっとと帰ればいいのに」
「えっ? ひどっ!」
アポロンが帰りたそうなので、帰れといっておく。
正直目的は、ポセイドン、ユーノー、あとついでにチジョーンだからね。
他の神様はついで。
あと、出来ればアテネを連れて帰りたかったり。
「クラタ会長! 遅かったじゃないか!」
そこに、フラフラとテューポーンがおりてくる。
なんて、空気を読まない。
正直、このタイミングでお前はお呼びじゃない。
「遅かったのはお前だ! 俺は一当てして、適当に暴れて一旦帰って戻ってきたところだし」
「またまたあ」
「宮殿……壊れてたろ?」
「……マジ?」
「おっさんが、マジとか言うなキモい! あれ、キンさんがやったからな?」
「もう、黄泉のダンジョンのマスターはキンさんで良くないか?」
「最悪だ……テューポーンと同じこと思った」
「酷い!」
取りあえず、邪魔なのでテューポーンに天使の殲滅を命じる。
「はっ! 命に代えても!」
「命に代えんな! まあ、テューポーンなら良いか」
テューポーンの尻を蹴飛ばして、天使の方に吹っ飛ばす。
流石重量級。
たくさんの天使を巻き込んで、吹っ飛んでいったわ。
「えっ? あれテューポーンだったの?」
「てかテューポーンに対して、あの扱い? あいつヤバくね?」
「僕、やっぱり帰りますね」
アフロディーテとアレスがコソコソと話している横で、アポロンがそれじゃあとばかりにペガサスの引く馬車に乗り込んで行った。
「てか、テューポーンって有名人なんだな?」
「まあ、真面目にやればゼウス様より強いですから」
俺は、それがどうにも信じられないんだけどな。
あの、残念竜を見る限り。
「クラター!」
あっ、アテネが戻ってきた。
「子犬が何匹か行方不明なんだが、どうするつもりだ!」
「知るか!」
両手に子犬もどきをたくさん抱えて。
そいつらは、成犬だ。
ここでも、立派に育つ。
そんな事を思っていたら、地面が激しく揺れる。
何事?
「グングニルが、この星の中心を貫きました」
「ああ、そう……ヤバくね?」
「ええ、下手したらここが崩壊するレベルかと」
「まあ、丁度良いか。元々滅茶苦茶にするつもりだったし。いざとなったら戻れば良いし」
どうやら、グングニルさんが頑張ったようだ。
「さてと、じゃあ俺はこのあたりで」
「ちょっと待て! いま不穏な会話が聞こえたが?」
早速帰ろうと思ったら、アテネに止められる。
「ここが、崩壊するというのは本当か?」
「ああ、俺の本気だ!」
こんなことになるなら、槍を投げる前に「この星を、消す!」宣言すれば良かった。
消化したいセリフを一個、消化し損ねた。
「きさまああああ! 絶対に許さん!」
アテネが激昂して、斬りかかってきた。
この娘、意外と感情にすぐ左右されるよね?
「あっ、子犬たちをそんな乱暴に」
「えっ! あっ! ごめーーーーーん!」
俺を斬る為に放り投げてしまった子犬達に、慌てて謝罪するアテネ。
もう、怒りが収まったらしい。
子犬もどき達が、キャンキャン、ワンワン、苦情を言ってる。
なんて言ってるか分からんけど。
「まあ、それよりもやるのか? やらないのか?」
「子犬ちゃん達には悪いけど、お前だけは許さん! やるに決まってるだろう!」
どうやら、それでもやる気充分らしい。
チラチラ、子犬の方を気にしているが。
「そうか、だったら……」
「だったら?」
「両手を使わないでおいてやるよ。どうだ?」
「くそっ! 嘗めやがって!」
また激昂。
本当に、精神の振れ幅が凄いよね?
俺くらいの精神力になると、ちょっとの事じゃ動じないし、なにかあってもすぐに落ち着くんだけどね。
取りあえず、剣で斬りかかってきたので、バックステップで躱す。
それから、剣を握った手にジャブを当てて剣を弾き飛ばす。
「えっ?」
驚いてるけど気にしない。
ボディに軽く一撃。
「ぐっ! 両手を使わないんじゃ無かったのか? 騙したな! 卑怯者!」
「ふふふ……サービス期間は終わったのさ」
「何を言ってるんだ、お前は!」
分かんねーかな?
分かんねーか。
言ってみたかっただけだから。
ごめんね、騙すようなことをして。
「貴様、本気でやるつもりあるのか?」
「えっ? 無いよ?」
「はっ?」
アテネがビックリした表情をしている。
そうだな、分かりやすくいってやろう。
「争いは、同じレベルの者同士でしか発生しない」
「えっ?」
「お前じゃ、相手にならんってこと」
「クソが! 切れた! 本気で怒った!」
あっ、余計に逆上させちゃったみたいだ。
知ってた。
だって、短気だしね。
取りあえず、アテネの剣を拾って首に突きつける。
「なっ!」
「こういうことだ」
そのまま剣をクルリと回して、アテネに渡す。
「クッ……」
流石に実力差がはっきりと分かったみたいだ。
そろそろ、危なそうだから逃げないと。
「一緒に来る「何をやってるんだい!」
と思ったら、地面の揺れが収まった。
「おばあ様!」
「誰?」
「ガイア様ですよ」
アテネのおばあさんらしい。
「なんで、クラタがここにいるのぉ?」
ユーノーさんまで。
「こやつがクラタか……ダンジョーンも変な奴に入れ込んだものよのう」
誰?
「チジョーン様です」
これが?
また、短編にもってこいのネタを仕事中に……
そうじゃない、オチまでへの道筋の軌道修正のネタを……
頑張って落としますw
評価、感想、ブクマ頂けると嬉しいです♪
下にリンクを貼ったおっさんの短編も、もし暇で暇で死にそうなら、読んでやってくださいm(__)m




