第14話:どうやらダンジョンの強化を頑張り過ぎたらしい
「太郎が普通にレベル1000に到達した件」
「うっかり天使を殺しちゃいましたからね」
殺す気は無かったらしい。
ちょっと脅すつもりで首に向けて放った斬撃を避けきれなかった天使が居ただけとか。
40人の天使とヘパイトスさんに向かって牽制のつもりで放った斬撃。
流石にヘパイトスさんには防がれたけど、他が酷かった。
死亡……3名。
重傷……21名。
軽傷……16名。
誰も避けられなかったらしい。
結果太郎は天使殺しを達成。
種族進化までした。
終末の子鬼。
なにそれ、カッコいい。
魔子鬼化
天使、神族特化
超速再生
魂直接攻撃
魔神剣召喚
初級時空魔法
完全状態異常【劣】
クラタ一刀流師範代
と様々なスキルを獲得してて笑えた。
初級時空魔法を普通に使えるゴブリンとか……
それに焦ったのが他のゴブリン4名。
普通にこの階層に飛んできた。
ゴブリンが5人に増えた瞬間に、天使達の表情から希望が消えた。
絶望的な表情の天使。
これまたシュールな光景。
そして、ヘパイトスさん不自由な足で慌てて逃げてった。
4人がきっちり天使達を殺す。
男性のみ。
流石、俺の部下。
分かっている。
女性陣は全員捕虜にしたとの事。
勿論、4人とも無事レベル1000越えで進化まで果たした。
みんなお揃いの 終末の子鬼だ。
いや、レッドだけは違った。
子鬼の英雄だった。
他の4名のスキルに加えて、新たなスキルを獲得していた。
同敵二敗不知
十八分後無双開始
巨大ゴーレム召喚
の3つだ。
最後の巨大ゴーレム召喚はダンジョンのスペース的に、日の目を見る事は無いだろう。
気になるのがヒーロープロミス。
これって、俺にも発動するのかな?
あ、大ボス相手には発動しない?
ラスボス級の俺には効かないと。
残念。
――――――
「なあ……」
「なんですか?」
「神の軍勢が20階層まで辿り着かなかったんだけど?」
「まあ、先兵隊みたいなものですし、神だけの軍勢ならもう少しましな成果も得られるかと」
なんだろう……
安心というか、不安というか。
いや、違うな。
不満だ。
だって、俺なんにもしてないからな?
もっとこう、自分の能力を大っぴらに。
やっぱり1階層に俺が出向いた方が良い気がする。
ちなみにこのダンジョンの罠を発動させるのもさせないのも、罠操作を持つ俺の意志一つだから最悪転移の罠で強制的に俺の前に呼び出しても良い気がする。
それから後ろを振り返って溜息を吐く。
そこに居るのは、目のやり場に困る格好の天使の別嬪さん達8名。
殺した連中はクロノに頼んで、【再起必倒】で生き返らせてもらった。
そのまま外にポイしたけど。
【事象消滅】でも良かったけど、この場合ゴブリンたちの進化まで無かったことになるらしいから、【再起必倒】の方にしといた。
1人1人に掛けて行ったから、頭の中でダフトパンクさんが熱唱してる。
いや、クロノに合わせてワァンモゥアターイムって言ってたら、勝手にメロディが付いちゃって頭の中でリフレインされまくってる。
それよりも、問題はこのままだと大罪シリーズがただ飯くらいになってしまう。
というか、もう30階層以下が必要なくなってしまう。
いっそのこと、配置転換するか?
いや、あえて敵に優位な風にすることも無いか。
ん?
逆に言えば、もう俺ダンジョンに居なくても良くね?
万が一があれば、クロノに戻してもらったら。
いや、それどころか別に寝室でゴロゴロしてても良いレベルだわ。
まあ、神が全勢力をあげてきたら流石に無理だろうけど。
……無理だよね?
なんか、不安になってくる。
「その話を聞かされて、私にどうしろと?」
「いやあ、だって退屈なんだもん」
カオルちゃんにお願いして、ミカエルを連れて来てもらってた。
「ミカエル様、助けてください!」
「いや、助けたいのはやまやまなのだが……せめて服だけでも着替えさせやってくれないか?」
俺の後ろでピッタリした服を着た天使がミカエルに助けを求めている。
粘液だから、なかなか乾かないらしい。
偉いぞスライム!
「じゃあ、俺に勝ったら新しい服もあげるし、彼女たちを解放しても良いけど?」
「本当か?」
「でも、負けたら俺の嫁ね!」
「……ちょっと考えさせてくれ」
「「「「ミカエル様!」」」」
後ろで天使達が縋るような視線を送っているが、ミカエルは一生懸命考えている。
「ちょっとクラタさん、同じ日本人として見損ないますよ!」
「旦那様のやる事でも、これは流石に」
「他の女に目を向けられるのが嫌なら、自分で勝手にすればよいでは無いか」
カオルちゃんとヘルが冷たい視線を送る横で、カーミラが勝手に天使達に毛布を掛けていく。
「天使が居た」
「ああ、ミカエル様よりも頼りになる感じ」
「もう、あの男の視線がねちっこくて本当に嫌悪してたの」
「有難うございます!」
「あったかい」
「いや、ネチャネチャした服がさらに押し付けられて若干不快なのですが」
「じゃあ、お主は要らんのだな」
最後に発言した女天使から毛布が奪われる。
よしっ! 彼女を重点的に見つめよう。
「あー、妾は天使じゃ無くて吸血鬼じゃからの?」
「私にとっては天使です!」
天使が吸血鬼を天使呼ばわりとか。
カーミラも満更な顔をするな。
喜んでるのがバレバレだから。
「ワウーン!」
粘液まみれのファングが突っ込んでくる。
私を見て! っとばかりに目の前で色々なポーズを取ってるけどただの濡れ鼠ならぬ、濡れ狼だからな?
毛皮が大幅ボリュームダウンで色々と残念なことになってるぞ?
スタイルが良いのは分かったから、さっさと洗って来い!
「クーン」
凄く悲しそうに鳴くので、仕方なしファングと一緒にお風呂に行ってファングを綺麗に洗ってきた。
「あれっ? 俺の天使達は?」
「主のでは無いうえに、ミカエルが連れて帰ったぞ?」
なんで勝手に!
誰か止めろよ!
本当にどうしてこうなったです。
もっとサクサク進むはずだったんですけどね(遠い目)
頑張ってクラタに無双させます。
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これからも宜しくお願いしますm(__)m




