第９話：テューポーン
短いです。
「そういえば、テューポーンが居たんだっけ？」
「そうですね」
ふと謁見の間の椅子が、竜の皮だったのを見て思い出した。
うん、もう手遅れかな？
「まだ間に合うと思いますよ？」
「チッ！」
クロノから、まだ間に合うという情報を得て、渋々シルバに縛られる。
まあ、むざむざ敵に美味しそうな経験値の塊を渡すのも気がひけるしな。
「行くぞ！」
「ヒヒーン！」
シルバが瞬時に最高速にまで加速して、空高く駆け上がる。
相変わらずヒュッとなったけど。
慣れない感覚だ。
――――――
「おお！ 凄いなこれ。結構、悲惨だぞ」
ヴァルハランドは、結構な状況になってた。
宮殿がボロボロに崩れてて、その前で唖然としてる神様っぽい人達。
「わ……私の部屋……」
「俺んちも……」
「はっ！ わしの世界の壺コレクションは！」
アテネや、ポセイドンの他、知らない面々が宮殿の状況を見て崩れ落ちていく。
集合住宅というか、社宅だもんね。
それも幹部専用の。
そりゃ、神様方の部屋や家は全部ボロボロだろうね。
「あいつらか！」
「あのクソ竜が！」
「テューポーンではないか！ あいつならやりかねん！」
そして、上空をテューポーンと複数のドラゴン達が飛び交って……
複数のドラゴンが飛び交って？
「いけ、お前ら！ 地上を焼き尽くせ！」
「なんで……こんな」
「おいっ！ 黙ってやれ！ ここが、踏ん張りどころだって気合入ってたから」
「あの人、気合入れると空回るから……」
案外部下からの、信用無いんだね。
最強竜と自負するくらいだから、もっと部下に尊敬されてるのかと思った。
というか、部下を召喚したのか。
経験値の塊が沢山空を飛んでる。
まあ、天使達と下級神の相手はあいつに任せようか。
こっちは、宮殿の前で座り込んでる神様達を相手にしないとね。
「うわあ、これは酷いなー」
「ですよね！ 今日どこで寝たら……って、お前はクラタ！ 死ね！」
わざとらしく大声で近付いて行ったら、アテネが潤んだ目でこっちを見て……
俺に気付いて、斬りかかってきた。
「いきなり、御挨拶だな！」
「クラタだと！ お主が、わしの壺コレクションを！」
そして、ポセイドンが三又の槍を呼びよせて、俺に投げつけてくる。
「うん、遅い」
その槍を掴んで、ポセイドンに投げ返す。
残念、槍はポセイドンに刺さらずに、その前で制止して彼の手に収まる。
流石に神具だけあって、持ち主には刺さらないか。
「久しぶりだね。 会いたかったですよ皆さん……ん？」
目の前にいるのは、ポセイドン、アテネ、知らないおっさん、イケメン、他に複数のイケメンとベッピンさんが数人。
いない。
ユーノーさんが。
「ユーノーは？」
「ユーノー様だろうが！」
イケメンがいきりたって、襲い掛かっていたのでクロノにレーヴァテインを渡して貰って、首を跳ね飛ばす。
「ペルセウス！」
ああ、あれか……ポセイドンさんの愛人さんの首を落としたのって。
ペルセウスの首が飛んでった瞬間に、ポセイドンがちょっとスッとした顔してたし。
というか、英雄……って、あんまり強く無いんだ。
「まあ、神よりは……勇者みたいなものですし」
「そっか……」
クロノが教えてくれたけど、そうだよね。
勇者と同等くらいだから、神様程ではないよね。
「他には誰が居るの？」
「アテネ、ポセイドンの他はアレス、ヘラクレイオス、アポロン、アフロディーテですね」
「少なくね？」
他にも色々と居た気がするけど。
「ゼウス様は、何かと忙しいですし。神様ってここ以外にも管理するところは多いですからね。ハデス様とペルセポネ様達冥界の神は、基本地上の出来事には無関心ですし」
「そうなんだ。ユーノーも？」
「たぶん、ゼウス様と一緒に居るかと」
大地を支えるアトラスさんは、あっちこっちでその仕事やってるみたいだし。
そういえば、アルテミスさんとかってかなりの美人さんって聞いたけど？
「基本、月の引きこもりです」
「まあ、ギリシャ神話に出てくるような神様全員相手するのって、大変そうだしね」
「それこそ、ここが第二のアルマゲドンになりそうですね」
まあ、ポセイドンだけは最優先で消滅させてやる。
キーボードが逝ってしまいました。
明日買って来ます。
勝手にウィンドウズボタンが発動。
勝手にショートカットでプログラムが起動。
が起こりまくって、特定の文字入力がほぼ出来なくなったので……
今日、キーボード買って来ますm(__)m
