表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

 風呂に入り、歯磨き等も済まし、後は寝るだけとなったニタは、ククのベッドの上でごろごろしていた。

 思えば、今日はニタにとって本当にイヤな一日だった。洗濯されたは、ケーキを食べ損ねたは、本当に酷かった。

 でも、夕食は、ククのおいしいカレーだった。

 イヤな一日だったけど、イヤな中にそういうささいな幸せがあってくれれば、何も辛いことはない。

「あ、ニタ」

 風呂から上がったばかりで顔を火照らせたククが戻って来た。

「クーちゃんおかえり」

「ただいま」

「なんか今日は一緒に寝たいー…」

 ククはにっこりと微笑んで

「いいよ」

と言って、ベッドでごろごろしているニタの傍に座った。

 ニタはもそもそと這いつくばって、ククの膝に頭を乗せる。

「今日は大変な目にあったんだよ」

 ククに撫でられながらニタは甘えた声で話す。

「またアリスに洗濯されたんでしょ」

「え?何でわかるの?」

「ふふ。だって、今日のニタ、とってもふかふかなんだもん」

 ククはそう言って、ニタを抱き上げ膝の上に座らせると、後ろからぎゅっと抱きしめた。さらにそのふかふかな背中に、幸せそうに顔をうずめる。

 ニタも、ククに優しく愛撫され、気持ち良くなったのか満足気に目を細めた。

「わー、やっぱニタはクーちゃん好きだわー」

 幸せそうにぼやくニタ。

「私もニタ好きだよ」

 ニタの肉球をぷにぷにさせながら返すクク。

「…でも、クーちゃんが一番好きなのは、ハッシュでしょ?」

 小さく呟いたニタの言葉に、ククはドキッとした。

「だけど、ハッシュはフィンが好きだから…」

「ニタ、クーちゃんとずっとこーしていたいけど、クーちゃんが、ハッシュと恋人同士になったなら…、ハッシュにこの場所譲ってもいいや」

「…変な気使わないでよ…」

「いつかはそうなるでしょ?」

 ククは微かに微笑みながらニタの頭を撫でる。

「……そうなったら良いけど…、でも、ハッシュがフィンを好きなのなら、…私は…ハッシュの幸せだけを願うよ」

「………それ……誰かも…言ってた……」

「誰かって?」

 だが、ククの問い掛けの代わりに返って来たものは、安心しきった穏やかな寝息だった。

 ククはニタの寝顔を覗き込むと、ふふっとわらって自分のベッドに横たわらせた。

 そして、明かりを消すとククも一緒のベッドに入った。

「ニタ、疲れてたんだね。今日は、ゆっくりおやすみなさい」

と、ククは言って目を閉じ、ニタを抱きしめながら静かに眠りについた。


 そうして、安心のできる寝床で、ニタの一日は終わりを告げた。

 そして、また太陽の出現と同時にニタの一日は始まるだろう。

 多分明日も今日と大体同じなのかもしれない。

 おそらく洗濯はされないだろうけど、いつもの様にアルティメット達と愉快に過ごすだろう。

 変わらない一日。

 でも、幸運なことに、ニタは変化のないこの毎日が大好きだった。


 大好きな人達と一緒にいれる、この『毎日』が。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ