14話
ブラックフォードで斬りかかってきて以来、クラウドが借りてきた猫のように大人しくなってこわい。嵐の前の静けさなのだろうか?まぁ、いきなり斬りかかってこなくなってちょっと安心……なのかな?
魔物討伐の祝いに、兵士やら騎士やらに飲み誘われたが、仲間は全員断った。
「まだ、俺達にはやるべき事があるので」
そうだ。これで終わりじゃないのだ。沢山の人に感謝され、喜ばれたとしても、本当の意味ではこの世界は救われていないのだ。今日は広めの宿屋で皆で泊まって、再び明日出発する。
「……ギル?どうしたの?」
「……なんでもない」
不思議そうな顔でギルを覗き込むマリア。首を振り、少しだけ苦い表情を浮かべるギルに、マリアは不審そうな目を向ける。
「なんでもないって。顔じゃない」
「……言っても何も状況は変わらねぇよ」
「そんなの。分からない。言ってくれなきゃ……分かんない。全部黙って。貯め込む気?アル。みたいに……」
しん、と静まり返る室内。それに気まずそうに視線を窓に向けるギルが、小さく呟く。
「俺とアルの出会った街なんだ……ここは。だから、嫌でも思い出すんだ。出会った時、なんて言われたか。どんな状況でアルが何を言ったか……これで、満足か?マリア……」
苦しそうに、泣きそうな顔をしたギルが僅かに口角を上げて笑う。その返事にマリアは口を開閉していた。その言葉に返す言葉がないのだ。
「ここで俺は1度は名誉を、そして3度命を救われた」
どこか遠い目をしたギルが懐かしそうに微笑んでいる。その瞳からは透明な涙が伝っていた。
「今度は俺がアルを助ける番だ。それが、どんなモノであっても、俺は……『魔王』を、倒してみせる。それが、救いになるのなら」
「ギル……」
マリアもまた涙を流していた。
……まじ、重いです。
魔王は、グランドグランから北に面した魔の森に潜んでいる。どうやらここブラックフォードから真っ直ぐ魔の森に突っ込めば、途中でダークエルフの里という素敵スポットに行き当たるらしい。
「……そうと決まれば明日から食料を調達して出るぞ」
ギルの言葉に全員頷く。そして、全員明日の為にそれぞれの部屋に戻っていった。俺も部屋に篭り、ベッドに腰掛ける。そしてぼんやりと今日の戦闘について考えていた。壮絶な戦闘だった。魔物が叫び、切り裂かれ、破裂させられていた。
だが、それによって沢山の人の命が救われた。魔王討伐も、そういう事なのだ。沢山の命を救うために、一人を殺す。ハッキリ言ってあんまりその覚悟なんてできていない。現状だけでも結構頑張っている方だ。日本に住んでたんだぞ?
出身はイタリアだが、長い事日本に住んでいた。見た目こそ金髪碧眼だが、アニメをこよなく愛する平和主義者だ。父は日本人、母はイタリア人で、俺は母の血が色濃く出てしまっている。そういえば、この世界だと日本人特有の黒髪黒目は黒の忌み子として嫌われている。
俺が黒髪黒目だったらどうなっていたのだろう?
午前中に沢山の食材を買占め、すぐにブラックフォードを発った。全員厳しい顔つきで、馬車に腰掛けている。
ダークエルフの里の次は本格的に魔王討伐に魔の森へと向かうのだ。そりゃ緊張もする。俺はというと馬車でずっと魔術を念写する簡単なお仕事をしていた。ちょっと疲れているが、問題ない。
魔力が尽きたら魔力回復の為にまた寝るのだ。何も問題はない。ラインハルトが馬を操り、走らせる。
俺とマリアは慣れていない為に断念。むしろ俺は馬を触った事すらない。
しかし……他の勇者は色々スキルが派手なのに、俺は念写という……。俺だけ念写って地味過ぎないか?
『何を言っとる。便利ではないか。上級魔術などそう簡単に描けるものでもない故』
いや、うん。そうなんだけどね?うん、そうなんだけどね?うん、便利ですよ?でも他の勇者すっごい羨ましい訳ですよ、ええ。翼を作り出したり。馬で疾風のように駆けたり、モテモテハーレムだったり。……俺だけ念写って。なんか理不尽。レベルも底辺だったしさ。
『何を言っとる。もっとも便利なものを持っているではないか』
え、何々?
『魔眼じゃ』
あっ……うん。忘れてたー。普通に忘れてた。確かに便利だよね、うん。だからね?パッと見て分かるようなものじゃないよね、それも。いや、うん、とても便利ですけどね?
俺……今のレベルで魔王に勝てる気がしないよ……。勿論、魔王の場所に辿り着くまでに何度か戦闘をするのだろう。そこでのレベルアップに努めるしかない。不安しか感じないがやるしかないのだ。……と、そういえば魔王戦では光の守りがいるんだったか。魔王の手紙にそういう事書いてあったな。
『そうじゃのう。まだ使えんのが痛い所じゃのう』
そうなんだよなぁ……結局今でも光属性の魔法は使えないままだ。俺は上級魔術を紙に念写し、魔力を使い果たしたので、別の作業をしよう……食事の下準備でもするか。から揚げですよ。
今日ようやく食事を担当させて貰えることになった。正直ラインハルトの味付けには飽きたのだ。同じ味だからな。皆もそう感じていたのだろう。
鳥肉に下味を付けさせる。こればっかりは道具箱には入れられない。あれの中は時間が止まっているから味が染みてくれないのだ。
馬車の片隅に下準備をさせた鶏肉を置いておいて、野菜も切っておく。油などもたっぷりあるので揚げ物も簡単だ。
コンロとかもある。どういう原理か知らないが、未だに火が消えた事はない。包丁や鍋も日本とそう変わらない品質のものだったので正直驚いたモノだ。扱いやすい事この上ない。だが、この品質がこの異世界の標準装備かと思っていたがそうでもないらしい。
ブラックフォードでは高品質の道具が沢山置かれてあったが、郊外の村にはそんな便利なものはなかった。また、食材なんかも限られたものでしかなく、油も売ってないし、砂糖もなかった。見つけようと思えば確かにあるのだが、値段が他のモノよりも馬鹿みたいに高い。
庶民には全く手が届かない品物らしい。
らしい、と思うのは、自分の手元には金貨やら銀貨やらが潤沢にあるからだ。異世界の家庭の水準をリョウが教えてくれなかったら誤解したままだった。
その事を聞かされる度に「魔王ってすげぇ」って思うのだ。手元の食材や金貨、道具は全て魔王が世界を練り歩いて手に入れたものであり、魔王が道具箱を扱えるゆえに手に入った量でもあるのだ。
しみじみと魔王の偉大さを痛感していたら、馬車が不意に止まった。なんだ?と思って取りあえず鶏肉に結界を施しておく。せっかく味が染みているので台無しにしたくない。
「盗賊だ。気を引き締めろ」
ラインハルトが外から声を掛けてきて皆の顔が引き締まる。それぞれが武器を持ち直して馬車から降りて辺りを警戒する。俺も鶏肉の心配をしながら降りる。
今まで盗賊に会うことはなかった。
魔物が活性化している為か、会うのはいつも魔物ばかりだった。馬車から降りると、ガラの悪そうな輩が人の悪そうな笑いを張り付けていた。
「大人しくしていれば痛い目に合わなくて済むぜ」
「ほう?」
冷たい眼差しを湛えたラインハルトが代表格らしき人物と対峙している。代表格はニタニタと顔を笑わせていて、気分が悪くなる。
「荷物を置いていけば命までは取らねぇ」
「それは有難い……まぁ、貴様らに与える荷物などどこにもないがな」
ラインハルトの言葉に代表格は機嫌悪く顔を歪ませる。盗賊の仲間たちからも殺気が溢れ、空気がピリピリする。
「ふん。そこの女でも良いぜ?」
「死ね」
代表格がマリアに声を掛けると、すぐさまマリアが聖女らしからぬ暴言を吐き捨てた。驚いてマリアを見ると、殺気に満ちた表情で口の端を釣り上がらせて笑っていた。
非常に怖かった。慈愛に満ちた表情で回復魔法をかけていた聖女だとはとてもじゃないが思えない。まぁ、気持ちは分かるけれど、その殺気は震え上がらせるのに十分なモノだった。盗賊も同様に一瞬だけ怯んだが、すぐに持ち直した。
「ふん、威勢が良いのは今のうちだけだ。野郎共、かかれ!」
代表格の声で下っ端共が飛び掛かってきた。その様子にラインハルトは嘆息して呆れ顔だった。
「嘆かわしい……あまりにもバカバカし過ぎる」
戦闘は仲間と盗賊が行う中、ラインハルトと代表格はピリピリとした空気を纏ったまま対峙し続ける。
「……んだと?」
「この戦いも、理由も馬鹿らし過ぎる。世界の危機だというのに本当にお気楽な奴らだな」
「……言わせておけば!」
ブチリと切れた代表格はラインハルトに斬りかかる。ラインハルトはというと涼しい顔でひょいひょいとその剣を避ける。振るっても当たらない事に代表格は動揺を隠せない。
目の前の男は腰に携えた剣で応戦する所か、素手でも余裕の表情を浮かべていたからだ。むしろ、素手相手なのに代表格の方が押されていた。
斬りつけようと振り下ろした剣は、振り下ろされる途中で剣の腹を押されてバランスを崩される。その隙に蹴りを入れられて慌てて応戦する。圧倒的力量差がなければこんな芸当が務まらない事は馬鹿な代表格でも分かった。
慌てて撤退を言おうと仲間に目を向けるが、信じられない光景に目を見開いて固まった。
「なっ……」
盗賊の仲間らは全て気絶させられていた。中にはボロボロになっている仲間もいた。時間的に5分も経っていない。驚きに固まっていると、首筋にヒヤリとするものを当てられた。代表格の血の気が引いた。
「お前らも無謀な事をする。我らが世界を救う為のパーティーであるというのに」
「な……まさか!?ゆ、勇者パーティー?んな馬鹿な!!」
代表格は信じられなくて叫んだ。確かに最近薄暗い日々が続いていた。魔王の復活だと囁かれ、勇者が召喚されたのだと囁かれていた。だが、そんな事は自分の生活には全く関わりのないものだと思っていた。まさか自分達が襲い掛かった者が勇者パーティーだとは考えもしなかった。
確かに、良く見ると金髪の男が金色に光る剣を携えていた。その手には何故か肉の乗った皿が乗っていたが。
俺は感心してその光景を眺めていた。ラインハルトは強い強いと思っていたが、素手でも相当戦えるらしい。ひらりひらりと木の葉のように避けていき、剣を叩いてバランスを崩させていた。
体術の方もキレがあって美しい。くるりと舞って蹴りを入れると、青い髪もまた綺麗に舞って美しかった。その圧倒的イケメン力に世界が嫉妬するわ。ラインハルトを見ながらでも盗賊は退治する事は出来た。
簡単に気絶してくれる。流石はレベル9だな。圧倒的レベル差だ。こいつらは何故こんな危険な事をしているのだろう。こういう事するにはもうちょっとレベルを上げるべきである。
盗賊を縛り上げて、鶏肉の心配をした。うん、無事だ。この世界、流石にジップロックとかないんだよね。ラップとかも便利だよね。ああ、懐かしいなぁ。もう随分と遠い昔の話のように思える。
ガツンガツンという聖女が盗賊を殴る虚しい音を聞きながら空を見上げる。
分かった事がある。
聖女は、気絶するまで、殴るのを、やめない。
しばらく馬車を走らせていると、馬車がまた止まる。毎度毎度魔物とのエンカウントにいい加減うんざりしそうである。まぁ、盗賊というのも否めないが、殆どが魔物だ。ブラックフォードに向かおうとしている魔物と鉢合わせしているのだ。
クラウドは本当に大人しくなった。なんだろう。怖い。俺を睨む目は確かに殺意を振りまいているのに、斬りかかってこない。なにこれ怖い。
と、まぁ……そんな事を考えていたのだが、馬車の前に立っていたのは魔物ではなかった。人だ。それも、盗賊という風貌ではなく、剣士とか騎士とか言ったものだ。綺麗な青い髪と瞳のイケメンである。
あれ、なんだろう。この世界のイケメンエンカウント率が高すぎる件について。マリア、逆ハーだよ。やったね!攻略対象者がふえるよ。
「―――ろ、いさん」
ヒュ、と息を詰まらせて、絞り出すように声を発するリョウ。緊張で汗をにじませる姿は異常で、かなり危ない奴が来たと推測。
しかし、緊張するリョウとは反対に、ギルが気安く声をかけていく。
「ロイ様」
「や、久し振りですね」
爽やかに笑顔を振りまく姿は穏やかで、とても危険な男のようには見えない。
ロイ・ルゥス・コルネリウス/神薙竜輝
LV:82
27/魔法剣士/『監査人』/水
攻撃力:562
防御力:320
魔法攻撃力:540
魔法防御力:369
速さ:120
技巧:422
魔力:4256
『予言者』
つ、強ぉっ!?ラインハルトより高レベルとか。か、勝てる気がしねぇ。……っていうか、ん?ロイは分かる、ロイは……。
神薙竜輝ってなんだ。
しかも名前の隣だし、あれ、てか。速さとかの表示なんてあったっけ?うわ、なんだろ。他の人のステータスもみといた方が良いかな。
リョウ
Lv:46
17/魔法剣士/黒の忌み子/風・土/『理への反逆』:色彩変化
攻撃力:298
防御力:189
魔法攻撃力:432
魔法防御力:259
速さ:56
技巧:225
魔力:0
『自然治癒』『魔力箱』
隣の震えているリョウを見てみる。ちょっと待って、やっぱり増えてる。ロイとやらが特殊なのではなく、本当にステータスが増えている?
ちょ、待て待て。
リョウが走ってロイの所に行って、腕を引っ張って草陰にかくれる。リョウの鬼気迫る勢いに押されて、ギルはポカーンとしている。
ラインハルトはクラウド側の馬車から眉間に皺を寄せている。
……何がなんだか。
というか、エイリスさん。ステータスの表示が増えたよ。
『ほう、どのようにじゃ』
速さと、技巧の2つです。
『ふむ、もしや能力が解放されたのかもしれんのう。光魔法も使えるかもしれん。どれ、やってみろ』
やってみろって、具体的にどないしはるんですかっ。
『……ふむ、皆自然とやっていたものじゃからのう……説明のしようもないのう』
詠唱とかないんだ……光れ!とかって言ったら光ぎゃああああああああっ。
「目が、目がぁあああああっ!」
リアルに目が瞑れそうになって目を抑えてのたうち回る。光れと考えたら「カッ!」と目の前で強い光が放たれたのだ。自分に攻撃したら、効果は抜群だった。いや、攻撃するつもりはなかったんだけどね。
皆俺の光を見ていなかったのか、慌てた様子の声が聞こえてくる。
「なんだ?今の光源は」
「光ったの、分かった。けど、どこから?」
ラインハルトとマリアの声が頭上で聞こえる。直接は見ていないが、光ったのは分かったらしい。あれだけ強く光ったんだ、そりゃ気付くか。
「大きい声でどうしたんですか、ってギル、勇者様!?どうしたんですか!?」
「敵襲か……?いや、そんな気配はなかったですけどね」
リョウの慌てたような声と、聞いた事のないイケメンボイス。艶のある大人の色気が溢れる良い声だ。これは先程のロイという男のモノだろう。
どうやら、ギルも巻き込まれたようだ。南無。
「お騒がせしました」
正座してかしこまる。目つぶしされた目を回復して貰ったが、未だにズキズキする。目の奥の方がジクジク痛む感じだ。今までの回復では、こんな事なかったんだけど……。やっぱり光属性攻撃はなんか違ったりするんだろうか。
でも、ようやく使えるようになったな。というか、いつ使えるようになったんだろう。ステータスもあまり見なくなっていたからなぁ。
……恐らく、ブラックフォードの時、かな?あまり成長している感じはないが、どういう判定で使えるようになったのだろう。
少なくとも慌ててステータス見た時は変わりがなかった。だから……その後?何かやったっけ……?確かに少し意気込んだけど……。
まぁ、使えるようになったのだから良しとしよう。
「そうですか、ですが使えるようになって良かったです」
そう言って、リョウは微笑む。
「そんな事情があったんですね……」
事情を聞いたロイが頷く。
「所で、この人は?」
「ああ、申し遅れました。俺はロイ、ロイ・ルゥス・コルネリウス。『監査人』ロイと呼ばれているが……ええと、勇者には分からないですか?」
うん、分かりません。別にいいさ。もうこれ以上のイケメンはいらんよ。
『監査人』ロイというのは、様々な街に赴き、不正を叩き出す冒険者。不正をしている者は彼が近づくと怯える程だ。慌てて不正を隠したりするが、ロイの前では無意味なんだという。まるで隠している場所を知っているかのような動きで不正を暴く。
うーん。聞いた感じ良い人っぽい?なんでリョウはあんなに緊張していたんだろう。
そうだ、ロイって人も名前の横にまた名前があるんだよな。チラッとイケメンを見る。見れば見る程端正な顔の作りをしている。だが、そこはかとなく苦労しているような雰囲気を漂わせている。……好感度、アップ。
……いやいや。
視線を下に落とすと、腰に見覚えのある武器を携えていた。
「日本刀、だと……!?」
鞘に収まっているその姿はまさに日本刀。……いや、違うかもしれんけど……でもこの形は絶対そうだろ。
俺の言葉を聞いて、目を丸めたロイは……苦笑した。
「良くご存じですね」
そう言って、刀を抜いて刀身をすらりと見せてくれる。綺麗に鍛え上げられたその刀身に惚れ惚れする。今までの武器に、刀はなかった。疑問にすら思っていなかったが、まさか存在したとは。
刀を鞘に収め、俺とロイの間を遮るように刀を置く。そして、ロイもまた俺と同じように正座をした。
「改めまして、俺は神薙竜輝。転生者です。宜しくお願いします」
サッと綺麗な礼をされて、俺も慌てて頭を下げる。
「あ、ど、どうも……柊です」
「柊?随分と日本らしい苗字ですね?」
パッと顔を上げて突っ込まれた。いやぁ、うん。俺も思ってたよ。この容姿に似合わないってな。
……幼馴染は、そんな事言ったりしなかったけど。
「勇者は……確か召喚のはずですよね?転生者でもないんですよね?」
「すみませんね。これが素の名前なんですよっ」
ちょっとむくれて返事をすると、神薙さんは困ったように笑った。
「いや、すみません。少し驚いただけです。気分を悪くさせたなら謝ります。……すみません」
「あ……いえいえ」
再度頭を下げられたので、慌てて顔を上げさせる。俺の名前を聞いたら、普通に違和感感じるだろうし、良いですよ。それに、悪い人ではなさそうだし……。
「あの、前に言っていた転生者って彼の事ですか?」
「……そう、ですね」
リョウは、チラッとロイに視線を向けた後……しっかりと肯定した。なるほど、これが会いたかった転生者か……すげぇな。転生知識活かして世直しの旅か……恰好良いな。そこに痺れる憧れる。
「さぁ、いくぞ。里までもうすぐだ」
ラインハルトの声で皆が腰をあげる。馬車に乗り込んで、景色を眺める。
そこで、ちょっとだけ「ん?」と思った。
『あなたは転生者でしょう?せっかくの二度目の人生なのに……何故?……』
このセリフを言う為には、少なくとも2人の転生者が必要になる。リョウは違うっぽいし……片方は神薙さん。じゃあ、もう片方は?
……まぁ、多分知らない人なんだろう。俺は僅かに芽生えたその疑問を消し去り、景色へと視線を戻した。
柊鏡夜
LV:33→36
16/勇者/火・水・風・土・光
攻撃力:267→299
防御力:202→232
魔法攻撃力:299→324
魔法防御力:132→148
速さ:56←new!
技巧:92←new!
魔力:1376→1509
『救世主』『神々の祝福』
道具箱使用可能。(遠隔攻撃使用可能)
念写スキル使用可能。
回復魔法使用不可。
光属性の攻撃魔法が使えるように……なった、だと?やったね!←new!
*ただしダメージを食らう。




