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チュートリアルと思ったらチートリアルだった件  作者: へたまろ
第6章:動き出す世界

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第18話:魔人対戦女神

「ゴゴゴゴゴ!」

「自分で言ってて恥ずかしくないですか?」


 仕方が無い。

 念動力的なものも、オーラ的なものも出せない以上他に俺の凄さを伝える術が無いからな。


「な……なんて気迫だ!」


 アテネがビビッて後ずさりを始める。

 そして、俺の胸にぶつかる。

 クロノの転移で背後に移動しただけだけどね。


「ヒッ!」

「おいおい、酷いじゃ無いか。人の顔を見て悲鳴をあげるだなんて」

「来るな、化け物が!」


 振り向きざまに一閃。

 

「なっ! なんで斬れてない!」

「そんな棒切れで、人が斬れるわけないだろ?」


 少し遅れてカーンという音が、洞窟内に響き渡……らない。

 芝生を敷き詰めていたせいで、ボサッというなんとも締まらない音が。


「いつの間に!」


 まあ、ビビッてくれてるからいいけどさ。

 手刀で槍の穂先を斬っただけなんだけど。

 本当は、静かな状況でカーン! カランカラン! みたいな音が鳴ってアテネが頬にツーッと汗を垂らすような演出が良かったけど。


「完全に嘗めてますよね? 戦闘力だけなら、神の中でも上から数えても5指に入る上位神なのですが?」


 しょうがない……どう考えても俺の方が強いからね。

 っと、油断大敵。


「くっ! 放せ!」


 すぐに槍を捨てて殴りかかって来たので、手首を掴む。

 そしてグッと引き寄せる。

 うわぁ、近くで見るとめちゃくちゃ可愛い!


「【光の矢(シャイニングアロー)】」

「うーん、気持ち良いねー……その魔法も、その表情も」


 至近距離で放たれた光の矢を吸収しつつ、顎をクイっとね。


「いい加減、諦めたら?」

「……私の辞書に、諦めるという言葉は無い!」


 おおっ! 

 凄い勢いで殴られてるよ。

 痛くも痒くもないけどね。


「じゃあ、今から作れば良いじゃん?」


 そのまま手を引き上げて宙吊りにすると、壁に向かって優しく放り投げる。

 なるべく、ダメージが入らないように。


「くそっ! さっきから嘗めてるのか!」

「ああ、嘗めてるよ? だって、お話にすらならないからね」


 ハッハッハッハ!

 神の中でもかなり強いはずのアテネ相手に、この余裕。

 もしかして、俺かなり来てる?

 いけちゃう?

 神も含めて最強いけちゃう?


「そうか……これを喰らってもその余裕を保てるかな?【聖天召魔地墜ソウル・ジャッジメント】!」

「おおおおお! 魂が召され……あれ? ちょっと?」


 体から魂が抜けだしたかと思うと、天からキューピット、地面から黒いフードの骸骨が現れる。

 そして、魂がキューピットに掴まれたかと思うと地面に叩きつけられた。

 そのまま黒いフードの骸骨に掴まれて、地面に引きずり込まれる。


「ふふふ、善なるものは天に、邪なるものは地獄に魂を送りつける上位神の奥義だよ……良かったよ、お前が神じゃなく、ただの生物で」

「はいっ、ご苦労さん!」

「なっ!」


 危ない危ない。


「完全に、今のは死んでましたね」

「うん、クロノさん? 自分でも分かってるからわざわざ口にしない」


 やだよ、こいつらが入った時にセーブしたっきりだから、ここで死にたくないしね。

 クロノが一瞬で魂を回収してくれたお陰で、助かったけど。

 黒いフードの骸骨が自分の手を不思議そうに見ている。

 魂が急に消えたらそうなるか。

 そして、首を傾げてる。

 反応が割と可愛いな。


「まあ、消えとけ!」

「ガアアアアアアアァァァァァ!」

 

 頭を掴んで地面へと骸骨を押し戻す。

 それから、キューピットの方を見てニヤリと笑ってあげる。


「ヒッ」


 キューピットにも怯えられた。

 悲しい……てことで……


「空まで飛んでけ、ライダーキック!」


 キューピットを思いっきり蹴り上げると、空高くまで飛んでいってキランという光を放って消えてった。

 

「なっ! なんて蹴りだ! 星になるまで飛ばすなんて」


 んなわけないだろう!

 天井だってあるのに。

 疑似的に空を作ってるけど、精々20mくらい上は天井だからね。

 天井に空の絵を描いてるだけだから。


 だから、クロノに転移で他の階層に飛ばして貰っただけ。

 光るエフェクトも付けて。


「しかも……魂への攻撃まで対処できるとなると……もう、手が」

「諦めるか?」

「私の辞書に、諦めるという文字は」


 だあっ!

 何をこんなに意固地になってるんだ!

 もしかして、こいつ時間稼……


「ここまで、頑なに茶番に付き合いつつも引きもしないということは……時間稼ぎでしょうね」

「だろうな! おいっ!」


 いま、俺も丁度その結論に至ったところだから。

 なかなか、気が合うじゃ無いか。


「本当ですか?」

「疑うなよ!」


 本当だからね?

 別にクロノに言われたから、合わせてるだけじゃないんだからね。


「怪しい……」

「クソッ!」


 こういのは、先に言ったもん勝ちだもんな。

 よしっ、時間を戻してもらって……


「私が時間を戻しても、私の記憶は残ってるので意味はありませんよ? あと記録も」

「知ってるよ! 冗談だって」

「何をさっきから独り言を言ってるのだ?」


 一瞬固まってたアテネが再始動して、俺達のやり取りに突っ込んできた。

 厳密には、クロノの声は聞こえてないっぽいから俺の独り言か。

 

 恐怖より分かりやすく、ドン引きした表情は止めろ!

 傷付くわ!


「いや、そろそろ満足な時間は稼げたのかなと」

「なっ! なんでそれを!」


 バレバレだから!


「私に言われて気付いたくせに」

「ああああああああ!」

「急に変な叫び声をあげるな!」


 違う!

 違うから!

 俺の中の人が、うるさいだけだから!


「だが、お前が遊んでくれたお陰できっと他のお前の傘下のダンジョンは、全て制圧されているだろうな……いや、もしくはダンジョンコアすら破壊されていると思うぞ?」

「傘下? 俺に傘下なんていたっけ? ああ、ブラムスか。他は同盟相手だし、傘下とは違うかな?」

「そ……そうなのか? まあ、黄泉のダンジョンは最優先の攻略対象だし、他の同盟を結んでいるダンジョンも全てに上位神が率いた天使達が同時に攻略に入ったからな」


 そうなんだ……

 クロノさん?


「ええ、一応アテネ様達が全員入った時点で、時間は止まってますよ?」

「ナイス! じゃあ、今から転移で移動してから解除しても余裕だな」

「まあ……でも、正直ブラムスとイコール様以外のダンジョンは、簡単に攻略出来ないレベルで罠がありますからね。特に、森を主体とするリカルド様と、蟲を使って洞窟内全てに罠を張っているメガララ様のところは、空を飛ぶ天使にとってはまず攻略不可能でしょうし」


 ブラムスだけじゃなく、イコールさんのダンジョンもか……

 テューポーンのとこと、ゴアルガさんのとこは?


「テューポーン様のところは、そもそも戦力が神に匹敵する竜が居る状態で、地形効果まで優位に使ってますから力押しで問題無いかと。ゴアルガ様のところは、戦力、罠、全てにおいて対処可能なレベルです」


 用意しといて良かった、籠城準備。

 ということは、ブラムスとイコールさんを助けにいかないといけないのか。

 まあ、様子を見ながらピンチの方に駆け付けたらいいか。


「じゃあ、外の時間停止を解除できる? っと、その前にアテネと俺をマスタールームに転移させといて」

「分かりました……」

「えっ?」


 周囲の景色が一瞬で変わる。

 ソファとテーブルのある部屋に。


「転移させられた?」

「俺のダンジョンなんだから、当たり前だろ? というか、お前らどこで戦ってると思ってたんだ?」

「私は神だぞ!」


 うん、知ってる。

 知ってるけど、クロノも上位神らしいからね。

 カイロスさんが教えてくれたし。

 元同僚だよ?


「ああ、もう正直面倒くさいから良いや、クロノってこのレベルの神相手でもスキル使える?」

「ダンジョン内なら」

「じゃあ、首から下止めて」

「はいっ! 【時空の棺桶(タイム・コフィン)】」

「えっ?」


 椅子に座った状態で、顔以外動かなくなったアテネが表情を固くしてる。


「時間が止められたのか?」

「正解! ちなみに、このダンジョンに入った時点で、外の時間止めてあるからね」

「じゃあ、私の行動は?」

「無駄だったってこと」


 俺の言葉にガックリと肩を……落とせないよね?

 止まってるもんね。

 ごめんクロノ、首は止めるかどうか悩んで止めたみたいだけど、首は解除しても良いかな。

 俯けないから、微妙な表情で正面向いてていくらベッピンさんでも気持ち悪い。


「一体、お前は何者なんだ?」

「ただのしがない、ダンジョンマスターですよ……表向きはね」

「表向きは?」

「本当は、無理やり殺されて連れてこられた地球人です」

「あー、知ってる知ってる! あそこ、私達結構頑張って造ったんだよ! どこの人?」

「日本人です」

「……」


 俺が地球人という事で表情を明るくしたアテネだったが、俺が日本人って言ったら急に黙りこくった。


「どうしたの?」

「日本人ってさ……神様なめてる人多いよね?」

「そんな事無いですよ? 信じてないだけで」

「そういうところだよ! 神を前にして信じてないとか、良く言えたな!」


 アテネさんがプンプンだ。

 仕方が無い、神様なんてこっちに来るまで見たことも無かったし。


「信心深い人も多いよ?」

「でも、自由だよね?」

「宗教の自由は、日本人の当然の権利だから……嫌なら、地球に居る時にもっと頑張れば良かったんだよ!」


 俺の言葉に、アテネが俯く。

 良かったね、首が動くからちゃんとガックリ来たのが分かる。


「いや、日本の神様て個性的過ぎるし……あと、天使とか居ないけど神が800万人以上いるとか。なにやっても勝ち目ないじゃん!」

「いや、まあ無限に近いから取りあえず八百万(やおよろず)って言ってるだけで、全ての物に神が宿ってるからね?」

「そんなとこまで出張っていっても、その有象無象の神に埋もれて終わりじゃん!」

「神様を有象無象って言っちゃったよ、この人」


 まあどうでも良いや。


「取りあえず、イコールさんのとこと、ブラムスさんのとこを様子見で」

「はい! ではベルゼブブさんをお呼びしますね」

「ここに」


 すぐにベルゼブブが転移で現れる。


「他のダンジョンの様子見られる?」

「お任せを」


 各ダンジョンに派遣した蠅が情報を送ってくれているらしい。

 というか、蠅の目に移った景色をベルゼブブさんが壁に映し出してくれる。

 空中に蠅の目を作り出して、そこから壁に光が放たれる。

 

 宙に浮く複眼……気持ち悪い。

 映像よりもそっちに目が行っちゃう。

 さてと、他のメンバーのお手並み拝見といきますか。


真面目に不真面目w

第6章も終わりに近づいているような気が……

脱線しまくってますが。


感想、評価、ブクマ頂けると嬉しいです。

これからもよろしくお願いしますm(__)m

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