伊月ちゃんの能力なんだが
「あ、センパイ着きましたー」
そう言われて見回すとそこは小さな廃工場みたいな場所だった
「え?なにここ?なんでこんなとこ来たの?」
「あぁ、ここ前まで部品作ってた会社みたいなんですけど、不況で倒産しちゃったみたいなんです」
「い、いや…そういうことじゃなくて、なんでここに連れてきたの?」
「ここの工場の奥に休憩室みたいなのがあるんですよ、それでそこに布団がまだあるんですけど…」
伊月ちゃんはそう言いながら
俺に近づき、俺の耳元で
「センパイ…そこで伊月とエッチなことしてください…」
と小声で言った
!!??
うぉおおおおおおおおおお!!!!
なんだってぇぇ!?
俺はゴクリと唾を飲み込み、コクリと頷いた
くそおおおおおおおお!
なんだかとっても怪しいけど、頷いてしまった!!
あれか!これが伊月ちゃんの能力か!!
俺の行動を操作しやがる!!
とんでもねぇ能力だ!!
「嬉しい…じゃあセンパイこっち」
そう言われて手を引っ張られる
俺はされるがまま廃工場の中に連れていかれた
くそっ!とんでもねぇ能力だ!
絶対なにか裏があるとわかっているのに体が言うこときかねえ
如月すまん。お前が気をつけろと言ってくれたのにまんまと引っかかっちまった
廃工場の奥の方に本当に部屋があり、そこを伊月ちゃんがあける
すると本当に布団があった
「センパイ…両手をだして…」
俺は逆らえず両手を前にだす
伊月ちゃんは俺の両手を掴むと
いきなり隠し持っていたロープでぐるぐる俺の手を巻き出した
初めてなのにいきなりそんなプレイはハードル高いって
そしてキツく俺の手をロープで結んだら
今度は俺のズボンのポケットをあさりだした
ちょ、ちょっとまて、それもプレイ!?
そして俺のポケットから俺のスマホを取り出しニコッと笑った
「センパイのスマホゲットー」
え?なにこれ…これもプレイ…なわけないよな
そして俺のスマホを操作する伊月ちゃんは
「あー、やっぱり如月センパイの番号もある」
と如月美琴の電話番号を見つけたようだった
「え?ちょ、ちょっと伊月ちゃん?これなあに?」
「センパイさっき私に不思議な力とかある?って聞きましたよね?実はあるんですよ」
「俺を操る能力だろ!?」
「え?違いますよ。ええと……柊くん、なにしてるの?わたしのこの声わからないの?」
俺は頭が真っ白になって何も言えなかった。
その声は、まぎれもなく如月美琴の声だった。




