10話
「そういえば、なんの用事があるんですか?」
俺は前で馬車の手綱を握っているリョウに話しかける。というか、この旅の間はリョウとしか殆ど会話してない。ラインハルトは寡黙だし、マリアも喋るのが得意でなさそうだし。ギルも機嫌が悪そうだし……レイはなんだか喋りやすそうだけど、クラウドの見張りやってるから近づけない。
リョウはチラリとこちらに顔を向けてから「そうですねぇ……」と呟く。
「ラインハルトの故郷に行くそうですよ」
「故郷……」
ラインハルトの故郷ってダークエルフの里か何かかな?何それ夢が広がリング。
胸がドキワクするのを止められない。今すぐラインハルトからその話を聞き出したいところだが、現在はクラウド側の馬車を操っているので聞き出せない。すげぇ聞きたいんだが。
しかしそこで首を傾げる。
「ん?なんで故郷に行く必要があるんだ?」
「ええ、詳しい事は聞いてませんが、どうしても必要な事なのだとか」
「へぇ」
そりゃますます気になるな。
そんな会話をしている内に、魔物とエンカウントする。
「行きましょう」
「おう」
俺も旅の最中に結構剣を扱うのも手馴れて来たもんだ。まぁリョウは後衛のままだが、接近戦に持ち込まれても平気になったと笑顔で言っていた。まぁ前から強かったけどね。
休憩時にラインハルトに聞いてみる。
「ラインハルトさんの故郷ってどんなところなんですか?」
「ああ……聞いたのか」
ラインハルトは、飲んでいたコーヒーカップを下に置いて俺に向き直る。
ギルとマリア、リョウもラインハルトが口を開くのを待っている。あれ?お仲間さんそんな興味深そうに見てますけど、知らないんですかね。
まぁ、ラインハルトはペラペラ喋るタイプじゃないので知らない事もあるかもしれない。
「あそこは閉鎖的な里だ」
「やはりですか」
「やはり……?勇者の所がどういう認識なのかは知らないが、友好的な所もあれば、攻撃的な所もある。それは里ごとに違う」
「ほう」
そうなのか。エルフとかって閉鎖的なもんだと思ってたけど違うのか。結構種類あるみたいだな。ダークエルフも普通に共存しているのか。なるほど、俺の異世界知識とは少しだけ違うって訳だ。
「そんなに興味深そうに見られても大した話は出来ないが?」
「いえいえ、十分ですともっ」
俺の反応を見て、面白そうに唇を歪ませるラインハルト。こんな愉快そうなラインハルトの顔は見た事ないかも。召喚されてからずっと険しい顔してたから、もっと厳しい人なのかと思ってたけど……意外と優しい人なのかもしれない。そういや、なんだかんだで何度も助けてくれたしな。
「そうだな、何から話せば良いのか……」
ツ、と視線を俺から外して遠くを見ている。どこか、辛そうだった。
この物憂げな表情だけで写真集が出ると思う。絶対売れるよ、確実だ。若い子から熟年の主婦まで買って行くよ。
「俺はあの里では異端だった」
「異端?」
聞き返すと、コクリと頷いた。
「正確にはエルフとして……違うな、人としても異端なのだ」
苦い物を噛み潰したような顔で吐き捨てる。
「俺は、生まれ落ちたその瞬間から、剣をその身に宿していた」
「何それカッコいい」
咄嗟に言葉が出てしまった。俺のセリフにラインハルトがきょとんとした後……声を立てて笑った。しばらく笑いが収まらなかったようで、ラインハルトが復活するのを待つしかない。爆笑ラインハルト。すごくレアなんじゃないだろうか。
ギル、マリア、リョウもラインハルトの様子に目を丸めている。
『ふむ……炎剣か』
知っているのか、エイリス。なんか前にも炎剣知ってる風に言ってたよね。
『呼び捨てか?まぁいい……恐らく今から里に行くのもその件じゃろう』
ラインハルト・ルクセン・ルード
Lv:79
125/剣士/炎剣/土
攻撃力:567
防御力:490
魔法攻撃力:23
魔法防御力:560
魔力:120
『剣と共に』
ほほう。剣を身に宿して生まれた……あ、『剣と共に』ってそういう事なのか?恐らく名前の通りに、その剣は燃えていたんだろう。
「くく、そう思って貰えると少しは気も晴れるものだな」
喉の奥で低く笑うラインハルトさんマジイケメン。笑いが収まったみたいだ。
「……そうか、そのような考えもあるんだな。ありがとう」
「ああ……いえ……」
お礼を言われて、少し気恥ずかしくなって俯く。なんだろう、なんか俺の反応乙女みたいじゃないか。やめてくれ、なんでこんなにイケメンなんだ。
「話を戻すが、その剣を持つ事はその村では禁止された。不気味だと言われてな」
不気味……あ、そうか。生まれた瞬間から剣を持っていたら、普通は怖いな。特に彼を生んだ女性は怖かっただろう。というかそもそも、どうやって生んだんだろうな。人体の神秘っていうか、本当に訳が分からないよ。母親は無事なのかな……?
「物心ついた時には普通の子供として育っていたよ。今思えば、かなり良い環境だったな。だが、何故か俺にはそれが苦痛で仕方がなかった」
マリアとリョウが近づいて話を聞いている。ラインハルトはその様子に少しだけ苦笑を浮かべる。
「子供だったからかもしれないが、何故か俺には何かが足りないと確信していた。まるでもう一人の自分が存在していると言われているようだった。俺は村長に詰め寄ったよ。返せ、とね」
隣のマリアがゴクリと生唾を飲む。
「村長のあの時の恐怖に染まった顔は今でも忘れられない。何故ならあの時の俺が知るはずもないのだ。剣と共に生まれた事など、あの時同席していた乳母と、村長と、両親しか。なのに俺は返せ返せと喚いた」
……なにその怖い話。え、ホラーだったっけ?これ?知るはずのない剣を、無意識に返せと訴える子供……うん、ホラーだ。
「村長は頑なに俺の要求を拒んだ。だが、俺は最終的に自分で探し出した。村の中でも、立ち入りが禁止されているという洞窟に、それはあった。丁度、勇者の剣のように地面に突き立てられていたな。一目見て分かった。これが俺の探し求めていたものだと。
俺はその剣を引き抜いた。違和感は消えて、剣からは青い焔が立ち上った」
青い……焔……だと!?かっこいい。
「それを見た村長に隔離されたよ。青い焔など、不気味過ぎるだろう?」
「えっ?」
思わず声が漏れてしまった。不気味?……かな?カッコいいとか思ってしまう自分が異端なのか?マリアとリョウも声を上げた俺を不思議そうに見つめている。
「……何故、え?なんだ?」
「……や、うん……普通にカッコいいなぁって思って」
「くっ!」
ラインハルトがまた吹き出した。そして腹を抱えて苦しそうに笑いを堪えている。また可笑しな事を言ったらしい。
「く……くくく。……リョウ?青い焔はどうだ?正直に答えて見ろ」
「えっと、その……不気味です……よね?」
リョウはマリアに同意を求めると、マリアも頷いた。お、おう……やっぱ俺が可笑しいのか?でも青やらピンクの髪をしているこの人たちの方がよっぽど奇異に見えるんだけど。
「勇者の世界は俺達とはまるで価値観が違うようだな」
「う~ん……でもやっぱり青い焔ってカッコいいよ?普通より高温だし」
「……ん?それも、勇者の世界の理論なのか?」
「えっと……赤い火より、青い火の方が高温なんだよ。だから、焔の強さで言ったらそっちの方が強いんだよね。まぁ、こっちの世界がどういう理屈で青くなるかなんて知らないけど」
俺が言い切ると、驚いたように皆が見つめてくる。……やめて、見ないで。恥ずかしい。
「くく……そうか。青い焔は強い、か。なかなか面白い理論だな」
優しい笑みで俺を見つめてくるラインハルト。うん、見ないで。
「だがまぁ、普通はそんな反応なんて見せない。青い焔に、俺ですら恐怖を覚えたよ。その剣を持てば、力が漲る事は分かっている。子供ながらに大の大人と渡り合えるだけの力も手に入る。だからこそ俺はその剣から逃げ出した。
……そして今、魔王の討伐にはその剣の強さが必要だと考えている。だから、俺は今からその剣を取りに行っているのだ」
成程、だからラインハルトの故郷に行かなきゃならないのか。炎剣なのに、炎とか全然ないな~とか思ってたらそういう事だったのか。
どうやら炎剣というのはその剣でしか炎が出ないみたいだな。
「それ絶対正解です」
俺は力強く頷く。
「……まぁ、あの剣は強いからな」
「それだけじゃなくて、むしろそれがラインハルトさんにとって普通なんだと思ますよ」
「……どういうことだ」
顔を顰めて俺を見つめるイケメン。
「聖女が魔物を浄化出来る事は普通です。そして、魔王が闇属性を扱う事も普通。勇者が『伝説の剣』を扱うのが当たり前のように。ラインハルトさんにはその剣を持って扱うことが普通なんですよ」
俺の言葉に、目を丸め、少し考えるような仕草をして、……そしてラインハルトは笑った。どこか晴れやかに。
「勇者、ありがとう」
その優しげな瞳にドキッと心臓が跳ねる。
……うん。俺ってそっちの気……ない、ヨネ?
うん、ごめんエイリスさん。不快にさせてごめんなさい。っていうかこの人イケメンすぎるんだよ。
そもそも、幼馴染がイケメン過ぎるからこういう思考をするようになったんだよな。文武両道、気性は穏やか、曲がった事はしない、悪い事しても反省すればすぐに許す。誰よりも他人を気に掛ける……。でも、彼女が誰よりも美しい事を、俺だけは知っていた。他の人は彼女を「イケメン」だ「恰好良い」だ。などと言っていたが、俺は知っている。彼女はどんなものよりも綺麗に輝いていた。
俺は大切なモノを守れない。
『ヒイラギ』
はっと顔を上げると、皆立ち上がって出立の準備をしていた。
俺は額に手を当てて溜息を吐いた。だめだ、こんなネガキャンやってちゃ。守れるものも守れない。まずは戦いに慣れないと、どうしようもない。
魔王の強さははかりしれない。聞いた限りだと、とんでもなく強い。まぁ、書かれていた能力見ても強い事は分かるけど。
俺は、この世界を守れるだろうか。
闇墜ちした良い人を、殺せるのだろうか。
まだ、先は分からない。が、やらなくちゃいけない。だから、頑張ろう。
西に向かう途中、トリエステという街に立ち寄る事になった。ここは『食の街』とも称されており、食べ物が沢山売っているらしいのだ。トリエステに足を踏み入れると、甘い香りが鼻をくすぐる。
トリエステはサトウキビが盛んで、お菓子の類が沢山出回っているのだそう。異世界で砂糖とか甘いものは高級品っていうのはテンプレであるけれど、普通にあるものだな。
他にも、大きな湖があるので、淡水魚が有名らしい。やっぱ水のある所は栄えるのかね。
異世界らしく、獣人やエルフ、あとは……あれはドワーフかな?色んな人種がいるな。普通の人の数が断然多いけど、こういうの見てると「異世界だなぁ」としみじみ思うな。髪の色が鮮やかで目に優しくないしな。日本で黒に慣れ親しんだ俺にとっては少々厳しいモノがあるね。
そんでもって、今は食材の買い足し中なのだが……目立つ事目立つ事。すらりと背の高い色気をふんだんに振りまいているダークエルフ。少し疲れた表情がなんとも言えないギル。爽やかな微笑を湛えるリョウ。3人共違っているけれど、それぞれがハッとするくらい美形なのだ。イケメンの中でも上位のイケメンだ。
女の人が騒ぐ騒ぐ。黄色い悲鳴が耳に心地よいね。まるで自分に向けられているみたいで気分が良いよ。マリアは不快そうに眉を寄せてるけど。
ちなみにクラウドとレイは留守番。いつ斬りかかって来るか分からないからな。要注意人物だ。あれが仲間だなんて俺はまだ信じられない。
「これと、これだな」
「ええ、もう少し多くてもいいですね。いくらあっても腐りませんし」
ラインハルトとリョウが魚屋で選んでいる。おっちゃんの目が虚ろになって頬が赤くなっている。おっちゃんの妻っぽいおばちゃんは、鼻血が出ている。大丈夫ですか。
でも、男でも呆けてしまうくらいか。なるほど、じゃあ俺も正常だったって事だ。良かった。大切なモノを教えてくれて有難う、おっちゃん。ただ、おっちゃんの大切な何かはきっと失っていると思うけどな。
大量の魚を、道具箱に入れる。本当に長旅に便利だよね、これ。
ポイポイと魚を道具箱に入れている最中、騒がしい外野がさらに騒がしくなった。投げ入れる手は止めずにチラッと騒がしい方を見る。
そこに、赤い髪の少女が息を切らしてそこに立っていた。服と髪が若干乱れている。他の女性ファンを押しのけて前まで来たらしい。なんという根性。
その少女とバッチリ目が合う。
「あんたが勇者!?」
「へっ」
ずんずんと真っ直ぐにこちらに向かってくる。その勢いに押されて後ずさる。少女が俺の目の前に来る前に、リョウとマリアが立ち塞がった。
「な、なによっ……」
「ミノリさん。どうか御下がりください」
「近寄らせない」
リョウとマリアが俺を守るように立って赤い髪の少女を睨む。その鋭い視線にミノリという少女はたじろいている。
あれ、知り合いなのかな。
ミノリ・レインウエア
LV:32
12/町娘/守護者/火
攻撃力:158
防御力:389
魔法攻撃力:69
魔法防御力:320
魔力:159
『隠密』
防御力高っか!しかもスキル持ちだ。『隠密』って……忍者か何かなのか?あっれ?町娘さん俺よりレベル高くね?それは絶対可笑しい。
「はっ!?なんであんたたち私の名前知ってんのっ?」
あれ?知り合いかと思ったのにそうでもない?でもじゃあなんでリョウはミノリを知っているんだ?
不思議に思ってリョウの顔を見ると、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。マリアに至っては明らかに敵意を向けている。
「なんだ?どういう事だ」
ラインハルトがリョウに話しかける。
リョウはチラリと視線をラインハルトに向けて、再びミノリを警戒する。
「例の……アルが殺したとされる父親の子供ですよ」
「……なるほどな」
状況を理解したようで、ラインハルトとギルが頷く。そして2人もミノリを警戒する事にしたようだ。敵意を向けてくる相手が増えた事に、ミノリはたじろいでいる。
「ミノリ……!急にいなくならないでよっ!」
茶色の髪の美少女がパタパタとこちらに走り寄ってくる。その傍に極悪面のスキンヘッドがいる。なんだろう、護衛なのかな。完全に犯罪者にしか見えないけど。
近づいてきた美少女が人混みで怪我しないよう配慮してんので、多分知り合いだと思うが……。美女と野獣ってやつだな。うん。
「あれ?貴方たちは……確か、アルくんのお友達の」
「……覚えておいででしたか。なら話は早いです。この子を連れ帰って下さい」
リョウが眉間に皺を寄せつつ、返答する。こんな顔は見た事なかったので、ちょっと困惑してしまう。
てか、状況があんまり分からないのだが。
言われた美少女もコテンと小首を傾げてハテナマークを浮かべている。おお!これこれ!これだよ!これが真の萌えだよ!やった!可愛い子に会えた!嬉しいな!
でもケモ耳ついてるリョウの方が点数高いだなんて口が裂けても言えない。
「うん?そりゃ勿論連れ帰るけど……」
「帰んないっ」
「え?」
ミノリの叫びに美少女が目を丸める。思いもよらない返答だったみたいだ。
「魔王を討伐するんでしょ!?私も連れてってよ!」
「うええええっ!?」
ミノリの発言に誰もがぎょっとするが、声をあげて驚いたのは美少女だけだ。オロオロしてミノリの肩を揺する。
「な、なんでっ!?」
「私はその為に生きて来たのよっ!お姉ちゃんが止めても無駄だからねっ」
「ま、待ってよ!どういうことなのっ!?」
狼狽える美少女……お姉ちゃんって事は姉妹か。全然似てないな。性格も全然にてなさそうだ。腹違いとかのパターンあるかもな。
リョウは2人の会話を聞いて深く溜息を吐く。眉間に皺を指で揉んで、鋭い声で言い放つ。
「お断りします」
「ええっ!なんでっ!?」
驚くミノリ。反対に美少女の方はホッとしている。
「なんでもも何もないでしょう。貴方を連れて行く理由がありません。それに命を落とす危険があるんですよ」
「死ぬのなんて覚悟の上に決まっているじゃない!理由は捨て駒でも盾でもなんでもいいわよっ!とにかく連れてって!」
「捨て駒」、少女の口からそんな単語が出てきて慄く。まだ小さいのに、死ぬ覚悟も出来ているって相当凄い事だと思う。やっぱり異世界ってのはどこも厳しいのかね。
「どうしてそこまで……」
「魔王が私の敵だからに決まっているじゃない!あいつは言ったのよ、自分は魔王だって!私の父を殺したのに、平然と笑っているのよっ!そして今、世界を壊そうと企んでいる魔王を打ち滅ぼす!それが私の使命よっ!!」
全て言い切って、ぜぇぜぇと息を荒げる。息継ぎなしで言い切ったな。
あれ?魔王さん……良い人って設定じゃなかったっけ?なんだろ、人違いなのかな。
不安になんてリョウを見ると、疲れた様に首を振る。
「……知って、いたんですね」
小さく零れた声。ミノリの言葉を聞いた他のメンバーはより警戒を強める。
あれ、人違いじゃない?否定しないんだ?なんでだろ、手紙を読んだだけじゃ人を殺す様な人には思えなかったけどなぁ。
『良い人間でも、人くらい殺すじゃろう』
キャー!エイリスさん超怖い。
『実際、戦地から赴いた勇者もおる。何人も人を殺しておったよ。やむを得ない事情と言うのはどこでもあるじゃろう』
……あ、なるほどね。別に殺したからって犯罪者になる訳でもないのか。戦争とか、その代表格とも言えるな。だが、大義名分があるからといって、人殺しは人殺しだろう。その罪を負えない人は、戦後に自殺したりする人もいたらしいし。
異世界って犯罪蔓延ってるイメージだし、そういうのあるかもね。でもこれだけ恨まれるって相当だよ?なんか魔王さんのイメージと合わない。
「なら、もっとお断りしないといけませんね」
「なっ、なんでよっ!?」
はぁ、と溜息をつくリョウ。噛みつくミノリ。
「……魔王様を、憎悪にまみれた人間に殺させはしない」
「……っ!?」
まるで海の底の暗闇から出ているようなラインハルトの言葉に、俺まで縮み上がる。忌々しげにミノリを睨みつけているのが、本当に怖い。つり目なのが際立つね。
ミノリは完全に涙目だ。女の子いじめるのアカンよ。
でも女の子を危険な旅に同行させるのもなぁ。
「あんたたちの許可なんて、いらないっ。か、勝手について行ってやるんだから」
涙が零れ落ちそうになるのをグッと堪えて睨み返す。おお、この子……強いな。俺だったらあんな風に返せない。
「……勝手にしろ」
ミノリから視線を外し、冷たく言い放つラインハルト。
「行きましょう。もうこの街に用事はありません」
リョウの言葉に皆頷いて、馬車へと戻る。
黙々とついてくるミノリの気配を感じながら。
柊鏡夜
LV:23→25
16/勇者/火・水・風・土・光
攻撃力:189→194
防御力:150→158
魔法攻撃力:196→208
魔法防御力:105→108
魔力:790→822
『救世主』『神々の祝福』
道具箱使用可能。(遠隔攻撃使用可能)
念写スキル使用可能。
光属性の攻撃魔法不可。
回復魔法使用不可。