上のクソ野郎からの通達だ
「柊から話は聞いたよ。相澤の能力はコピーじゃなかったみたいだな」
「うん。柊先輩から能力者のオーラが消えてたし…柊先輩からアキラくんに移ったって感じかな」
「なるほどな。柊も実際能力が使えなくなったらしい。それで相澤、どうやったら移ったかわかるか?」
「たぶんだけど…」
「アキラくんすごいじゃん!」
「どうやったら移ったんだ?」
「柊さんに触って…そのチカラをくれって…俺が欲しがったら…」
「なんで柊の能力を欲しがったんだ?」
言えるかよ…
羨ましかったなんて
俺は黙った
「柊先輩の能力カッコいいもんね?ねっ?アキラくん。そうだよね?」
「まぁいい。私は上からの決定事項を通達しにきただけだ…。まずは相澤明。相澤明の能力がハッキリするまで他の能力者との接触を禁ずる。施設からも即刻退去するようにだそうだ」
今度はすぐお払い箱か…
「なにそれ!?ひどすぎない?」
「まぁ実際、柊は能力がなくなったんだし、また同じようなことがあれば相澤も危険だからな。」
「そうだけど…アキラくんになんか冷たいよ」
「組織は相澤に毎月の生活費を渡すから、仕事などは許可なくするなとさ。そして定期的に組織が様子を見にいく」
「ずっと監視するってこと?アキラくんのことなんだと思ってるの?」
たしかにひでぇな
俺は猛獣かよ…餌は与えるけど、誰も近づかねえ
「相澤の能力がハッキリわかるまでな。そしてその監視役は白守美里。お前にするそうだ」
し、白守さんが俺の監視役…
「あたし?ふーん」
「お前なら鉄壁の能力があるし大丈夫だろうと上が判断したんだろうな。あとその探知能力でなるべく相澤が他の能力者と接触しないように誘導しろってことだ」
「なるほどねー」
白守美里をチラッと見る
嫌そうにしてなくて少しホッとする
「白守美里は新しいパートナーがみつかるまで前線から退き、相澤明の監視業務に徹しろとのことだ」
「新しいパートナー!?柊先輩は?」
「……柊は組織を抜ける」
「え?なんで?柊先輩はなんでも知ってるし、この組織にとっても貴重な存在でしょ?あんなに仕事できる人他にいないよ!前線じゃないにしても…」
「これは柊自身が言ったことだ…もちろん上の連中も、私も止めたさ…でもあいつはそんなの聞くようなやつじゃないだろ」
俺のせいだ…
クソッ。白守さんの顔みることできねぇ
「あぁ、あと1つ通達があって。これは最重要事項だ。相澤明は火の能力者だったってことにしろとのことだ。本来の能力のことは誰にも言うな。これは当人達と上の連中だけのトップシークレットだ」
俺も白守美里もなにも言わないから
楓さんは続けた
「これは相澤を守るためだからな。能力が移動できると分かれば、相澤を利用しようとするやつが必ず出てくるから」
そんなことはどうでもいい…
たぶん白守さんはそれよりも柊さんのことを考えてる…
「私からは以上だ。美里…ゆっくり休めよ。相澤…色々すまんな」
そう言って楓さんは病室を出ていった…