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浴衣姿が見たいんだが

それからすぐにオカンが帰ってきて、散らかったリビングを見て俺と親父はめちゃくちゃ怒られた


俺はさっきのことでまだ落ち込んでいて、オカンがなんて言って怒ってるのか全然頭に入ってこなかった


そのあとみんなでリビングを片付けしてると、如月美琴が俺の顔を覗き込んできた


一瞬ギョッとしたが、俺はさっきのことですぐ暗い顔にもどった


「もう少しで夜祭の時間だよね?楽しみだね」


そう言ってニコっと笑う如月美琴


あぁ…めっちゃ気を使われてる

俺はガキか。親父にボコられたくらいで、如月に気を使わせて…



いつもの俺なら…


俺もニコっと笑って


「そういえば今日ウサギのパンツじゃない…」


まで言いかけた所で如月の右ストレートが飛んできた


俺はまた後ろに吹っ飛ぶ



「おお、綺麗な右ストレートだな」

と親父が言い


「美琴ちゃん!さっきの包丁使いなさい」

とオカンが言う


「あ、ヤバ、いつもの癖で」

と如月が俺に駆け寄ってくる


これでいい。とりあえず落ち込むのはあとからにして、今はいつも通りの俺…

いつも通りのラブコメにしよう


俺は痛む顔面を押さえながらそう思った




そうして18時頃、オカンが珍しく出前で寿司を頼んでくれて、俺と如月も夜祭に行く前に少し食べることにした


いつもの食卓に如月がいるのがなんか変な感じでもあり嬉しくもある


「美琴ちゃん、お寿司で何が好き?」

とオカンが聞いてくる


「えーと、なんでも食べるんですけど、エビですかね」

と如月が答える


「やーん、かわいー。もうこの寿司桶の中身全部食べてー」


「おいババァ!俺たちの分なくなるだろ!!」


「あ?ドッグフードならあるからそれでも食っとけ」


「なんで犬飼ってねえのにドッグフードあんだよ!!」


俺とオカンはいがみ合うが、親父はいつも通り静かにビールを飲んでる


これがいつもの親父なんだ

大人しい親父…

さっきの親父には驚いたが


「美琴ちゃん、夜祭いくなら浴衣とか着たらいいのに」


如月の浴衣姿…

妄想だけで脳が溶けそうになる


「あ、あたし、浴衣持ってなくて…」


「えぇ!?今どきの若い子は持ってないのかねぇ」


「わかんないですけど。夜祭とかも行ったことなくて…。だからすごく楽しみなんですよ」



おぉ…なら今日は絶対楽しませなきゃいけない



「あ!美琴ちゃん、ちょっと待っててね」


オカンはそう言ってリビングを出ていき、2,3分くらいすると青い布を持ってきた


「わたしが昔着てたやつやっぱりまだあったわー」


そう言って如月に渡したのは青い浴衣と黄色の帯だった


「いや、お前の体型だとブカブカになるだろ!!」


「昔は美琴ちゃんくらいスタイルよかったのよ。ね?お父さん?」


「ん?あぁそうだな」


「如月、気にしないで断っていいんだぞ」


如月は浴衣を見つめて笑顔になり


「え、あたしはちょっと着てみたいかも…」


と嬉しそうに言った


「ホント!?きゃー美琴ちゃん、じゃあこっちおいで、着替えさせてあげる」


とオカンが言い、如月とオカンはリビングを出て行った


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