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私から見える世界
「あの人赤いよ!あの人は赤くない。あの人はずーと赤いよ!」
私はいつもそうだった。
「ミズキ、やめなさい!!」
母もいつもそうだった。
私が物心ついた時から、私から見えるこの世界は他の人とは全く違ったものだった。
「赤い、、、、、あそこも赤い、、、いっぱい赤い。」
ある日家のリビングの窓から見える大通りの向こう側の住宅街が真っ赤に染まっていた。
子どもの戯言など大人は無関心だ。
次の日リビングの窓から見た景色が昨日とは一変し、消防車や救急車パトカーで火の海となった住宅街を取り囲んでいた。
「何であんなことに、、、。」
「放火だったそうよ。」
それから幾度となくそんな事が繰り返されていった。