異能力少女と回収屋
その日はまた雨が降っていた
そして何度も見てきた私の嫌いシーンがこれからまた始まろうとしていた
もう一言一句間違えずに言えるほど見てきたシーン
彼らはまだお互いに言葉を発せずにたっていた
私はまた公園の入口の彼らの視界には入らない場所でいつもの傘をもって見ていた
正確には彼らに隠れて公園を覗いていた。その公園の入口にある茂みに傘をもったまま体がかくれるようにしゃがんでその茂みの隙間から彼らのいるところを見ているからだ
彼ら以外にもし誰かがいて私を見たなら不審者のように見えるだろう
だがその誰かはこのシーンでは存在しないからその心配はない
今までこのシーンは彼らと私達だけなのだ
そろそろあのセリフが始まる
今度こそ変化がほしい
私は目を閉じ耳をすます
こんな雨の中では集中しなければ彼らのセリフが聞こえないからだ
「こんにちは」
雨の中にしてはよく通るすこし低い声が聞こえた
…ここのセリフはこうでは
もしかして今度こそこのシーンが変わって…!
私は今までと違うシーンの変化に少し期待をしてゆっくりと目を開くと目の前にはこのシーンでは存在しないはずの誰かがいた
目を開けると私の前には彼らではない誰かがたっていた
「こ、こんにちは」
あまりにも普通に挨拶されたので私はこのシーンの変化を理解する前に挨拶を返してしまったが、
今までこのシーンに私と彼ら以外にいたことなんて
それにこの人はいったい
私はしゃがんでかさを持っていたのでその誰かの顔を見るために急いで立ち上がろうとした
が、このいつまでも変わらなかったこのシーンの変化に動揺しすぎていたり、雨で地面が濡れていることも重なり
「うぉっ」
ベシャっ
思いっきり前に転んでしまった
それに「きゃ」とか言わずに「うぉっ」だから、我ながら女子力のない声だなとおもった
そして私は前に転んでしまったことによりその誰かの顔を見ることもかなわずしかもその初対面の誰かにしょっぱなからかっこ悪い姿を見せてしまったことを思い出す。あとで戻れるにしてもこれは恥ずかしい
しっかりするのよ、ユナ!とりあえず起き上がるわよ!(先ほどの女子力をここで補充)
ちなみにユナとは私の名前である
謎の脳内女子力に応援されながら私は少し痛む膝とおでこを気にしながら腕に力を入れ起き上がるとその誰かが手を差しのばしていた
ああ、優しい人だな
とりあえず私はその手を取りゆっくりと立ち上がった
どうやらその人は私がモノローグしている間に私の傘も持っていてくれたようだ
おかげでいまは雨に打たれていない
そして
「よかったら、これ、使ってください」
なんていって私にハンカチを貸してくれた
ナチュラルに傘を持っていてくれたり、ナチュラルに手を貸してくれ、ナチュラルにハンカチを貸してくれる。こういうのを行動がイケメンとか言うのだろうか、とイケメンとは無縁の私は思う
そして改めてその人の顔を確認するのとお礼をいうべく顔を上げるとそこにはさっき足元を見ただけではよくわからなかったがそこには黒いスーツをきてはいゆがだが年は私と同じくらいにみえる男の人がたっていた
そして雨の中でもよく通る声で思いもしなかったことを言ったのだ
「驚かせてすみませんユナ様でお間違いないですよね?私はあなたのその能力を回収するべくやってきたものです。」
私は突然のその誰かの言葉がよく理解出来なくてもう1度その人が言った言葉の中でよく理解でしなかった部分を頭の中で繰り返した
…その能力……!
それになんで私の名前
「な、なんのことですか?!私知りません!」
「いえ、ですから」
やばい、どこの誰だか知らないがまだ「能力」についてはまだバレるわけには
ハッタリか、なにかかもしれなかったが、なぜか私はそれがただのハッタリには思えなかった
ハッタリにしては彼が落ち着き過ぎているからだ
そもそもなぜバレたのだろう
あ、そんなことより
ここで誰かに会うなんて今までになくて、忘れていたが私の本来の目的の彼らのところに行かなくちゃいけなかった
早くしなくちゃ終わってしまう
とりあえずここは逃げよう
「私用事があるのでこれで失礼します!先程は手を貸してくれてありがとうございました!」
私は早口でそう言うとまだその人がなにが言おうとしているのも聞かずに傘を持ち少し痛む膝を気にしながら公園の中へかけていった
私が公園に入った時彼らはまだ先程私が確認したときと同じまま立っていた
まに、あった
この雨の中だから彼らは私には気づかないだろう、と思い私は思い切って彼らのいるところのかなり近くの木の裏で息を整えながら身を潜めた
そして彼らの方をそっと見た
雨の中なのでよくわからなかったが彼女は泣いていたのだ
するとすぐに彼女は公園から走り去ってしまったのだ
その一瞬の出来事で私はすべてを悟った
「ああ、まただ…」
私はほとんど声を出さずに口だけ動かしてそうつぶやいた
そして私はその木にもたれかかってしゃがみこんでしまった
それと同時に足音が遠ざかっていく音が聞こえた
彼が公園から立ち去っていく音だ
「今回は二ヶ月か、私結構うまくいく自信あったんだけどなー…どこで間違えたんだろ。」
今度は普通につぶやいた
もうこの公園には私しか残っていないはずだからだ
「なんか、今回はいつもと違ってこの公園に第三者もいたからなにか変わったんだと思ったんだけど、な。また二ヶ月無駄になっちゃった、」
私はもうこの状況になれすぎていて涙も出なかった
私は傘をもってにすこし力を込めた
「次こそ、うまくやるから、結月」
私はその親友の名前を呟き自分で自分でをすこし勇気づけた
そうして私はまたその「時間」に集中しようと目を閉じた
まだ、やり直せる
その時だった
雨の中さっきのよく通る声がまた聞こえた
「もう71回目ですよ?ちなみにあなたひとりではこのまま何千回繰り返そうが変えることはできませんよ。先程は突然失礼しました。私、異能力回収屋のアルストと申します。ここで一つ、提案なのですがあなたの「能力」を回収させていただく代わりにあなたの望む未来を作るお手伝いをさせていただく、というのはどうでしょう」
なんて、言ったのだ




